筆者は先ほど学術交流訪問学者として日本と韓国に1週間以上滞在した。慌ただしく短い訪問で過密スケジュールだったが、日本と韓国の政府系シンクタンク、地方大学所属国際問題研究所、地方政府間協力メカニズム、国際観光PR団体、対中交流民間友好団体、関連業界団体などの十数の機関及び団体と交流し、都市間移動及び航空機乗り継ぎなどの過程で見聞きしたことにより、中日韓3カ国の民間交流の必要性及びますます活気づく雰囲気を再び実感した。
訪問中、日本と韓国の多くのホテルがリニューアルされたことに気づいた。同じような食事と宿泊においても、日本と韓国の経済がコロナ後に回復に向かう期待をうかがい知ることができた。中国人観光客は日本と韓国がさらに呼び込もうと切に願うターゲットだ。両国の各機関及び団体との交流・座談において、中日韓の民間交流及び協力が絶えず活況を呈する前向きな期待を感じることができた。
(1)筆者が訪問した機関及び団体の多くが、中日韓の交流及び協力に厚い期待を寄せている。政府系機関も民間団体も、学者も民間人もほぼ異口同音に、中日韓の現実的な問題を解消する武器の一つが民間交流の活性化であり、民間往来により悪化を続ける政治・経済関係のテコ入れを図るべきと語った。(2)各種シンクタンク間の交流の重要性がかつてないほど高まっている。筆者が訪問した多くのシンクタンクは、シンクタンクは前向きな推進力を積極的に発揮するだけでなく、人々に協力のシグナルを発し民間の影響力を拡大すべきと強調した。今年に入り新型コロナの影響が徐々に薄れ、中日韓の各種オフラインフォーラムが続々と開催され、顔合わせの交流の重要性が顕著になった。(3)新世代の文化的な理解の重要性がますます顕在化している。日本と韓国の多くの識者は、3カ国が少子高齢化などの共通の課題に直面する中、中日韓の民間交流は歴史を鏡とし次の世代へとつなげることを重視すべきと強調した。MZ世代(ミレニアル世代とZ世代のことで、1981−2010年生まれの世代を指す)などの新世代の相互認識と文化交流の意義は極めて重要だ。若者が3カ国民間交流の主力軍になる時代がすでに訪れている。
そこで筆者は中日韓民間交流メカニズムの充実化について考えた。(1)中日韓友好の基礎は民間にある。国の交わりは民の友情にあり、民の友情は心と心のつながりにある。民間交流が発揮する効果は現在、基礎固めのみであり、後退は許されない。(2)中日韓協力の原動力は依然として一体化の潜在力だ。中日韓の自由貿易協定(FTA)の早期締結を目指すためには、民間友好の認識の支えと、心を動かし行動するコミュニケーションの雰囲気が必要だ。(3)中日韓が手を携える未来は若者にある。中日韓の交流と協力には若者の自発的な認識と積極的な参加が不可欠だ。若者に正確な歴史認識と平和の理念を提供するためには、3カ国の政府が手を携え取り組む必要があるが、それ以上に民間の力が自発的に行動するべきだ。
言うまでもないことだが、中日韓の民間の相互理解と好感度を高め、双方の友好交流を促進し、政治的な緊張緩和と相互信頼を下から上へと促す上で、厄介な問題に直面することになる。しかし観光の全面的な解禁や、ビザの規制緩和の期待といった現実的なチャンスも迎えている。
まず、3カ国間の民間交流を積極的に提唱し、働きかける。特に3カ国の地方政府レベルの民間交流、青少年の相互訪問、草の根交流を強化する。
次に、3カ国間のスポーツ外交を広く展開する。特に3カ国で開催する夏・冬のスポーツ大会を利用し、競技外交、選手交流、氷雪競技交流などを実施する。
それから、3カ国間の文化交流に取り組む。特に3カ国の人々の心をつなぐ芸術作品、小説・詩、映像作品の巡回展及び上映、相互翻訳、デジタル技術サポート、各種交流鑑賞会の開催に取り組む。
(筆者・笪志剛黒竜江省社会科学院北東アジア研究所研究員、北東アジア戦略研究院首席専門家)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年8月22日