カジュアル衣料品販売で日本最大手のユニクロは、昨年末より人材募集の新戦略「大学1年生採用」を展開中だ。現在までに約1000名の大学生からの募集を受け付けており、実習や面接などの試験により、計10名が選抜されている。この10名は大学卒業後、そのまま同社の正社員となる。
柳井正社長は、「長期休暇を利用し店舗で経験を積み重ね、卒業後に店長となることを目標にして欲しい」と語った。
大学側は、この前代未聞の募集方法を楽観視している。しかしこの方法は、日本の大学にかつてない危機をもたらすだろう。一般的に、日本企業の変革はスタートが遅れる傾向がある。しかしこれが一旦スタートされれば収拾がつかなくなり、その他の企業まで急速に蔓延するに違いない。
ユニクロの募集方法は、大学教育の価値を完全に否定したと言え、学生に対する要求からもそれが見て取れる。柳井社長は「卒業後に店長となることを目標に」と語ったが、1・2年生はこの目標の達成に向け、学業をおろそかにしアルバイトに明け暮れるだろう。