全国人民代表大会(全人代)常務委員会は26日、精神的損害賠償を明確に規定した権利侵犯責任法を表決した。同法は精神的損害賠償を明確化した中国初の法律となる。
全人代常務委員会法律業務委員会の王勝明・副主任によると、中国のこれまでの法律では死亡賠償金、障がい賠償金は規定されていたが、各賠償金が何を基準にどのように計算されるかについては、具体的な法的規定はなかった。今回の権利侵犯責任法は死亡賠償金、障がい賠償金について、精神的損害賠償金の金額、計算方法なども含めて初めて明確に規定している。精神的損害賠償がいかに認定されるか、どのような情況の下で精神的損害賠償が成立するか、精神的損害賠償が実際のところどの程度賠償されるべきか、これまで論争が続いてきた。
権利侵犯責任法第22条は、他人の人身の権益を侵害し、他人に深刻な精神的損害をもたらした場合、権利を侵犯された人は精神的損害賠償を請求できると規定している。
王副主任によると、今回の規定は、第一に精神的損害賠償を人身の権益の侵害に厳格に限定した前提の下、人身の権益の侵害とは、生命権、健康権、名誉権、プライバシー権の侵害などが含まれ、財産権については含まれないとしている。第二に、どのような状況の下で精神的損害が成立するのか。権利侵犯責任法は「深刻な精神的損害」と表現している。
「『深刻』をどのように理解すべきか?我々の認識では、軽微な精神的損害は、原則上、精神的損害賠償を請求することはできず、さもなくば訴訟コストが高すぎる」。王副主任によると、「深刻な」精神的損害に対する賠償について、今後の司法解釈がより具体的な規定を構築し、個別事例に基づき認定されるべきだと述べている。
「人民網日本語版」2009年12月28日 |