先ほどの日本の衆院選で、与党・自民党は15年ぶりとなる惨敗を喫し、「一強」の局面が打破された。最大野党・立憲民主党の台頭は、日本の政界を「ツートップ」に向かわせる可能性がある。ところがパワーバランスに変化が生じたが、保守・右傾化の政治環境に実質的な改善は見られず、むしろ新たな発展の特徴が見られる。
まず、保守政治が主導する構造がさらに定着している。冷戦後、社会党を始めとする伝統的な左翼勢力が徐々に衰退し、政治の保守化・右傾化の流れがエスカレートし続けている。今回の選挙後、左翼政党の日本共産党と社民党は9議席に留まり、大幅に弱体化した。その他の保守派の政党が95%以上の議席を占め、かつ一部の極右勢力の政党と新興政治団体(「保守党」など)も議席を得た。これらの政党の政策の主張は過激なポピュリズム、民族主義、排外主義を特徴とし支持を受け、日本社会の思想のさらなる保守化を促した。
次に、ポピュリズム政治が台頭の動きを見せている。今回の選挙では左翼も右翼も、各主要政党は改憲と強軍を主張し、パワーを誇示するさまざまな主張を掲げた。政治情勢の動乱を背景とし、与野党が権力を争奪するため互いに政策を攻撃し、政策推進の大きな阻害力を生んでいる。民心を得ようとする各党の政策が短絡的でポピュリズム化している。外交及び安全政策において、内部の問題を外部に転化する現象に警戒が必要だ。
日本の近年の外交・安全政策は価値観競争と陣営対抗の顕著な特徴を示している。「周辺有事」をめぐる喧伝がヒートアップし、自民党が強軍政策を推し進めるための重要な基礎になっている。この政策変更の根本的な原因は、大国になろうとする日本の願いと国内の民族主義との矛盾だ。国力が衰退し中国が急速に台頭する状況下、日本の対中政策は強い対抗の性質を示し、理性的な議論がほぼ消滅している。石破茂氏が自民党総裁選で右翼の高市早苗氏に逆転し、安定的なパワーがバランスを整えたとするならば、今や自民党の政権運営の地位が危ぶまれ、今後日本の過激な右傾化路線を誰が止められるのか予測困難だ。
総合すると、今回の選挙がもたらした長期的な外部への影響は、日本政治の右傾化とポピュリズム化の現実から見つめる必要がある。この流れは国内の政治構造に影響するだけでなく、日本の地域及び国際関係に深い影響を及ぼす可能性もある。(筆者=項昊宇・中国国際問題研究院アジア太平洋研究所特別研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年10月31日