中国儒教経典「尚書(書経)」では、人としての「五福(5つの幸福)」として、「長寿、豊かな財力、無病息災、美徳、天命を全うすること」が挙げられている。一方、西洋では長い間、「高収入、既婚、若さ、健康、良い教育、信仰対象となる宗教」を備えて初めて、人は幸福になれると信じられてきた。
今の世では、ますます多くの人が、お金が幸福の根源であると信じる傾向にある。しかし、その「幸福」とは何か?お金と幸福との関係は?どのくらいのお金を持っていれば、人は幸福になれるのだろうか?
米国のウェブサイト「The Happiness Show」で興味深い調査が行われた。この調査によると、米国の貧困者、失業者、高齢者、身体障害者の幸福度は、多くの人が思っているほど低くはない。一方、フォーブス紙「米国の富豪100人」に対する調査の結果、100人のうち37%の富豪の幸福度は、一般的なアメリカ人より低い事実が判明した。
また、世界各国国民の平均満足度と購買力に関する調査によると、購買力の高い国家の国民は、幸福指数(生活満足度)も高かったが、平均月収が8千ドル以上になると、この相関関係が崩れ始め、財産の多さが生活満足度の上昇を後押ししなくなることが分かった。
では、「貧しい中国人」と「豊かな米国人」を比べると、どちらがより幸せなのだろうか?
2009年「幸福指数」ランキングで、中国は20位、インドは35位、そして米国は114位だった。米国人の幸福度は10年前に比べかなり落ち込んだ。「世界の幸福度地図」ランキングでは、トップはデンマーク、米国は23位、中国は82位。
「中国人は米国人より幸せか否か」は、大いに議論の余地が残された話題だ。国内の「幸福都市」調査では、中国でもっとも幸福を感じる都市に成都が選ばれた。経済が発達し現代化が進んだ北京、上海、広州、深センは、トップ10に入らなかった。
これにより、「財産と幸せの関係」はそう簡単に結論づけられるものではないことが分かる。心理学者は、「幸福感は多くの要因の影響を受ける。健康や性格などの遺伝的要因がもたらす作用は、財産より大きいこともあり得る。一方、物質面での生活水準の向上は、一時的な幸福感で終わることが多い。真の幸福感は、心の底から湧きあがってくる満足感や、潜在力や他人に対する貢献を存分に発揮できたときの達成感からもたらされるものだ」と分析している。
「人民網日本語版」2011年7月8日