中国国内の国内環境保護団体36機関が今年初め、「IT業界重金属汚染調査研究報告(第4期)アップル特別号」を発表した。同機関は昨年4月、アップル社など世界有名IT企業29社に対し、この問題に関する疑問点を提示、回答を求めていた。アップル社は今月15日、9カ月間沈黙を続けた後初めて本件に関する態度を表明、サプライヤ(下請け工場)で有害物質を違法使用していた事実を認めた。北京の環境NGO「公衆環境研究センター」によると、アップル下請け工場のように違法有害物質を使用している下請け工場が、アップル以外にも少なくとも4社あると見られ、同センターはこの件に関し、更に詳しく調査を進めているという。北京の日刊紙「京華時報」が伝えた。
中央電視台(CCTV)「焦点訪談」、「毎日経済新聞」、「経済観察報」など複数のメディア報道によると、アップル社はじめ多くの有名ITブランド企業の下請けを行う聯建(中国)科技有限公司は、違法な有毒化学溶剤ノルマルヘキサンを使用して携帯電話用スクリーンを洗浄し、職場や従業員に対する危害予防を軽視、それにより数名の従業員が中毒症状を呈した。同社従業員によると、中毒事件はアップル下請け工場でも起こっているという。アップル下請け工場の運恒五金公司でも、ノルマルヘキサンで携帯電話のブランドロゴを洗浄し、中毒になった作業員が出た。正確な情報を得るため、公衆環境研究センターの馬軍氏と達爾問自然求知社の創立者である馮永鋒氏は昨年12月中旬、蘇州に赴き現地調査を行った。
アップル社は今月15日、2011年度「サプライチェーン責任進展報告」を発表、同社の下請け工場である聯建科技従業員137人のノルマンヘキサン中毒事件について公表した。調査関係者はこれについて、「アップル社はこれまでずっと、下請け工場の実態に関する情報公開を拒み、中毒事件が起こった聯建科技がアップルと関係があることを断定せず、環境保護団体が、聯建科技とアップル製品供給との関係を明らかにするよう求めてきた。アップル社が今回発表した報告は、環境保護団体に対する間接的な回答と見なすことができる。アップルの対応はやや進歩したといえよう」との見方を示した。しかし同時に、「アップル社は実のところ、在中下請け工場の生産・管理に全て関わっている。事故発生の責任を全て下請け工場に押し付け、責任逃れをするきらいがある」とも指摘した。
「人民網日本語版」2011年2月21日