一方で経済的な要因も考えられる。日本の国内経済は長らく低迷しており、多くの企業が赤字の状況に陥り、日本人男性の家庭における経済的な貢献度が弱まり、女性が結婚後も仕事を続けなければならない状況をもたらした。男性は収入が減少する一方で、家庭的な負担は増え、家事の面でもより多くの責任を負う必要がでてきた。他にも、終身雇用制の崩壊に伴い、日本人男性は仕事中心の毎日を送る事はなくなり、子育てに割く時間が増えたのである。
そして、日本の社会的な意識の変化も「イクメン」の増加を促したと言える。日本の女性の経済的地位や社会的地位がどんどん上がる中、多くの女性が「結婚したら、或いは出産したら仕事を辞めて『専業主婦』になる」という従来の考え方をしなくなり、夫が一緒に子育てや家事を分担してくれることを望んでいる。また、子どもの成長において父親が果たす役割は不可欠であることがはっきりと認識され始め、「イクメン」として子育てをすることは、自分の成長にも繋がる良いチャンスであると考える人が増え、仕事と生活のバランスを重視するようになった。現在の日本社会では、「一人前の男」はもはや、仕事だけにかまけて家庭を顧みない「亭主関白」的な男性ではない。「仕事も完璧にできて、料理もできる」男性こそが「良い」とされる傾向にあるのだ。「仕事と子育て」、どちらも疎かにしない「イクメン」は、今の日本社会の新たな「ナイスガイ」の代表的存在である。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年5月2日