今回のワールドカップで優勝を目標にしていた日本代表は「期待を最も裏切ったアジアチーム」と言われている。3試合で2ゴールしか決まらず、6点も入れられるという失望させられる結果となった。日本代表は世界の強豪を前に不利な状況に立たされ、技術を重視しすぎたことによる欠点が明るみになった。これは、今も手探り状態の中国への警告にもなっている。
ここ数年、アジアのサッカーの話題になると必ず日本の名前が上がる。確かに、日本代表は30年近くブラジルの技術スタイルを学び、ここ10年ようやく収穫が見られるようになった。成績を見ると、連続でワールドカップの決勝トーナメントに進出し、香川真司選手や本田圭佑選手などのヨーロッパの一流クラブでプレイする選手も多くいる。これらは、日本の校庭でのサッカーに始まり、青少年育成に力を入れ、戦術スタイルを統一化するなどの努力と密接な関係がある。しかし、日本のサッカーのスタイルを統一しすぎ、技術に重視しすぎるやり方は、今大会の失敗の主な原因である。
日本代表の敗退は、戦術面で言えばワールドカップの「パス&コントロール」崩壊のケースの一つである。「パス&コントロール」技法が6年も世界で使われたのは、パスを利用して空間を作り出せるためである。日本代表はあいにく、パスの技術の成果が少し現れたところで無念にも攻撃を受けた。今回のワールドカップでは、オランダやチリ、コロンビアなどの「パス防御」に力を入れるチームが現れた。彼らは、守りの時には体と数人のメンバーを使って有力選手同士のパス経路を閉ざし、攻めの時には「スピード、正確さ、鋭さ」を強調してコートの長さと幅を利用し、ボールを奪ってから3~4回のパスでゴールする場面もよく見られた。効率が非常によいやり方である。
そのため、本田選手や香川選手など世界トップレベルのパスがうまい選手は日本代表の中でくすぶり、ワールドカップで能力を発揮できなかった。
攻めの中心的役割を担う本田選手のパスを分析すると、最も多いのがディフェンダーの内田篤人選手と長友佑都選手へのパスで、ともに16回だった。次に多いのがボランチで13回と14回。注目すべき点は前方のセンターフォワードへのパスはわずか9回だったことである。パスの方向を見ると、ワールドカップで強豪を前にした日本の全面的に攻めて守るというやり方には感心する。しかし、前方にあまりパスしないことは、日本代表が行う攻めは威嚇できていないことを意味する。今大会で日本が入れた2点は、1回はヘディングシュート、もう1回はロングシュートであり、「パス&コントロール」技法の効果は出せていない。