国連が発表した『世界人口予測2017年改定版』の統計によると、2017年の世界の60歳以上の人口は9億6200万人に達した。2050年には2倍以上の21億人に、2010年には3倍以上の31億人に達する見通しだという。
新たな研究報告によると、中国の高齢化レベルは深刻化している。また、モバイル通信の高普及率、急成長するスマート「シルバーエコノミー」により、テクノロジー企業は重点をこれまで市場が注目してこなかった高齢者に移すことが予想される。
長年にわたり、中国のテクノロジー企業は若者と富裕層に狙いを定め、広告業者もこれらの層をターゲットとしていた。しかし、モバイル通信が急速に普及し、中国のモバイル通信ユーザーの8分の1が高齢者になり、企業は重心を一世代上のユーザーに移している。
外国メディアは、中国において、高齢者ユーザーはモバイル通信において無視できない力だと論じている。中国インターネット情報センターの統計によると、2012年以降のモバイル通信ユーザーの伸び率が79%であるのに対し、高齢者ユーザーの伸び率は130%となっている。
データ提供会社のQuest Mobileが実施した研究によると、ネット通販に夢中になる中国の高齢者は増えており、若者より夢中になりやすい傾向にある。
2017年6月、中国の高齢者のモバイル通信ユーザーは5000万人の大台を突破し、前年同期比で10.8%増加した。報告によると、高齢者の約40%が2つ以上の通販アプリをダウンロードし、1カ月に4時間以上使用し、通販ソフトを使用する高齢者も1年で8%増加した。
2017年、中国の60歳以上の高齢者人口は総人口の17%を占める2億4100万人に達した。全国老齢工作委員会が2月に発表した統計によると、2050年までに中国の高齢者人口は総人口の34.9%を占める4億8700万人に達する見通し。
そのため、ECや娯楽分野に従事するテクノロジー企業にとって、高齢者モバイル通信市場は未開拓の市場と言える。
EC大手のアリババ(Alibaba)と京東(JD.com)はネット通販の新たなターゲットに目をつけている。今年初め、アリババ傘下の淘宝は「親情アカウント」サービスを開始し、家族のアカウントを登録することで、親子や配偶者など家族同士のコミュニケーションと決済を可能した。登録を簡略化し、買い物に関する討論や決済代行などができ、中高年が使用しやすいようにした。
騰訊(テンセント)も高齢者のアプリ使用ニーズを重視している。2016年末、WeChatはアクティブユーザーわずか1%の高齢者ユーザーにスポットを当てたCMを制作し、高齢者がWeChatで子供を気遣う様子を表現した。また、騰訊の「応用宝」は「年長者配慮」機能をリリースし、離れた地域にいる子女が親の携帯電話使用をサポートできるようにした。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2018年8月21日