上海市政治協商会議「都市の運行安全と生産安全の強化」視察チームは10日、同市軌道交通システムの運行安全に関する詳細調査を実施し、関係者による座談会を行った。東方網が報じた。
上海地下鉄10号線で9月27日、列車の追突事故が発生し、10号線では速度制限運転が実施され、一部区間では運休措置が講じられた。事故調査の結果、今回の事故は業務上過失によるものであり、主たる責任は規定に反し、信号システム故障が発生した区間内にあった全列車の位置を正確に確認せずに、電話で運行指示を出した運転指令員にあることが判明した。視察チームは10日、地下鉄10号線南京東路駅などで現場調査を進めた。委員達は、今回の事故によって浮き彫りになった問題に対する回答を運営者側に求めると同時に、各種提案を行った。
上海地下鉄運管センター担当者は、「上海地下鉄の運行業務に携わる従業員の報酬が全体的にかなり低いため、地方に高給でヘッドハンティングされるケースが多く、ベテランの運転指令員や運転手が相次ぎ離職している。上海地下鉄の運行業務従事者の平均年齢は30歳足らず、勤続年数はほぼ全員3年未満だ。運転指令員が一人前になるまでには最低5年かかるが、仕事の負担が大きいため、多くの従業員が業務に習熟したころに転職してしまう。また、一部のベテラン運転指令員は蘇州、杭州、深センなどの地方に高給でヘッドハンティングされ、低収入に甘んじていた上海から相次ぎ飛び出している。上海地下鉄の人材流出問題は、かなり深刻な事態に陥っている」と漏らした。
同担当者はまた、「従業員に対する業務前の基礎研修は十分に行われているが、持ち場に就いた後のトレーニングが不足している。特に、緊急事態に対応する訓練が十分ではないため、突発的な出来事が起きた際に、実践経験の不足が露呈する」と指摘した。地下鉄では、大規模な応急訓練を年2回以上、路線単位の小規模な訓練を毎月実施しているという。しかし安全を第一に考えた場合、予行訓練の効果は必ずしも上々とは言えない。
「人民網日本語版」2011年10月11日