中国では近年、「剩女(売れ残りの女性)」が深刻な社会問題だと一部で騒がれている。しかし最新の統計データによると、それは全くの見当違いで、「剩男」こそ深刻な問題であるという。中国国営の中央人民ラジオ局が報じた。
中国国家人口計画生育委員会の最新統計データによると、中国の新生児の男女比率はかなりアンバランスな状況で、女の赤ちゃん100人に対して男の赤ちゃん118人が生まれている。それでもこれは、各種管理措置を講じた結果、ようやく下がってきた数値だ。「剩男」が直面している危機とは一体どのようなものなのか?
新生児男女比率とは、女の赤ちゃん100人に対し生まれた男の赤ちゃんの数を指す。中国の新生児男女比率は、1980年以降、正常な範囲を越えて上昇し始め、2008年には120.56とピークに達した。国際社会で正常と認められる数値は103から107であることから、中国の男女比率は深刻なアンバランス状態が続いている。
南開大学人口・発展研究所の原新主任は、「男尊女卑」という中国の伝統的観念が、男女比率アンバランスの重要な原因となっている」と指摘。原主任は、「一組の夫婦が男の子を希望した場合、男の子が生まれるまで子供を生み続けるというのが伝統的な方法だった。しかし、一人っ子政策が実施されてから、人々は不法なやり方で男女産み分けを行ったため、男女比の深刻なアンバランスがもたらされた」との見方を示した。
中国はすでに、世界でも新生児男女比が最もアンバランスな国となった。「男性が多く女性が少ない」状況が進めば、2020年には「独身男性」が約3千万人に達し、これら3千万の「剩男」は一連の社会問題を誘発する恐れがある。
中国人民大学社会・人口学院の◆振武院長は、まず「結婚プレッシャー」現象が起こると予想する。◆院長は、「男性が段々とより年下のパートナーを探していくと、5年後以降は、自分と同じ年代の女性は全て、年上の男性に奪われてしまうことになる。都市に住む男性は農村女性をパートナーとして選ぶようになり、適齢期の農村男性が余ってしまう。すると農村男性は山間まで奥さんを探しに行くようになり、山間の男性はより遠くのより貧しい山奥に妻探しに出る」と述べた。