北京師範大学所得分配・貧困研究センターの李実主任は、現在の所得差の拡大は主に以下の4つの面に現れていると考える。
1. 都市部と農村部の所得差が拡大している。1997年、中国の都市部・農村部住民の所得の比率は2.6対1で、2010年には3.33対1に達した。高低差は先進国を大きく上回るだけでなく、ブラジルやアルゼンチンなどの発展途上国も上回っている。
2. 独占業界の収入が社会の平均収入をはるかに上回る。「1980-90年代、金融、電力、通信などの業界と製造業、加工業の給与レベルはほぼ同じだったが、独占的地位が強まったのに伴い、これら業界の給与レベルは社会の平均をはるかに上回った」と、李実氏は話す。
人力資源・社会保障部の統計によると、現在の電力、通信、金融、保険、タバコなどの業界の従業員の平均給与はその他の業界の2-3倍となっている。それに住宅や給与外収入などの手当を含めば、実際の所得差は5-10倍になる。
3. 市場価格の歪みが業界の暴利や管理部門の「グレーな収入」につながる。中国の生産要素市場は完全に発展しておらず、資本や土地、自然資源の使用と配分は政府の制約を受けているため、市場価格の形成が難しく、取引価格が歪むという現象がよく見られる。低価格で鉱山や土地を獲得するなどし、企業は高額利益を簡単に手にでき、関連の管理部門もレントシーキングなどの方式で多くの「グレーな収入」を得る。
4. 企業内部において、給料や福利が少数の人に集中するという傾向が強まっている。2008年の全国国有企業及び国有持ち株会社の決算によると、同年の中央企業の福利費の支出は1人当たり平均3387元で、うち最高は4万4600元、最低は149元で差は300倍近くとなっている。(続く)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2010年5月24日