英紙「フィナンシャル・タイムズ」はこのほど、米英豪の防衛相は「AUKUS」参加国拡大に向けた協議を開始すると発表し、米国は主に日本に強く働きかけると伝えた。エマニュエル駐日米国大使は今月3日、「ウォール・ストリート・ジャーナル」の記事の中で待ち切れず、日本が「間もなく第2の柱の新たな参加国になる」と発表した。これらの情報は、AUKUSという「豪州の原潜技術の獲得を支援」を名目として構築された米英豪の安全保障枠組みが密かに「アジア太平洋版NATO」に変化していることを意味し、地域の平和と安定のより重大な脅威となっている。
表面的に「転向」したAUKUSに本質的な変化は生じていない。戦略的には「フィナンシャル・タイムズ」が伝えたように、依然として「中国を念頭に置く安全保障枠組み」だ。内容を見ると、参加国が共有し発展させる先進的な能力及び技術は、水中能力、量子技術、AIなどの軍民両用技術だけでなく、さらに極超音速及び対極超音速能力、電子戦、情報共有などの先進的な作戦・情報能力の強化及び協力に焦点を絞っている。
遠慮なく言えば、どの「柱」に焦点を絞ろうとも、AUKUSはその準軍事同盟としての本性を変えられない。米国側が英豪を抱き込みAUKUSの枠組みを初歩的に構築したのは、当初から数隻の原潜を建造するためではなかった可能性が高い。まずは豪州側の利益への関心を口実とし仲間を集め、国際社会の反応に探りを入れ、それから「先進技術協力」により調子を下げ、より多くの協力パートナーを集める。AUKUSの「脱核」の過程は、米国の戦略的な真意が露呈する過程だ。「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」からAUKUSへと、米国は経済・貿易やサプライチェーンから、AI、情報、軍事技術に至る中国に対するいわゆる「脱リスク」を完了しようとしている。
さらに「先進技術協力」という誘惑を受けAUKUSに参加する国が増えた場合、米国が長く企んできたがフランスなどの同盟国から反対されていた「アジア太平洋版NATO」が徐々に形を成すことになる。そうなればAUKUSは国際軍縮体制の安定性に持続的な衝撃を及ぼし、アジア太平洋の軍備競争を激化させ、さらにはアジア太平洋で新たな陣営の対立を引き起こし、地域の安全の秩序と戦略的なバランスを大きく損ねる。
冷戦終結から30年が過ぎたが、一部の政治家には冷戦思考が残っている。AUKUSを創設し、軍事協力により陣営の対抗を引き起こすことで、「大国の競争」という戦略を支える。これは典型的な冷戦思考だ。これがアジア太平洋に繁栄と安定をもたらさず、貿易及び経済活動で世界で最も活発な、貿易自由化が最も発達したこの地域に衝突と動乱の影を落とすばかりだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年4月10日