科学技術情報への興味は先進国に劣らず 「医学と健康」に注目する人が8割を越える
国民の科学的素養の向上は十分ではなかったものの、科学技術情報に対する国民の興味は大きく増加した。今回の調査結果によると2010年、科学技術関連のニュースに対する中国人の興味は大きく高まった。そのうち、科学的新発見は71.6%、医学の進展は71.1%、新発明と新技術は68.2%となり、それぞれ2005年の調査結果よりも10~20ポイントほど増加した。
すべての科学関連情報の中で、国民の生活と深い関連のある話題に注目が集まっている。2010年の調査では、中国人が最も興味を感じた科学発展情報は「医学と健康」で、82.7%だった。
中国科学普及研究所の任福君所長は、このデータが中国人の科学への興味や科学普及へのニーズを表しているとの見方を示した。
「科学を普及させるには、国民のニーズを拠り所とし、人々の科学的欲求を満たさなければならない。」任福君所長は、科学を普及させるためには、国民の差異にも注目しなければならないとし、「例えば、都市の高齢者は保健の情報に注目し、若者は科学計画や職業に興味を抱く傾向が高い」と述べた。
多くの人が科学技術館を見学 インターネットが科学普及の主力媒体に
科学技術情報への興味以外に、数回の調査結果により、自主的に科学普及活動に参加したり、科学技術館を見学する人が増加していることが分かった。2010年科学技術館を見学した人の割合は27.0%、2005年と比較すると17.7%も増加した。2010年、「地元に科学技術館がないため、見学していない」と答えた人の割合は37.6%で、2005年より18.1%減少した。
任福君所長は「データからも分かる通り、中国ではここ数年間でたくさんの科学技術館が建設され、科学技術館の数は大幅に増加した。」と述べた。しかし、見落としてはいけないのは、一部の科学技術館では資金不足や運営問題を抱え、展示品や陳列方式が何年も変わらないなど、国民のニーズを満たせていないことだ。
任福君所長が最も印象深く感じたのは、新メディアの科学普及に対する影響の大きさだという。2010年、中国人が科学技術情報を手に入れたルートとしては、多いものから順に、テレビ(87.5%)、新聞(59.1%)、口コミ(43.0%)、インターネット(26.6%)、ラジオ(24.6%)、雑誌(12.2%)、本(11.9%)科学雑誌(10.5%)だった。2005年の6.4%に比べ、インターネットによる情報取得の割合は20.2%も増加している。
2009年の「中国科学普及インフラ発展報告」によると、2009年3月までに、インターネットを利用している科学普及施設は600余りに達し、181の学会サイトが科学普及項目を設け、具体的な方向性をもった科学普及サイトも誕生するなど、インターネットが科学普及の主力メディアとなった。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年2月24日