斉おばさんは今年58歳。退職するまでは河北省の炭鉱関連の一般公務員だった。現在、社会保険センターから毎月2560元が支給される。夫も同地の公務員である。一人娘は大学院を卒業後、北京に留まり仕事をしている。夫婦に老後の不安はない。
編集部注:
中国の「国家公務員暫定条例」によると、男女公務員の法定退職年齢はそれぞれ60歳と55歳。公務員の定年後の待遇は、主に退職時の給料と勤続年数で決まる。たとえば勤続年数が満35年の場合、職務手当、級別手当合計の88%で計算される。勤続年数が30年から35年未満の場合は82%が、勤続年数20年から30年の場合は75%が、それぞれ支給される。
大部分の事務系公務員は、在職期間に年金保険を収める必要はない。定年退職後に、国家財政より退職金が支給される。中国社会科学院が発表した「2011年中国年金発展報告」によると、2010年の年金支給総額のうち、事務系定年退職者の年金支給が10.85%を占めている。人力資源社会保障部のデータによると、2010年における全国の事務系の定年退職者は、全ての定年退職者の7.74%を占める。定年退職した公務員に政府が支払った金額は218億元で、GDPの5.4%を占める。事務系と技術系の年金額の格差は徐々に広まっており、公務員の年金制度改革を叫ぶ声はますます高まっている。
国務院が2008年初頭に公布した「事業単位年金保険制度改革案」は、山西、上海、浙江、広東、重慶の5省(市)で試験的に実施されている。改革の骨子は、1.事業単位での分類、2.行政職能を持つ公務員の労働保障体系への組み入れ、3.経営性を持った事業単位、4.企業の従業員保障制度を参考にした改革、などである。絶対多数を占める公益サービスに従事する事業単位の職員に対しては、現状の企業従業員と同様の年金制度とした。しかし4年が経過し、改革の進展はあまり進まず、中には全く改善の見られない地域もあった。この改革を速やかに全国的に実施するのは困難というのが現状であり、公務員年金改革への道のりは険しいと言わざるをえない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年7月17日