チベット族叙事詩『ゲサル王』の研究者 ジャンベンジャツオさん

CRIより  |  2009-03-29

チベット族叙事詩『ゲサル王』の研究者 ジャンベンジャツオさん。

タグ:チベット族叙事詩『ゲサル王』の研究者 中国  

発信時間:2009-03-29 14:39:57 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 ■1950年 人民解放軍に入隊

1950年6月、ジャンベンジャツオさんにとって、その後の人生を変えた大きな出来事がありました。

12歳だった彼は、チベット平和解放のため巴塘にやってきた中国人民解放軍に入隊しました。国費で巴塘国立小学校で4年間勉強し、卒業した彼は、引き続き進学したい気持ちがありましたが、莫大な費用が必要になります。解放軍に入れば、飯の種は困らないだろうという思いもあり、また、何よりも、「今回の軍隊はこれまでの部隊とは違う」と感じたところがあったからでした(写真は1954年のジャンベンジャツオさん(左)と兄)。

――私がそれまで見た軍隊は、チベット軍と国民党軍でした。チベット軍は時たま、金沙江の向こうからやって来て、乱暴なことをしていました。国民党の部隊は将校たちはたいへんいばっていて、私たちチベット人のことを「蛮子」(野蛮な子)と言い、チベット語のことを「蛮話」(野蛮な言語)と言っていました。しかし、人民解放軍は「チベット族同胞」と呼んでくれて、彼らは自ら進んでチベット語を習おうとさえしていました。この軍隊はこれまでの軍隊とは違うと直感的に思い、姉と兄と三人で入隊申し込みをしました。

だいぶ後になってやっと分かったことですが、チベット進出とその後のチベット建設に備え、チベット族を含めた各少数民族の入隊を解放軍は積極的に受け入れる政策があったため、12歳だった自分でも入隊が認められたのだと言います。

入隊後、ジャンベンジャツオさんは文芸部隊(文化、芸術担当)に配属され、引き続き様々なことを勉強することができました。1951年、チベット進駐の解放軍と共に、ジャンベンジャツオさんも一緒に徒歩で行軍し、ラサに入りました。その後、ラサで一年あまり滞在していた彼は、軍が作ったチベット語研修クラスに入り、チベット文字と伝統文化を系統的に学ぶチャンスに恵まれたと言います。

――ラサの高級僧侶や貴族たちなどチベット族の一流の学者に教えてもらいました。今もはっきり覚えていることは、当時の月収は、一般兵士は2元、軍長や政治委員などの将校らは8元。対して、最高ランクの教師は月100元ももらっていました。

■ 国家の大事で通訳として活躍

クラストップの成績で卒業したジャンベンジャツオさんは、その後、西南民族大学に推薦入学し、引き続き成都で勉強を続けていました。1956年から、チベット語の通訳・翻訳として北京で仕事するようになり、その後、1980年まで、24年にわたり通訳・翻訳の仕事を続けました。

ところで、ジャンベンジャツオさんの通訳の仕事をする中で、忘れられない体験はダライラマとパンチェン・ラマの通訳したことです。

1955年5月、ダライラマが北京で行われた第一回全国人民代表大会に参加した後、重慶や成都経由でラサに戻る道中のことでした。当時、西南民族学院在学中の17歳のジャンベンジャツオさんは、重慶と成都滞在中のダライラマの通訳を2ヶ月ほど務めました。

――当時、中央統戦部の劉格平副部長がダライラマに中国共産党と中国の歴史を講義し、途中から私が通訳をすることになりました。ダライラマがメモを取りながら、熱心に受講していたシーンが印象に残っています。また、成都を離れる時、周恩来首相と陳毅副総理が見送りに来ましたが、ダライラマが周総理の人格的な魅力に惹かれて、たいへん尊敬の気持ちを持って会話に臨んでいた様子も印象に残りました。

1959年春、第二回全国人民代表大会がまもなく開幕されるという時、資料の翻訳やダライラマの通訳をするための準備に追われている最中に、チベットで騒動が起きました。その7日後に、ダライラマがインドに逃亡したというニュースが入りました。

――たいへんショッキングな出来事でした。当時は政府活動報告や予算案などの翻訳のため、関係者が集まって作業を始めたところでした。ダライラマの訪問を待ち、彼がどのような発言をするのか、どう訳せばよいのか皆で議論していたところでした。まさかそのようなことになるとは思いませんでした。

その後、1959年から1962年まで、ジャンベンジャツオさんはパンチェンラマの通訳も担当しました。当時の思い出についてこのように振り返りました。

――ダライラマは内向的で、静かな性格だったのに対し、パンチェンラマはたいへん朗らかな性格で、体を動かすことが好きな方でした。パンチェンラマは私と同じ年だということもあって、私のことを「ボーラ(友達)」と呼んでくれていました。

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