ロンドン五輪で良い成績を収められるように出場選手らの士気を高めようと、日本は「報奨金」を出すニンジン作戦を打ち出したり、得意とする幾つかの種目で中国選手を「仮想ライバル」としたりしている。北京の夕刊紙「法制晩報」が報じた。
最近、日本のあるメディアは「北京五輪で中国は地元開催だったため盛りあがり51個もの金メダルを獲得したが、目的を達成した今、『燃え尽き状態』にあり、各国のメダル勢力図も大きく塗り変わるかもしれない」とする記事を掲載した。
また、男子マラソンの藤原新選手や女子卓球の平野早矢香選手ら、五輪代表選手5人が所属する子供服メーカー「ミキハウス(三起商行)」の五輪壮行会では、木村皓一社長が「平野選手が中国の選手を倒して、金メダルを獲得したら賞金5千万円払う」と語り、周囲を沸かせた。
最近の日本のニュースを見ていると、日本は今、シンクロナイズドスイミング(以下、シンクロ)、卓球、柔道、体操の4つの種目に特に注目しているようだが、実力はというと中国の選手より抜きんでているとは決して言えない。
▽福原選手に5千万円のニンジン作戦
木村社長は「4年間頑張ってきた選手たち。野球やサッカーの(プロ)選手たちもいっぱいもらっているんだから、金メダルを取ったら5000万円はやらんといかんでしょう」と宣言した。
そして社長の発言を聞いた平野選手は「5千万円?」と目を白黒させ、「頑張ります」と意欲を見せた。
ただ、国際卓球連盟が今月4日に発表した最新の世界ランキングで18位だった平野選手がロンドン五輪のシングルスの試合で金メダルを獲得するのは至難の業となりそうだ。一方の中国の丁寧選手は1位、李暁霞選手は3位だった。
日本の女子卓球チームがメダルを獲得するとすれば、ダブルスの試合だろう。平野選手や福原愛選手、石川佳純選手らの実力は中国の選手と比べるとまだかなりの差があるため、金メダルは難しいかもしれないが、強豪のシンガポールや韓国などを倒して銀メダルを獲得できる可能性はある。
▽「シンクロの母」井村コーチの流出後迷走する日本
平野選手と同じくミキハウスに所属するシンクロの足立夢実選手も金メダルを獲得すれば5千万円の報奨金が約束されている。しかし、日本のシンクロチームがメダルを獲得する可能性は女子卓球チームより低いだろう。過去の五輪の同種目で銀メダル4個、銅メダル7個を獲得している強豪日本を表彰台から追いやったのが中国だ。
2008年の北京五輪の同種目でメダルを狙っていた中国は日本で「シンクロの母」と呼ばれている井村雅代コーチを招聘(しょうへい)。それまで6大会連続で日本シンクロチームを五輪出場に導いた井村コーチが中国に「流出」してから、日本のシンクロチームはいまだに後任者探しに悩んでいる。
一方の中国にとって、井村コーチの招聘は無形の財産と呼べるほど価値のある選択だった。
井村コーチはシンクロというスポーツのルールをだけでなく、審査員の「好み」も熟知している。同種目の審査員はほとんどが欧米人で、比較的がっちりした体格の選手を好む傾向がある。そのため、井村コーチは中国で、身長174センチの蒋文文選手や蒋ティンティン選手(ティン=女へんに亭)、176センチの黄雪辰選手らを抜擢している。
一方の日本チームのメンバーのうち、足立選手は159センチで、審判員に与える印象の面でも、実際の芸術的表現力の面でも、試合前に「減点」となってしまっている。