日本語の流入を批判する前に、中国は自国の文化的創造力が如何に低迷したかを反省すべき
現在、最も流行っているネット新語は何か?間違いなく「給力」が一番だろう。しかし、何人の人が気づいているだろうか?この単語は日本のギャグアニメから出たものなのだ。「宅」(お宅)、「御姐」(お姉)、「萝莉」(ロリ)、「控」(~コン)、「正太」(ショタ)、「吐槽」(漫才のツッコミ)など、我々は第三次日本語ブームの中に身を置いている。
北京大学対外言語教育学院の施正宇副教授は、「これまでと違うのは、今回の日本語ブームには3つの大きな特徴があることだ。一つはアニメの言葉が中心になっていること。一つは口語表現がメインなこと、一つはネットで急速に普及したことだ」と述べた。
「給力」の生い立ち
ネットで急速に普及した外来語の内、「給力」(素晴らしい、すごいの意)は典型的なものである。この言葉は元々日本のギャグアニメ「西遊記―旅の終わり―」の中国語版において孫悟空が言った文句「这就是天竺吗?不给力啊老湿(原作:これが天竺か…。すごい地味ですね、法師。)」に出てきたものだ。所謂「不給力」とは想像よりも遥かに劣っていることを表す言葉だ。そして、「給力」は一般的に、頼りになる、すごい、素晴らしいという意味で理解されている。
この言葉の発信者である吹き替えグループ「cucn201」のメンバー「NG熊王」は、思いがけず、ネットユーザーからの熱い支持を得た。簡潔な中にも深い意味を持つ、ユーモラスな「給力」、「不給力」という言葉は、2010年南アフリカワールドカップ期間中に広く使用され、インターネット界を風靡した。
しかし、これだけなら、ネットユーザの自己満足で終わってしまう。2010年11月10日、「給力」は意外にも「人民日報」の1面のタイトル「江蘇給力 文化強省」に使用され、世論の反響を呼んだ。「人民日報」によるこの事件は、政府が積極的にインターネットの潮流に乗ろうとしているなどという憶測を呼んだ。しかしながら、これの事件がネット民意の大きさと社会の進歩を示したことは間違いない。2011年、「給力」は中国版紅白歌合戦「春晩」(春節聯歓晩会)にも登場した。海清(ハイ・チン)と黄海波(ホアン・ハイボー)によるコント「美好時代(素晴らしき時代)」の後、司会者の朱軍(チュ・ジュン)が観客に「剛才的小品給力嗎?(先ほどのコントは素晴らしかったですか?)」と質問し、喝采を浴びた。
社会と密接に関係するネット用語が正式な中国語として受け入れられる。これは時代の流れである。施正宇氏も、「給力」はすでにメディアや人々に受け入れられており、今後、中国語の基本語彙の中に入る可能性もあるとの見方を示した。