日本の総務省がこのほど発表した情報によると、日本の4月の生鮮食品を除いたコアCPI(消費者物価指数)は、前年同期比3.4%上昇の104.8だった。同指数は20カ月連続で上昇し、13カ月連続で日本銀行(日銀)が掲げる2%の目標を上回った。日銀はまた、現在の異次元緩和を今後1年から1年半維持し、90年代末から現在までの緩和策による影響を評価するとした。日本経済の動きと金融政策が再び日本社会の議論の的になった。
消費が振るわず、投資が減り、高齢化が進むなど多くの経済及び社会の構造的問題により、日本経済はここ数年低迷を続けている。前例のない金融緩和策は、日本経済のデフレ脱却と雇用拡大の一定の効果を発揮した。ところが金融政策への過度な重視は、企業の生産性が低く市場の活力が不足しているといった、日本経済が直面している難題を払拭できなかった。
さらに異次元緩和は積極的な財政政策と良好な循環を形成しておらず、政府の借金への依存が深まっている。経済成長が財政収支バランスを効果的に支えることができなければ、日銀の国債購入の圧力が持続的に増大し、日銀のコスト面のリスクがさらに大きくなる。最近のエネルギー価格の高騰により日本の物価上昇率がやや上がったが、これは理想的な需要拡大型のインフレではない。デフレに効果的に対応できていない状況下で異次元緩和が長期的に続けば、日本経済の成長の足を引っ張る可能性がある。
日銀も異次元緩和が長期的な策ではないことを自覚しているが、短期間内の金融政策の正常化には数多くの困難がある。欧米主要国は現在、景気後退の圧力に直面している。これによる金融リスクが日本の金融政策の調整に多くの不確実性をもたらしている。仮に政策調整を急ぎ過ぎれば、回復の原動力が乏しい現在の日本経済に大きなリスクをもたらすだろう。いかに政府・市場・各経済主体などの関係を調整し、「安全運転」を維持すると同時に異次元緩和の副作用を軽減するかなど、日銀は依然として数々の試練に直面している。(筆者=丁紅衛・北京外国語大学北京日本学研究センター教授)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年6月13日