林国本
北京オリンピックで金メダル総数一位、広州アジア大会で非オリンピック種目を差し引いても金メダル総数でダントツ、深圳ユニバーシアードでもトップと、このところ飛ぶ鳥も落とす勢いの中国スポーツ界も、スポーツファンたちのノドに刺さった魚の骨として、サッカー、バスケット・ボール、バレー・ボールの不振があげられる。私もスポーツファンの1人だが、私は国として力を入れるべきことには順位があり、まずは総合的国力の向上、次は科学、自主的開発力の強化、そしてアメニティ社会の構築、その次にスポーツだ、と自分では柔軟な見方をしているつもりでいたが、親友に「そういうことをサッカーファンの大勢いる食事の席などで言うと場違いの発言となり、嫌われるかも知れないぞ」と言われて、事の重大性を少しは感じ取れたようだが、要するにサッカーはワールドカップなど、テレビで世界じゅうにオンエアされ、私の知人のサッカー・ファンは高血圧症でドクターストップがかかっているにもかかわらず、徹夜でテレビを見ており、このスポーツ種目の「魔性」に近い魅力にいまさらながら感心している。
私が懇意にしているテレビのキャスターが中国サッカー界の人たちが政府の人たちも含めて日本のサッカー界の視察に赴いたことをテレビで語っていたが、その際「サッカー選手というものは、チビッ子の頃からその育成に力を入れなければならない」という鄧小平氏の言葉を引用さえしていた。
日本のある雑誌で目にしたのを覚えているが、南米のブラジルでは、5、6才のガキの頃から露地でボールを蹴っているのだから、感覚でサッカーというものをつかんでいるのだ、と書いていた。バイオリンやピアノと同じように幼い頃から練習また練習を積まなければ天才的なプレーヤーにはなれない、ということは理屈としてまちがいないと思う。