担当を外されてしまうことを恐れて、ほとんどの日本男性は育児休暇を取りたがらない――そう伊藤信子さんは言う。
日本では、大卒男性より大卒女性のほうが多い。働く女性の数はこの十年で一貫して増加してきた。しかし様々な要因によって、母になった女性の就業率は依然として低いままだ。
伊藤信子さんは現代日本で働く女性の典型だ。彼女は弁護士である。流暢な英語を操りながら、国際契約法分野で長らく活躍してきた。しかし彼女は今、大手国際法律事務所で働いていない。事実上、弁護士の仕事を完全引退している。
彼女の現在の仕事は子育てだ。日本の女性には、家庭を守るか、職場で必死に頑張るかの2択しかないのである。
伊藤さんは言う。「子供が生まれる前、とても忙しい月があって、その時はクライアントのために1か月で300時間仕事しました。朝9時にオフィスにやってきて、深夜3時まで働きました。週末の土日も残業していました」。
「仕事に集中しようと思ったら、子供の面倒なんて見られません。会社に身を捧げなければならないのです。私にはそれができませんでした。絶対にできないと思いました」。
伊藤さんの事例から見ると、日本の職場は異常で残酷だ。70%の日本女性が、子供を産むとすぐに離職する。これも原因の一つになっている。