6日午後、北京で開催された公開セレモニーで台湾原住民の役者らと写る魏監督。
台湾原住民による最大規模の抗日暴動事件・「霧社(むしゃ)事件」(1930年)を描いた台湾映画「セデック・バレ(原題・賽徳克巴莱)」(魏徳聖《ウェイ・ダーション》監督)が10日、中国大陸部でも封切された。北京市内の映画館で同映画を観賞した李凱さんは取材に対して、「不屈の精神にあふれ、台湾映画に対する見方が180度変わった」と絶賛。「台湾映画というと、以前はあっさりしたものが多かったが、この作品は全ての点で新鮮。台湾原住民の雄姿あふれる姿が見れた」と語った。中国国営の通信社「中国新聞社」(電子版)が報じた。
台湾原住民の1つである「セデック族」のセデックとは「本当の人」という意味がある。 日本統治時代(1895‐1945年)、セデック族は自分たちの文化や信仰を捨てるよう迫られた。例えば、男性は強制労働に服させられ、セデック族では男性の仕事とされた狩りをすることは許されなかった。一方、女性も労働が強いられ、セデック族で女性の仕事とされていた、伝統的な機織りをすることは許されなかった。台中州能高郡霧社(現在の南投県仁愛郷)で起こった「霧社事件」の主役である霧社セデック族マヘボ社の頭目モーナ・ルダオは民族の尊厳を守るためには反撃に立ち上がることが必要で、そのようにしてこそ「本当のセデック人」と考えた。そして、6つの社(村)の壮丁300人ほどを引き連れて、先祖の訓示に従って自分たちの狩猟の地を奪回するために行動を起こすことを決めた。
モーナ・ルダオ役はタイヤル族の牧師・林慶台さん(50)で、なんと演技の経験はない。しかしそれが反対に功を奏し、当時の台湾原住民の男たちの気概がよく表現されている。
近年、台湾の映画産業は急速に発展。台湾の行政院新聞局が発表している最新報告によると2011年はここ20年で、台湾映画が最も躍進した年で、計4作品の興行収入が1億台湾ドル(約2億7200万円)を突破した。中でも「セデック・バレ」は、台湾で公開されてから、3億台湾ドルを記録した。
台湾と中国が2010年、自由貿易協定(FTA)である「両岸経済協力枠組協議」(ECFA)を締結してから、「セデック・バレ」以外にも、台湾映画計5作品が中国大陸部でも公開され、その総興行収入は5億台湾ドルに達している。また、台湾と中国の合作映画も大陸部で9作品上映され、興行収入は18億台湾ドルに達している。
「人民網日本語版」2012年5月12日