「バービー」にボイコット、日本の認識の矛盾を露呈

中国網日本語版  |  2023-08-04

「バービー」にボイコット、日本の認識の矛盾を露呈。

タグ:映画 コメディ 被爆者 原発 核保有

発信時間:2023-08-04 14:50:03 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 コメディ映画「バービー」と「原爆の父」の人生を描いた「オッペンハイマー」がこのほど、世界各地で上映されている。風格がまったく異なる2大作の同期上映は好評を博し、多くの観客を集めている。しかし日本では、バービーのピンクの幻想とオッペンハイマーのキノコ雲を混ぜた画像「バーベンハイマー」が怒りを買った。日本のネットユーザーは、8月11日より上映される「バービー」のボイコットを宣言した。

 日本の厚生労働省の統計によると、2021年3月現在で「被爆者健康手帳」を持つ日本人は約12万7000人で、平均年齢は83.94歳だが、彼らはSNSの主なユーザーではない。つまり現在SNSで抗議している日本のネットユーザーの圧倒的多数が原爆投下を経験していない。経験者の供述や関連文書などにより、1945年8月に広島と長崎で置きた記憶を共有している。日本社会の原爆投下に関する叙述はこれらの日本のネットユーザーの認識に深い影響を及ぼしているが、この叙述には次の3つの特徴がある。

 (1)経験者の体験の再現を重視。経験者の体験は臨場感が溢れ、原爆投下に関する個人の体験は長期的な再現の繰り返しにより、日本国民が共有する記憶になっている。(2)技術倫理レベルでの核兵器の否定。(3)全人類の平和の実現の呼びかけ。個人の悲劇的な経験に関する叙述と技術倫理に関する思考は、日本の原爆投下の叙述の2大座標となり、人と技術の関係に関する哲学的な議論を呼び、全人類向けの平和の主張に発展している。

 唯一原爆を投下された特殊な経験から全人類の平和の主張を導き出す。これが第二次大戦後に国際社会に復帰し、自国の位置づけを更新し国際的な影響力を拡大する手段の一つであることは間違いない。この手段によって生じたのは、日本政府が60年代から70年代にかけて打ち出し、長期的に守ってきた非核三原則(核兵器を「持たない、つくらない、持ち込ませない」)だ。

 ところが日本人学者の武藤一羊氏が「生ける廃墟としての福島原発――原爆からの系譜」で指摘したように、非核三原則の裏には核兵器の発展を試みる日本の政治エリートの野心が巧妙に隠されている。日本政府は「核兵器を製造する技術及び経済の潜在力を保持する」という秘密の目的を達成するため、原子力産業の発展に取り組み民間で「クリーンで安全で割安」という原子力の「神話」を作った。武藤氏はこのやり方を「膨大な戦略的ごまかし」と定義した。

 人々の素朴な感情と政府の政策の働きかけが、日本社会の長期的な原子力に関する「二律背反」した理解を形作った。原爆投下の残酷な印象と核兵器への憎しみを、生存者の体験を何度も再現することで伝承する。その一方で、日本列島に設置されている原子炉が示す技術の潜在能力は、人々の心理にある程度の揺れを生じさせた。「核保有」の主張が、先端テクノロジーへの期待感の中で徐々に台頭している。

 今回の「バービー」へのボイコットの動きは客観的に、日本社会内の認識の矛盾を露呈した。原爆の痛ましい過去を哀悼すると同時に、原子力の不当な利用がもたらす悪影響と潜在的な国際リスクを意図してかせずしてか回避している。日本政府は国際社会の抗議を無視し核汚染水海洋放出にこだわっている。世論調査では、日本国内で「核保有」や「核シェアリング」などの公の場での検討を支持する人が徐々に増えている。原爆投下の体験による一方的な歴史の反省の下、全人類の平和に関する願いは口先の表現レベルに留まるのみだ。この意義から見ると、日本のネットユーザーの「バービー」に対するボイコットは、どれほど誠意ある理解を得られるだろうか。

 (筆者=徐仕佳 清華大学人文・社会科学高等研究所研究員補佐)

「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年8月4日

Twitter Facebook を加えれば、チャイナネットと交流することができます。
中国網アプリをダウンロード

日本人フルタイムスタッフ募集     中国人編集者募集
「中国網日本語版(チャイナネット)」の記事の無断転用を禁じます。問い合わせはzy@china.org.cnまで