6月19日は父の日だ。この日を控え、中国では「代理パパ」業がインターネットに登場した。「父親は代理で可能か否か」という話題が、しばしの間熱い論議を引き起こした。新華社のウェブサイト「新華網」が伝えた。
「代理パパ」は、「片親家庭」やその他の「需要がある家庭」を対象に、「才能豊かな私が、子供の家庭教師や遊び相手をいたします」といったサービスをネット上で売り込んでいる。問い合わせはあったが、成約に至ったケースはまだない模様だ。
山西大学公共管理学院の王暁晨教授は、「代理パパ」業の登場は、転換期にある中国人のある種の感情や葛藤を反映していると指摘した。
専門家によると、中国では都市化の加速に伴い、大量の農民が都市に出て就労し、家で留守番する子供達は常に両親と離れ離れの状態という。都市に住む多くの父親も、仕事や生活上の大きなプレッシャーを受け、子供達と一緒にいる時間はほとんど取れないのが現状だ。
教育専門家は、父と子がこのように長時間常に離れている状態は、父性愛や男性教育の欠如に繋がりやすいと指摘する。多くの男の子が(中には大人になっても)男らしさに欠ける主な原因のひとつとして、生活の中で模範とすべき男性が身の回りに居ないことが挙げられる。このような現象は、社会全体にとって重視すべき問題だ。
とはいえ、父親の「不在」を「代理パパ」で埋めることは可能なのだろうか?ネット上の書き込みには、「本物の父親の代わりはいない。父親の役割を商品化し、儲けようとするやり方は、無意味だ」との意見が多い。
しかし、「代理パパ」に対して否定的な見方をする人が多い一方、理解を示す人もいる。ある父親は、「代理パパは、中国人の考え方がいっそう開放的になったことを裏づけるものだ」との見方を示し、「代理パパは、中国で需要がある。いつかは商売として成り立つだろう」と予想している。
「代理パパ」という話題は、「父親としての責任」について、人々の高い関心を呼び起こした。世の父親が、子供と一緒に過ごす生活に早く帰ってくることを祈るばかりだ。(編集KM)
「人民網日本語版」2011年6月20日