▽貧困、変化への恐れが不安の核心部分
大自然の中をのんびりと駆け回っていた時代から、自動車がひしめきあう現代へと変化する過程で、一体何が起こり、我々はこんな不安に満ちた生活をするようになったのだろうか。
王氏はその原因として▽価値観の多様化が人を将来どうなるかわからないという気持ちにさせる▽達成感の欠如が人を自分には価値があるのだろうかという気持ちにさせる▽急速に変化する社会がついて行かないと取り残されるという気持ちにさせる--の3つを挙げた。
続いて王氏は、最も社会の核心をついており、解決が急がれる原因として以下の2つをあげた。
(1)貧困への恐れ
「成績が悪いと大学に入れない」「年を取ってから、世話をしてくれる人がいるのだろうか、病院にかかるお金はあるのだろうか」。このような不安は、実際のところ貧困への恐れだ。中国社会科学院経済所と首都経済貿易大学(北京)が今年6月に発表した「2010年中国居民生活質量指数調査報告」によると、調査に答えた人の5分の1が自分は周りの人より貧乏と感じており、老若男女、収入の多さを問わず、貧困への恐れは、配偶者や恋人の浮気、友情や尊厳を失うことへの恐れよりはるかに大きい。人民日報系の国際情報誌「環球時報」は以前に、ある海外のメディアが、中国のことを世界で最も「拝金主義」の国と見ていると報じたことがある。テレビ局「江蘇衛視」らが2009年にまとめた「幸福指数調査報告」によると、調査に答えた半分以上の人が、お金があって初めて幸福になれると答えた。お金=幸福、このような偏った見方では、人は永遠に満足感など得られず、不安が募るばかりだ。
(2)変化への恐れ
社会に出て仕事を始めたばかりの時は、マイホームを買えるか心配で、マイホームを買うとローン返済が心配になる。マイホームを買うと不動産価格の下落が心配になり、買う前は上昇が気にかかる。このような変化が不安の原因となっている。変化とは、予期したりコントロールしたりすることのできない将来のことということもでき、それにより生じる不安は、人を消極的な感情にさせる。例えば、まだ発生してもいない仕事や課題を、悲観的に考え、自分にはできないと考える、他人への依存度が高くなる、何をするにしても最悪の状況を想像しいつもびくびくしている、ことなどが挙げられる。