「毎日どんなに疲れていても、家事がどんなに終わらなくても、息子が日に日に成長する姿や妻の優しい笑顔を見るだけで、疲れは一気に吹き飛び、やる気が溢れ出してくる」。これは日本の電信会社に勤める萩野博之さんの育児日記に書かれていた幸せの記録である。
いつからだろう、家で料理や家事、子育てをする男性に実に素晴らしく見事な「イクメン」という呼び名がつけられたのは。これは現代社会の男性の役割が変化していることを示している。萩野さんのような「子育てパパ」、いわゆる「イクメン」は、日本ではどんどん増えているようだ。厚生労働省が近日公開した『2011年度雇用均等基本調査』によると、男性の育児休業取得率が2.63%に達し、前年度の倍となり、1996年以来の最高水準に達した事が分かった。
日本人の男性は毎日毎日「行って来ます」と「ただいま」とともに働きに出て、そして家に帰ってくることを繰り返しているというイメージがある。「男は外、女は内」という伝統的な考えによって、男性の役割は外に出てお金を稼ぐことであり、食事などの家の雑事を気にする必要は一切なく、まして妻の料理や子育てを手伝うなどもっての外である。そして多くの日本人男性が、自分が仕事をしなければ給料が減るだけでなく、同僚にも迷惑をかけてしまうと考えている。そのため、休暇を取って、家事や子育てを手伝う人は少なく、育児休業を取得する権利のある男性でも、実際に申請を行なったのはたった1%前後に止まっていた。
では、なぜここ1年で、育児休業を取得する男性の割合が急激に上昇したのだろうか。日本人男性の考え方がここまで大きく変化した要因は何だろうか。