「毎日新聞」の世論調査によると、岸田内閣の最新の支持率は過去最低の25%に落ちた。日本の政界では、内閣支持率が30%を下回ると「危険水域」に入り、さらに20%を割り込めば「退陣水域」に入ったとされる。13日に内閣改造が行われたが、支持率低下に歯止めはかからなかった。
岸田内閣の発足後、日本の政治は右傾化が加速し、「正常な国」から「戦える国」を目指すようになり、米国への過度な依存が戦略的自主性を弱めていると強調している。軍備を重視し国民生活を軽視する「岸田路線」の形成により、日本は「強軍・改憲・同盟拡大」の道を歩み続けている。岸田文雄首相は今年5月に米誌「タイム」の表紙を飾った。同誌は「日本の選択」と題し、「岸田首相は数十年の平和主義を捨て、自国を真の軍事大国にすることを望む」と伝えた。一国の内閣が平和主義の発展の道を捨て、外交と安全を過度に重視し国内の国民生活と社会の発展を軽視すれば、危険な「退陣水域」に突入することは間違いない。
閣僚のスキャンダルが続出、本人の政権運営能力も疑問視
岸田内閣は昨年より、政治資金運用や選挙活動の違法などのスキャンダルが相次いでいる。岸田氏本人も選挙運動費用収支報告書に空白の領収書が100枚弱添付されているという疑惑が発覚した。内閣官房副長官で岸田氏の側近である木原誠二氏の愛人問題などが発覚し、政治の騒動を招いた。今回の内閣改造が日本国民に与えた最も直観的な印象は、岸田氏は有権者の主張より党内派閥の主張を重視する、だ。他にも岸田内閣の政権運営能力が疑問視されており、マイナンバーカードの制度上の問題が度々浮上している。カードの保険証などとの紐付けにミスがあるといった重大な問題が発生し、個人情報漏洩の懸念を招いた。
国民の期待を下回る経済発展、核汚染水海洋放出の強行
岸田氏が掲げた「新資本主義」はその効果を発揮せず、成長と分配の好循環が形成されなかった。食品及びエネルギー価格の急騰により、日本国民の生活が苦しくなっている。昨年の日本の実質GDP成長率は1.0%でプラスを維持したが、国民の予想を下回った。日本政府部門のデータによると、日本の7月の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年同月比で3.1%上昇し、11カ月連続で3%を上回った。日本の6月の物価上昇要素を除く実質賃金は前年同月比1.6%減で、15カ月連続の低下となった。国内の物価上昇と実質賃金の低下は国民生活に深刻な影響を及ぼしている。さらに泣きっ面に蜂と言わんばかりに、日本政府は8月24日に国内外の反対の声を無視し、福島核汚染水海洋放出を開始した。多くの日本人が強い懸念と反対を表した。全国漁業協同組合連合会の坂本雅信会長は海洋放出に反対し、政府が約束を果たし全責任を担うことを願っている。ところが岸田内閣は国民の訴えを無視し、最終的に日本の観光業、漁業、農業、日常生活が核汚染水放出により深刻な影響を受けることになった。
続く防衛予算増額、「戦える国」が人々の恐慌を引き起こす
岸田内閣はウクライナ危機を利用し国内の戦略転換を促している。日本は昨年末に安保3文書を改定し、「反撃能力」などの内容を明記し、かつ5年内に防衛費の対GDP比を2%に上げることを計画した。この措置は日本国民の猛反発を招いた。また岸田内閣が南西諸島の軍事力の配備を持続的に推進していることから、現地人は自分の故郷が再び戦場になることを懸念している。沖縄県の玉城デニー知事は18日、スイス・ジュネーブの国連人権理事会に出席し、演説の中で在日米軍基地関連の問題について訴えた。国連人権理事会で地方が国を訴えるのは異例で、日本の国と地方の対立が顕在化している。
内政、国民生活、安全分野における間違った行為は、岸田内閣の支持率の持続的な低迷の根本的な原因だ。そのため岸田内閣は日本国民の需要と意見を重視し、人々の根本的な利益と社会の長期発展に合った政策を立てるべきだ。同時に岸田内閣は外交政策の理性的な思考と適切な処理を強化するべきだ。今年は中日平和友好条約締結45周年だ。岸田内閣は中日の4つの政治文書が確立した原則を遵守し、両国関係の健全な発展の基礎を固めるべきだ。間もなく「退陣水域」に突入する内閣支持率を上げるため、岸田内閣は軍備を重視し国民生活を軽視する「岸田路線」を放棄し、歴史を鑑とし未来を見据え、「強軍・軍拡」ではなく平和的な発展の道を歩み、アジアの得難い平和と安定の局面を守るべきだ。
(筆者=孫家珅・中国社会科学院日本研究所研究員補佐)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年9月22日