社会人の状況は更に厳しい
東アジアの学生の勉強疲れは全体の一部に過ぎず、学生と比べて社会人は更に厳しい生活を送っている。
「日本経済新聞」は、日本の一般庶民の生活状況を次のように伝えている。東京のある大手化学工業会社で働く29歳の大島さんは、自身も朝6時に起き、夜10時に家に帰る典型的なサラリーマンだとし、「毎朝電車は混み合い、自分のちっぽけさを感じる。同じ生活を繰り返すだけのちっぽけな人間」と話す。大島さんの仕事は8時半に始まる。パソコンの前でデータと資料を処理し、多くの電話をかけ、午後に作業着に着替えて工場に行く。「私の席は課長の隣で、指示しやすい場所にあり、叱られたりもする」と話す大島さんは、疲れて家に帰るのは夜9時、10時を回っていることもあり、お風呂に入って横になったときに「また24時間が始まった」と感じるという。
民間調査の専門家のマーク・J・ペン氏とE・キニー・ザレスン氏の共著「マイクロトレンド」は次のように記述している。睡眠不足により米国人はますます疲れを感じるようになっているが、彼らは自分が最も疲れているとは思っていない。自身を日本人と比較し、睡眠時間が6時間以下の人の4人に1人が日本人であるためである。「日本経済新聞」は、地下鉄の車内で疲れきってうとうとするサラリーマンは日本人の生活を描写していると論じた。また、週刊ビジネス誌は9月、生活のストレスにより過労死、自殺、精神疾患を発症する人が多いことは海外で持たれている日本のイメージだと報道。
自殺も韓国人のストレスを表している。韓国統計庁が9月25日に発表した統計によると、2012年に10万人に28.1人が自殺し、自殺率はOECD加盟国の中で最悪を維持した。韓国人は生まれてすぐに各競争に巻き込まれ、「赤ちゃんのうちから」「スタートで出遅れてはいけない」と、多くの親は子供に求める。親も楽ではなく、のしかかる教育費と養育費に耐えきれなくなっている。韓国保健福祉部が今年4月に実施したアンケート調査によると、1人の子供を大学卒業まで育てるのに3億9000万韓国ウォンかかる。無限の競争と社会の伝統文化の影響により、「3つを捨てた一代」という言葉が生まれた。恋愛、結婚、出産を断念した一代という意味である。
韓国を手本にすることが多い台湾でも、労働組合と学者は台湾の労働者は「3つの苦(金銭、疲労、多忙の苦しみ)」を抱えていると嘆く。「中国時報」は今年11月、ある特殊グループの生活状況を次のように報道した。一家を養うため、41歳以上のサラリーマンは仕事を掛け持ちし、兼職の割合は38%に上る。彼らの多くは親も子供もいる「サンドイッチ族」である。あるアニメーターは、一家を養い生計を維持する負担を軽減するため、あちこちから仕事を引き受けた。しかしこの副収入は命がけで得るものであり、長期にわたる徹夜とストレスでこのアニメーターは高血圧と通風を患った。
ストレスといえば、2006年4月に香港の路線バスで起きた出来事を思い出す人も多いのではないか。1人の中年男性が青年に向かって「あなたはストレスを感じている、私もストレスを感じている」と罵倒し、乗客が撮ったこの映像はインターネット上にアップロードされると瞬く間に香港を風靡した。香港人のストレス発散の代表となり、香港人の心の声「みんなストレスを感じている」を口に出したと言われた。国際大都市であり、狭く人口が多い香港の発展のストレスは大きく、生活は容易ではない。香港中文大学が2010年に実施した調査によると、1日の労働時間が10時間を超える人は40%に上る。また別の調査によると、子供を持つ親の82%が生活面のストレスを感じており、うち、毎日11時間以上働く男性は20%に上った。