中国の特色のある社会主義の偉大な旗じるしを高く掲げ小康社会の全面的建設の新たな勝利をかちとるために奮闘しよう
(二〇〇七年十月十五日)
胡 錦 涛
同志の皆さん
ただいまより、私は中国共産党第十六回全国代表大会中央委員会を代表して、大会に報告を行うことにする。
中国共産党第十七回全国代表大会は、わが国の改革、発展の肝心な段階で開催する極めて重要な大会である。この大会のメーンテーマは次のようなものである。中国の特色のある社会主義の偉大な旗じるしを高く掲げ、鄧小平理論と「三つの代表」の重要な思想を導きとして、科学的発展観を深く貫き、徹底させ、ひきつづき思想を解放し、改革開放を堅持し、科学的発展を推し進め、社会の調和を促進し、小康社会の全面的な建設の新たな勝利をかちとるために奮闘する。
中国の特色のある社会主義の偉大な旗じるしは、現代中国が発展をとげ、進歩するための旗じるしであり、全党、全国各民族人民が団結奮闘する旗じるしである。思想を解放することは中国の特色のある社会主義を発展させる宝器であり、改革開放は中国の特色のある社会主義を発展させる強大な原動力であり、科学的発展、社会の調和は中国の特色のある社会主義を発展させるための基本的要請であり、小康社会を全面的に建設することは二〇二〇年に至るまでの党と国家の奮闘目標であり、全国各民族人民の根本的利益の依って立つところである。
今日の世界は広範囲にわたって深く変化をとげつつあり、現代中国は広範囲にわたって大きな変革をとげつつある。このチャンスはかつてないものであり、このチャレンジもいまだかつてなかったものであるが、チャンスのほうがチャレンジより多い。全党はあくまでも中国の特色のある社会主義の偉大な旗じるしを高く掲げ、人民を率いて新たな歴史的スタートを切り、重要な戦略的チャンスとしての時期をつかみ、それを活かして、真実を求め、実際を重んじ、鋭意進取し、引き続き小康社会を全面的に建設し、社会主義現代化の推進を加速させ、時代から授けられた崇高な使命を全うしなければならない。
一、過去五年間の活動
中国共産党第十六回全国代表大会以来の五年は尋常ならぬ五年であった。複雑でめまぐるしく変化する国際環境と改革・発展の、なみなみならぬ困難に満ちた重い任務に直面して、党は全国各民族人民を導き、鄧小平理論と「三つの代表」の重要な思想という偉大な旗じるしを高く掲げ、様々な困難と危機を乗り越え、中国の特色のある社会主義事業の新しい局面を切り開き、中国化されたマルクス主義の新生面を切り開いた。
中国共産党第十六回全国代表大会は「三つの代表」という重要な思想の指導的地位を確立し、小康社会を全面的に建設するという戦略的決定を練り上げた。中国共産党第十六回全国代表大会の旨とするものを貫くために、中国共産党中央委員会は全会を七回開き、機構改革の深化や、社会主義市場経済体制の充実化、党の執政能力構築の強化、「第十一次五ヵ年計画」の策定、社会主義の調和のとれた社会の構築など全局にかかわる重要な問題について、それぞれ決定と配置を行い、科学的発展観などの重要な戦略思想を提起するとともに、それを貫徹して、党と国家の諸活動において新たな重要な成果を収めるよう促進した。
経済力は大幅に向上した。経済は安定した急速な発展を保ち、GDP(国内総生産)の年平均伸び率は一〇%以上になり、経済効率は明らかに高まり、財政収入は年々目に見えて増え、物価は基本的に安定している。社会主義の新農村の建設は地道に進められ、地域的発展の協調性は大きくなった。創造革新型の国づくりの進展は好調で、自主的創造革新能力がかなり向上している。エネルギー資源、交通、通信などの基盤施設と重点プロジェクト整備は著しい成果をあげた。有人宇宙飛行は成功裏に実現した。省エネ・省資源と生態環境保護には新たな進展が見られた。「第十次五ヵ年計画」は勝利のうちに達成し、「第十一次五ヵ年計画」はスムーズにすすめられている。
改革開放は重要な突破をとげた。農村の総合的改革が逐次深化し、農業税、牧畜業税、特産税はすべて廃止され、農業向けの支援・優遇策をたえず強化した。国有資産管理体制、国有企業と金融、財政・租税、投資、価格、科学技術など諸分野の改革には重要な進展が見られた。非公有制経済は一段と発展をとげた。市場体系はたえず健全化され、マクロ・コントロールは引き続き改善され、政府機能の転換は加速された。輸出入総額は大幅に増え、「海外に出て行く」戦略の実施で確固とした歩みを踏み出し、開放型経済は新たな段階に入った。
人民の生活は著しく改善された。都市農村住民の収入はかなり大幅に増え、家庭の財産はあまねく増えた。都市農村住民の最低生活保障制度は初歩的に樹立され、貧困人口の基本生活が保障されるようになった。住民の消費構造が適正化され、衣食住や交通、日常必需品の消費水準はたえず向上し、享受できる公共サービスは明らかに多くなった。
民主・法制整備には新しい進展が見られた。政治体制改革は穏当に進められている。人民代表大会制度、中国共産党の指導する多党合作と政治協商の制度、民族区域自治制度はたえず充実化され、末端における民主の活力が強まった。人権のための諸事業は健全に発展している。愛国統一戦線は大きな発展をとげた。中国の特色のある社会主義の法律体系は基本的に形成され、法に則って国を治めるという基本的方略を確実に徹底させている。行政管理体制、司法体制の改革はたえず深化している。
文化の建設は新しい局面を切り開いた。社会主義の中核的価値体系の構築は着実に推進され、マルクス主義理論の研究・建設プロジェクトの成果は明らかである。思想モラルの建設は広く展開され、全社会の文明のレベルは一段と向上した。文化体制の改革には重要な進展が見られ、文化事業と文化産業は急速な発展をとげ、人民の精神・文化生活はいっそう豊かになった。全人民の健康増進と競技スポーツは新たな成果を収めた。
社会の建設は全面的に展開している。各クラス、各種の教育は急速な発展をとげ、農村における無料の義務教育は全面的に実現した。就業の規模はますます拡大しつつある。社会保障体系の構築はいっそう強化された。新型肺炎の感染と戦う中で大きな勝利を収め、公共衛生体系と基本医療サービスはたえず充実化され、人民の健康水準はたえず高まっている。社会の管理は逐次完備し、社会は大局的に安定しており、人民は安心して暮らし、生業に励んでいる。
国防と軍隊の建設は歴史的な成果を収めた。中国の特色のある軍事変革のスピードは速められ、兵力二〇万人削減の任務を首尾よく遂行し、軍隊の革命化、現代化、正規化の建設は全面的に強化され、新しい世紀の新段階における軍隊の歴史的使命を全うする能力は著しく向上した。
香港・澳門、台湾とかかわりのある仕事がいっそう強化された。香港、澳門は繁栄と安定を保ちつつ、大陸部との経済貿易の連係をいっそう強めた。海峡両岸の政党間の交流は成功裏にスタートし、人的往来と経済、文化の交流は新たなレベルに達した。『反国家分裂法』を制定し、国家主権と領土保全を断固擁護することとなった。
全方位の外交には重要な進展が見られる。独立自主の平和外交政策を堅持し、諸般の外交活動を積極的におしすすめ、各国との交流・協力は広く強化され、国際事務において重要な建設的役割を果たし、小康社会を全面的に建設するために望ましい国際環境をつくり出した。
党建設の新しい偉大なプロジェクトは地道に推進されている。党の執政能力の構築と先進性の構築は突っ込んでおしすすめられている。理論の創造革新と理論による武装にはすばらしい成果が見られる。共産党員の先進性保持の教育活動は大きな成果をあげた。党内の民主はたえず拡大している。指導グループ・幹部陣づくり、とくに幹部の教育・育成には重要な進展が見られ、人材の仕事は一段と強化され、幹部人事制度の改革と組織制度の刷新はたえず深化している。党風・廉潔政治の建設と反腐敗闘争の成果は明らかである。
こうした成果を認めるとともに、次のようなことをも冷静に見て取るべきである。われわれの活動はいまだに人民の期待にかなうものとなっておらず、まだかなりの開きが見られ、前進の中でなお少なからぬ困難と問題に直面しおり、なかでも際立っているのは、次の諸点である。経済の成長で払った資源と環境の代償は余りにも大きなものであったこと。都市農村、地域間、経済・社会の発展は依然としてアンバランスであること。農業の安定した発展と農民の持続的な収入増は難しさが増していること。就業、社会保障、所得分配、教育・医療衛生、住宅、安全生産、司法及び社会治安などの方面において大衆の身近な利益にかかわる問題が依然としてかなり多く目につき、一部の低所得層の生活は比較的困窮であること。思想モラルの建設の強化が急務となっていること。党の執政能力は新しい情勢下の新任務にまだ完全に適応しておらず、改革・発展・安定の幾つかの重要な実際問題についての調査研究がまだ深く行われていないこと。末端における一部の党組織が弱体化していること。少数の党員幹部の作風はよくなく、形式主義、官僚主義といった問題がかなり目立っており、ぜいたく浪費、消極・腐敗の現象はなおかなり深刻であることである。われわれはこうした問題を大いに重視し、引き続き真剣にその解決に取り組まなければならない。
要するに、この五年は改革開放と小康社会を全面的に建設することが大きく進捗した五年であり、わが国の総合国力が大幅に向上し、人民がより多くの実益を手にした五年であり、わが国の国際的地位と影響力が明らかに向上した五年であり、党の創造力、結束力、戦闘力が著しく高まり、全党、全国各民族人民がいっそう緊密に団結した五年である。実践が十分に立証しているように、中国共産党第十六回全国代表大会と同大会以来党中央の行った諸般の重要な政策決定はまったく正しかった。
五年来の成果は全党、全国各民族人民がともに奮闘したたまものである。私は中国共産党中央委員会を代表して、全国各民族人民、各民主党派、各人民団体および各界の愛国の人びと、香港特別行政区の同胞、澳門特別行政区の同胞および台湾同胞、並びに広範な華僑同胞に、また中国の現代化建設に関心を示し、力添えしてくれている各国の友人の皆さんに、心から感謝の意を表すものである。
二、改革開放の偉大な歴史的プロセス
われわれは間もなく改革開放の三〇周年を迎えることになる。一九七八年、わが党は重要な歴史的意義をもつ十一期三中全会を召集し、改革開放という新しい歴史的時期がスタートした。その時点から、中国共産党の党員と中国人民は勇往邁進の進取精神で、雄壮なパイオニアとしての実践を通して、中華民族が自ら向上を求めてやまず、粘り強く前進する、新しい壮大な史詩を書き綴ることとなり、中国人民の姿、社会主義の中国のありさま、中国共産党のイメージは歴史的に変わりつつある。
改革開放は党が新しい時代の条件下で人民を率いて行なった新たな偉大な革命である。その目的は社会生産力を解放し、発展させ、国の現代化を実現し、中国人民が豊かになるようにして、偉大な中華民族を振興するためであり、わが国の社会主義制度の自己改善と発展を促進し、社会主義に新たな生気と活力を注ぎ込み、中国の特色のある社会主義を建設し、発展させるためであり、現代中国の発展と進歩を導く中で党建設を強化、改善し、党の先進性を保ち、発展させ、党があくまでも時代の先頭に立ちつづけることを確保するためである。
改革開放の偉大な事業は、毛沢東同志を中核とする党の第一世代中央指導グループが毛沢東思想を創立し、全党、全国各民族人民を率いて新中国を築きあげ、社会主義革命と建設の偉大な成果をかちとるとともに、社会主義建設の法則に対する並々ならぬ模索で積み重ねた貴重な経験をふまえてすすめられてきたものであることを、われわれは永遠に銘記しなければならない。新民主主義革命の勝利、社会主義の基本制度の樹立は、現代中国のあらゆる発展と進歩のための根本的な政治的前提と制度の基礎を築き上げた。
改革開放の偉大な事業は、鄧小平同志を中核とする党の第二世代中央指導グループが全党、全国各民族人民を率いて切り開いたものであることを、われわれはいつまでも銘記しなければならない。十年の「文化大革命」がもたらした危機的局面に直面し、党の第二世代中央指導グループは思想の解放、実事求是を堅持し、大きな政治的勇気と理論的勇気を以って、毛沢東同志と毛沢東思想を科学的に評価し、「階級闘争をカナメとする」という誤った理論と実践を徹底的に否定し、党と国家の活動の中心を経済建設に移し、改革開放を実行するという歴史的な政策決定をおこない、社会主義の初級段階の基本路線を樹立し、自分の道を歩み中国の特色のある社会主義を建設するという時代の進軍ラッパを吹き鳴らし、鄧小平理論を創立し、全党、全国各民族人民を導いて改革開放という偉大な道を大きな足取りで邁進している。
改革開放の偉大な事業は、江沢民同志を中核とする党の第三世代中央指導グループが全党、全国各民族人民を指導し、それを受け継ぎ、発展させた上、成功裏に二十一世紀へと推進してきたものであることを、われわれはあくまでも銘記しなければならない。十三期四中全会から中国共産党第十六回全国代表大会まで、重要な歴史的時点に使命を受けた党の第三世代中央指導グループは、鄧小平理論の偉大な旗じるしを高く掲げ、改革開放をおしすすめ、時代とともに前進することを堅持し、内外に起きた政治的風波や経済リスクなどの厳しい試練に立ち向かい、党と人民に頼り、中国の特色のある社会主義を守り抜き、社会主義市場経済の新体制を創出し、全面的開放の新局面を切り開き、党建設の新しい偉大なプロジェクトを推し進め、「三つの代表」の重要な思想を創立し、引き続き改革開放の船を導き、正しい方向をめざし、波を切って前進している。
中国共産党第十六回全国代表大会いらい、われわれは鄧小平理論と「三つの代表」の重要な思想を導きとして、内外情勢の発展、変化にしたがい、重要な戦略的チャンスとしての時期をとらえ、真実を求め実際を重んじ、開拓進取に励む精神を発揚し、理論、実践での創造・革新を堅持し、科学的発展に力を入れ、社会の調和を促進し、社会主義市場経済体制を充実化させ、小康社会を全面的に建設するという実践のなかで揺るぐことなく改革開放の偉大な事業を引き続き前進させるよう推し進めてきた。
新しい時期の最も鮮明な特徴は改革開放である。農村から都市に至るまで、経済分野からその他の諸分野に至るまで、全面的な改革はさえぎることのできない勢いで繰り広げられている。沿海地域から長江の沿岸地域、辺境地域に至るまで、東部地域から中西部地域に至るまで、思い切った決意で対外開放のとびらが開かれた。こうした史上かつてなかった大改革・大開放は、十数億人民の積極性を大いに引き出し、わが国が成功裏に高度に集中した計画経済体制から活気に溢れる社会主義市場経済体制へ、閉鎖的また半閉鎖的なものから全方位の開放へと偉大な歴史的転換を実現した。今や、現代化に向かい、世界に向かい、未来に向かう社会主義中国はぎ然と世界の東方にそびえ立っている。
新しい時期のもっとも著しい成果は急速な発展である。わが党は現代化建設を「三段階で達成する」戦略を実施し、人民を導いて刻苦奮闘し、わが国が世界にまれに見る持続的な急成長を遂げるように促進した。わが国の経済は一時崩壊寸前であった状態から立ち直って発展し、経済総量は世界四位、輸出入総額は世界三位へと飛躍をとげ、人民の生活は衣食の問題がまだ完全には解決されていない状態から全般的に小康となるまで発展させ、農村の貧困人口は二億五〇〇〇余万から二〇〇〇余万まで減少し、政治建設、文化建設、社会建設への取り組みにおいては世界の注目を引く成果が見られた。中国の発展により、中国人民は豊かになり、安泰で健やかさに満ちあふれ、広々とした道を歩むようになっただけでなく、世界経済の発展と人類文明の進歩にも重要な貢献をしている。
新しい時期のもっとも際立ったメルクマールは時代とともに邁進することである。わが党はマルクス主義の思想路線を堅持しながら、なにが社会主義であるか、どのように社会主義を建設するか、どんな党を建設するか、どのように党を建設するか、どんな発展を実現するか、どのように発展させるかなどの重要な理論と実際的課題をたえず模索・探求しつつ、答えをだし、マルクス主義の中国化をたえず推進し、党の基本理論、基本路線、基本綱領、基本的経験を堅持し、豊かにしている。社会主義とマルクス主義は中国の大地の上で活気に満ち溢れ、人民により多くの福祉をもたらし、それで中華民族は大きな足取りで時代の流れに追いつき、偉大な復興の明るい展望を切りひらくことになるであろう。
事実が雄弁に裏づけているように、改革開放は現代中国の命運を決定する上で極めて肝心な選択であり、中国の特色のある社会主義を発展させ、中華民族の偉大な復興を実現するうえで必ず通らなければならぬ道筋である。また、社会主義のみが中国を救いうるのであり、改革開放を進めなければ、中国を発展させ、社会主義を発展させ、マルクス主義を発展させることはできないのである。
改革開放は新しい偉大な革命である以上、一路順風満帆であるはずはないし、容易に成し遂げられるはずもない。しかしながら、最も根本的な道理として、改革開放は党と人民の意志に合致し、時代の流れに順応するもので、その方向と道筋はまったく正しく、収めた成果と業績を否定してはならず、足踏みや後戻りには活路がない、ということを認識しなければならない。
改革開放という歴史的プロセスにおいて、わが党は次のようないくつかの結合に取り組んできた。すなわち、マルクス主義の基本原理の堅持とマルクス主義の中国化促進との結合、四つの基本原則の堅持と改革開放の断固たる推進との結合、人民の創造精神の尊重と党の指導の強化、改善との結合、社会主義の基本制度の堅持と市場経済の発展との結合、経済的土台の変革推進と上部構造の改革推進との結合、社会生産力の発展と全民族の文明的資質の向上との結合、効率の向上と社会の公平の促進との結合、独立自主の堅持と経済グローバル化への参入との結合、改革・発展の促進と社会の安定維持との結合、中国の特色のある社会主義の偉大な事業の推進と党建設の新しい偉大なプロジェクトの推進との結合、ということがそれである。そこからは、十数億の人口を擁するわが国のような発展途上の大国で貧困から脱却し、現代化に向けてペースを速め、社会主義を打ち固め、それを発展させるという貴重な経験が得られた。
改革開放いらい、われわれがすべての成果をあげ進歩を収めた根本的原因は総じて言えば、中国の特色のある社会主義の道を切り開き、中国の特色のある社会主義の理論体系を形成したからである。中国の特色のある社会主義の偉大な旗じるしを高くかかげるにあたって、最も根本となるのはこの道筋とこの理論体系を堅持することにほかならない。
中国の特色のある社会主義の道とは、中国共産党の指導のもと、基本的国情に立脚し、経済建設を中心として、四つの基本原則を堅持し、改革開放を堅持した上で、社会生産力を解放し、発展させ、社会主義制度を強固にし、充実させ、社会主義市場経済、社会主義の民主政治、社会主義の先進的文化、社会主義の調和社会を築き上げ、富強・民主・文明・調和のある現代化した社会主義国を築き上げることである。中国の特色のある社会主義の道がまったく正しく、中国の発展と進歩を導くことができるというのは、つまるところ、われわれが科学的社会主義の基本原則を堅持したばかりでなく、わが国の実情と時代の特徴に基づいてそれに鮮明な中国の特色をもたせたからである。現代の中国において、中国の特色のある社会主義の道を堅持することは、真に社会主義を堅持することにほかならない。
中国の特色のある社会主義の理論体系は、鄧小平理論、「三つの代表」の重要な思想および科学的発展観などの重要な戦略思想を内包する科学的な理論体系である。この理論体系は、マルクス・レーニン主義、毛沢東思想を堅持し、発展させたものであるとともに、人民を率いて弛むことなく模索し、実践してきた中国共産党の党員の数世代にわたる英知と心血の結晶であり、マルクス主義の中国化における最新の成果で、党の最も貴重な政治的、精神的財産であり、全国各民族人民が団結奮闘するための共通した思想的基礎である。さらに、中国の特色のある社会主義の理論体系は絶えず発展しつづける、開放的な理論体系である。『共産党宣言』の出版以来の、百六十年近くの実践が立証しているように、マルクス主義は自国の国情と結びつき、時代の発展とともに進歩を目指し、人民大衆と運命を一つにしてこそはじめて、強大な生命力、創造力、訴求力を示すことができる。現代の中国において、中国の特色のある社会主義の理論体系を堅持することは、真にマルクス主義を堅持することにほかならない。
実践は永遠に止まるところがなく、創造革新も永遠に止まるところはない。党が艱難辛苦を重ねることで切り開いた中国の特色のある社会主義の道、および中国の特色のある社会主義の理論体系について、全党の同志はそれをいっそう大切にし、長期にわたり堅持し、絶えず発展させていかなければならない。さらに、思想を解放し、実事求是の態度をとり、時代とともに前進することを堅持し、勇気をもって変革や創造革新に挑み、いつまでも硬直化せず、停滞しないようにし、いかなるリスクも恐れず、いかなる妨害にも惑わされることがないようにし、中国の特色のある社会主義の道を次第に広げ、現代の中国におけるマルクス主義がいっそう輝かしい真理の光を放つように努めなければならない。
三、科学的発展観を深く貫き、徹底させる
新しい発展段階において引き続き小康社会を全面的に建設し、中国の特色のある社会主義を発展させるには、必ず鄧小平理論と「三つの代表」の重要な思想を導きとすることを堅持し、科学的発展観を深く貫き、徹底させなければならない。
科学的発展観は、党の三世代にわたる中央指導グループの発展に関する重要な思想を継承、発展させたものであり、マルクス主義の発展に関する世界観と方法論を集中的に具現したものであり、マルクス・レーニン主義、毛沢東思想、鄧小平理論および「三つの代表」の重要な思想と一脈相通じるものであるとともに、時代とともに前進する科学的理論である。それはまた、わが国の経済・社会発展の重要な指導方針であり、中国の特色のある社会主義を発展させるうえで必ず堅持し、貫徹しなければならない重要な戦略思想である。
科学的発展観は、社会主義の初級段階における基本的国情に立脚し、わが国の発展の実践を総括し、外国の発展の経験を参考にし、新たな発展の要請に応えて提起されたものである。新しい世紀の新段階に入ってから、わが国の発展には一連の新しい段階的特徴が見られるようになった。それは主として次のようなものである。経済力は著しく強まっているが、それと同時に生産力の水準が総体的に高くなっておらず、自主的創造革新能力が強くなく、長期にわたり形成されてきた構造的矛盾や粗放型の成長パターンもなお抜本的に変わっていないこと。社会主義の市場経済体制は初歩的に確立したものの、それと同時に発展を妨げる体制・メカニズム上の障害が依然として存在し、改革の難関突破が深層部の矛盾や問題に直面していること。人民の生活は全般的に小康の水準に達したとは言え、それと同時に所得分配の格差拡大の傾向は今なおも抜本的に是正されておらず、都市農村における貧困層と低所得層の人口はかなり多く、全局的な立場から各方面の利益に適切に配慮を払う難しさが大きくなったこと。バランスのとれた発展には著しい成果が見られるが、それと同時に農業の基盤がぜい弱で、農村の発展が立ち遅れている状態はまだ好転しておらず、都市農村間、地域的発展の格差を縮小し、経済・社会のバランスのとれた発展を促進する任務が極めて重いこと。社会主義の民主政治は絶えず発展しつつあり、法に則って国を治めるという基本方略は着実に貫徹されているが、それと同時に民主・法制の整備は依然として人民民主の拡大と経済・社会発展の要請に完全に適応しておらず、政治体制の改革も引き続き深める必要があること。そして、社会主義の文化はさらなる繁栄を見せているが、それと同時に人民の精神・文化面の需要が日増しに旺盛なものとなり、人々の思想活動の独立性や選択性、多変性、差異性が目に見えて強まってきているため、社会主義の先進的文化の発展にさらなる要請が提起されていること。社会の活力は明らかに増強しているが、それと同時に社会構造、社会の組織形態、社会的利益の枠組においてはかなり大きな変容をとげつつあり、社会の整備と管理においてはいろいろな新しい課題に直面していること。また、対外開放は日増しに拡大しているが、それと同時に直面する国際競争もますます激しくなり、先進諸国が経済や科学技術分野で優位を占めていることによるプレッシャーは長期的に存在し、予見しうるリスクまたは予見しがたいリスクが増え、国内の発展と対外開放を統一的に協調させる上での要求がいっそう厳しいものとなることが挙げられる。
これらの状況が示しているように、新中国の成立以来、とりわけ改革開放以来のたゆまぬ努力により、わが国は世界の注目を集める発展の成果を勝ち取り、生産力から生産関係まで、経済的土台から上部構造に至るまでのいずれの面においても深遠な意義のある大きな変化をもたらしている。にもかかわらず、わが国が今なお、しかも今後長期にわたって社会主義の初級段階にあるという基本的国情は変わっておらず、人民の日増しに増大する物質・文化面の需要と立ち遅れた社会的生産との間の矛盾という主要な社会矛盾は変わっていない。当面わが国の発展に見られる段階的な特徴は、新しい世紀の新段階における社会主義初級段階の基本的国情を具現したものである。社会主義初級段階の基本的国情を見極めることを強調する狙いは、みだりに自己卑下となり、自ら後進であることに甘んずることでもなければ、実情から遊離し、功をあせることでもなく、あくまでもそれを改革の推進、発展の促進を図るための根本的よりどころとすることにある。われわれは必ず終始冷静な頭脳を保ち、社会主義初級段階というこの最も重要な現実に立脚し、経済グローバル化へ全面的に参入するわが国の直面する新たなチャンスや挑戦を科学的に分析し、工業化や情報化、都市化、市場化、国際化のさらなる進捗に伴って生まれた新しい情勢や任務を全面的に認識するとともに、わが国の発展の中で直面している新しい課題と新しい矛盾を深くとらえ、さらなる自覚をもって科学的発展の道を歩み、全力をあげて中国の特色のある社会主義の、いっそう広々とした発展の前途を切り開かなければならない。
科学的発展観について、その第一義とするところは発展、核心は人間本位、基本的要請は全面的で、バランスのとれた、持続可能なこと、根本的な方法は全局的立場に立った各方面への適切な配慮である。
――発展ということを党の執政と国家振興における第一義的な重要任務とすること。発展ということは、小康社会を全面的に建設し、社会主義現代化の進捗を速める上で決定的な意義をもっている。経済の建設というこの中心をしっかりつかみ、すべての力を集中して建設に取り組み、一意専心発展を求め、社会生産力を絶えず解放し、発展させていかなければならない。科学技術・教育による国家振興の戦略、人材による国力増強の戦略および持続可能な発展の戦略をよりよく実施し、発展の法則の把握や発展理念の革新、発展パターンの転換、発展における難問の解決に力を入れ、発展の質と効率を向上させ、立派で急速な発展を実現し、中国の特色のある社会主義を発展させるために強固な基礎を築き上げる。人間本位および全面的で、バランスのとれた、持続可能な科学的発展を実現し、各方面の事業が有機的に統一し、社会構成員の団結融和が深まるという調和のとれた発展を実現し、世界平和の擁護による自己発展と自己発展による世界平和の擁護を両立させる平和発展を実現するよう努める。
――人間本位を堅持すること。誠心誠意人民に奉仕することは党の根本的主旨であり、党のすべての奮闘と活動はいずれも人民に幸せをもたらすためである。終始最も広範な人民の根本的利益を立派に実現し、擁護し、発展させることを、党と国家のすべての活動の出発点もしくは立脚点としなければならず、人民の主体的な地位を尊重し、人民の創造精神を発揮させ、人民の諸般の権益を保障し、ともに豊かになる道を歩むとともに、人間としての全面的な発達を促進して、発展は人民のためにあり、発展は人民に依拠し、発展の成果は人民がともに享受するようにしなければならない。
――全面的で、バランスのとれた、持続可能な発展を堅持すること。中国の特色のある社会主義事業の全般的布石に基づいて、経済の建設、政治の建設、文化の建設と社会の建設を全面的に推進し、現代化建設における各段階、各方面の相互協調を促進し、生産関係と生産力、上部構造と経済的土台の相互協調を促進する。生産が発展をとげ、生活が豊かになり、生態環境が良好であるという文明的な発展の道を堅持し、資源節約型、環境にやさしい社会の構築をはかり、スピードを構造・質・効率と統一させ、経済の発展と人口・資源・環境とのバランスを実現し、人民が良好な生態環境の中で生産に携わり、生活を営むようにし、経済・社会の長期的で持続可能な発展を実現する。
――全局的立場に立った各方面への適切な配慮を堅持すること。中国の特色のある社会主義事業における重要な諸関係を正しく認識し、適切に処理し、都市と農村の発展、地域的発展、経済と社会の発展、人間と自然との調和のとれた発展、国内の発展と対外開放を統一的に協調させ、中央と地方の関係を統一的に協調させ、個人の利益と集団の利益、局部的利益と全体の利益、短期的利益と長期的利益を統一的に協調させ、そうすることによって各方面の意欲を十分に引き出す。また、国内と国際という二つの大局を統一的に協調させ、世界的な視野をもって、戦略的思考力を強め、国際情勢の発展、変化の中から発展のチャンスをつかみとり、リスクや挑戦に対処することに長じ、望ましい国際環境を作り出す。全局を統轄し、統一的に企画するとともに、全局に影響を及ぼす主要な活動および大衆の利益に関わる際立った問題をきちんと押さえて、全力をあげてこれらの活動を推し進め、問題の解決で重点的に突破をはからなければならない。
科学的発展観を深く貫き、徹底させるには、われわれは終始「一つの中心、二つの基本点」の基本路線を堅持する必要がある。党の基本路線は党と国家の生命線であり、科学的発展を達成するための政治的保証である。経済の建設を中心とすることは、国家の振興を図る上でのカナメであり、わが党とわが国が繁栄、発展を成し遂げ、長期的な安定を維持する根本的要請である。四つの基本原則は立国の本であり、わが党とわが国が生存し、発展をとげるための政治的礎石である。改革開放は国力の増強につながる道であり、わが党とわが国が発展、進歩する活力の源である。したがって、経済の建設を中心とすることと四つの基本原則、改革開放という二つの基本点を、中国の特色のある社会主義を発展させる偉大な実践に統一することを堅持しなければならず、いかなる時においても決してそれを揺るがしてはならない。
科学的発展観を深く貫き、徹底させるには、われわれは社会主義の調和社会を構築する必要がある。社会の調和は中国の特色のある社会主義の本質的属性である。科学的発展と社会の調和は内在的に統一したものである。科学的発展がなければ社会の調和は成り立たず、社会の調和がなければ科学的発展は実現できなくなる。社会主義の調和社会を構築することは、中国の特色のある社会主義事業の全過程にまたがる、長期にわたる歴史的任務であり、発展を踏まえてさまざまな社会矛盾を正しく処理する歴史的過程と社会的結果である。発展を通して社会の物質的富を増やし、人民の生活を絶えず改善する一方、発展を通して社会の公平と正義を保障し、絶えず社会の調和を促進していかなければならない。社会の公平と正義を実現することは、中国共産党の党員の一貫した主張であり、中国の特色のある社会主義を発展させる上での重要な任務である。民主・法治、公平・正義、信義・友愛を求め、活力にあふれて、安定した秩序を保ち、人間と自然が仲良く共存するという全般的な要請、および共に建設に取り組み、共に享受する原則に則り、人民大衆が最も関心をもち、最も直接的で、最も現実的な利益とかかわりのある問題の解決に力点をおき、全人民がそれぞれの能力を尽くし、またそれぞれに得るところがあり、なおかつ睦まじく共存しあう状況を作り出し、発展のための望ましい社会環境をもたらすことに努めなければならない。
科学的発展観を深く貫き、徹底させるには、われわれは引き続き改革開放を深化させる必要がある。改革・革新の精神を国政運営の節々に貫徹させ、確固として揺るぐことなく改革の方向付けを堅持し、改革に関わる政策決定の科学性を高め、改革措置の整合性を増強させなければならない。社会主義の市場経済体制を完全なものにし、各方面の体制に対する改革と革新を推進し、重要分野と肝要な部分における改革のテンポを速め、全面的に開放の水準を向上させ、活力にあふれ、効率が高く、より開放的で、科学的発展にプラスとなる体制・メカニズムの構築に力を入れ、中国の特色のある社会主義の発展のための強大な原動力と体制上の保障を提供する。人民の生活の改善を、改革、発展、安定の関係を正しく処理する上での重要な接点とすることを堅持し、改革が終始人民の擁護と支持を得るようにしなければならない。
科学的発展観を深く貫き、徹底させるには、われわれは党の建設を着実に強化し、改善する必要がある。執政と国家振興という党の使命を全うする次元に立って、科学的発展を導き、社会の調和を促進する中で、党の執政能力の向上および党の先進性の保持と増強を具現し、中国の発展と進歩を導き、最も広範な人民の根本的利益をよりよく代表し、実現することにそれを貫徹させ、これにより党の活動と党の建設を科学的発展の要請にいっそう適応させ、科学的発展のために確実な政治・組織上の保障を提供するようにしなければならない。
全党の同志は科学的発展観の科学的内容と真髄を全面的に把握し、科学的発展観を貫く自覚と確固不動さを固め、科学的発展観に適応しないかまたは合致しない思想・意識を転換させることに力点を置き、科学的発展を妨げ、それを制約する際立った問題の解決に力を入れ、発展をめざす全社会の積極性を科学的発展へと誘導し、科学的発展観を経済・社会発展の各方面に徹底させなければならない。
四、小康社会の全面的な建設という目標の実現に向けての新たな要請
われわれは、すでに小康社会を全面的に建設するという中国共産党第十六回全国代表大会で確立された目標に向けて確実な一歩を踏み出しているが、今後とも引き続き奮闘努力し、二〇二〇年までに小康社会を全面的に築き上げる奮闘目標の達成を確保しなければならない。
われわれは、国内外の情勢の新たな変化に即し、より良い生活を求める各民族人民の新しい期待に応え、経済・社会発展の趨勢と法則をとらえ、中国の特色のある社会主義経済の建設、政治の建設、文化の建設、社会の建設の基本目標および基本政策からなる基本綱領を堅持しなければならず、小康社会を全面的に築き上げるという中国共産党第十六回全国代表大会で確立された目標をふまえ、わが国の発展に対して新たな、より高い要求を提起しなければならない。
――発展の協調性を増強し、立派で急速な経済成長の達成に努める。発展パターンの転換でかなり大きな進展をとげ、構造の最適化、効率の向上、エネルギー消費の削減と環境の保護をふまえて、二〇二〇年までに一人当たりのGDPが二〇〇〇年に比べ四倍増になる目標を実現させる。社会主義の市場経済体制がさらに充実化することになる。自主的創造革新能力が著しく増強し、経済成長への科学技術進歩の貢献度が大幅に上昇し、創造革新型国家への仲間入りを果たすことになる。住民消費率が着実に伸び、消費、投資、輸出にともに牽引される成長の枠組みが構築される。都市農村、また地域間の調和のとれた相互促進を目指す発展メカニズム及び主体機能区の配置がほぼ確立される。社会主義新農村の建設の面で大きな進展をとげるようになる。都市部人口のウエートが目に見えて増加するようになる。
――社会主義民主を拡大し、人民の権益と社会の公平・正義をよりよく確保する。公民の政治参加が秩序整然と拡大されるようになる。法によって国を治める基本的な方略が深層部まで徹底し、全社会の法意識がいっそう深まり、法治政府の建設で新しい成果が見られるようになる。末端部の民主制度がさらに充実される。政府の基本的公共サービス提供の能力がいちじるしく増強される。
――文化の建設を強化し、全民族の文明的資質の著しい向上をはかる。社会主義の中核的価値体系を人々の心に根着かせ、良好な思想モラルの気風をさらに発揚する。全社会をカバーする公共文化サービスシステムがほぼ確立され、国民経済に占める文化産業のウエートが目に見えて上昇し、国際競争力が著しく強化され、人民の需要に適した文化製品がより豊かになる。
――社会事業の発展を速め、人民の生活の全面的な改善に力を入れる。現代的な国民教育システムがさらに充実され、生涯教育システムがほぼ構築され、全国民の教育水準および革新型人材の養成水準が著しく向上する。社会における就業がより十分なものとなる。都市農村住民をカバーする社会保障システムがほぼ構築され、誰もが基本的生活保障を享有するようになる。所得分配の合理的で秩序整然とした枠組みが基本的に形成され、中所得者が多数を占め、絶対的な貧困がほぼ消滅することになる。だれもが基本医療衛生サービスを享有することになる。社会管理システムがより健全なものとなる。
――エコ文明を建設し、省エネ・省資源で生態環境にやさしい産業構造と成長パターン、消費モデルを基本的に形成させる。循環型経済がかなり大きな規模をもつに至り、再生可能エネルギーのウエートが顕著に引き上げられる。主要汚染物質の排出は効果的に抑制され、生態環境の質は明らかに改善される。エコ文明の意識が社会全体に定着するようになる。
小康社会を全面的に建設するという目標が実現する二〇二〇年になると、長い歴史を持つ古い文明国、かつ発展途上の社会主義大国と言われるわが国は、工業化がほぼ達成し、総合国力が著しく強化され、国内市場の全般的規模が世界の上位に並ぶ国、人民の富裕度が普遍的に向上し、生活の質が目に見えて改善し、生態環境が望しい国、また人民がより十分な民主的権利を享有し、より高い文明的資質と精神面での追求を有する国となり、さらに諸般の制度がいっそう充実し、社会が活力にあふれる一方、安定して強い結束力をもつ国、対外開放がいっそう拡大し、世界の人々に非常に親近感をもたれ、人類の文明により大きな貢献をする国となろう。
今後の五年間は、小康社会を全面的に建設するための肝要な時期である。われわれは強い信念をもって、一心不乱に仕事に取り組み、十数億人が恩恵に浴する水準のより高い小康社会を全面的に築き上げるために、よりいっそう強固な基礎をうち固めなければならない。
五、国民経済の立派で急速な発展を促す
今後の経済発展目標を達成するには、経済成長パターン転換の加速、社会主義市場経済体制の完備化の面で大きな進展をとげることがポイントである。経済構造の戦略的な調整を推し進めることに大いに力を入れ、自主的創造革新能力の増強、省エネ・環境保護のレベルアップ、また経済全般の質と国際競争力の向上により多く気をくばらなければならない。社会主義市場経済の法則に対する認識を深め、制度の整備により資源配分における市場の基礎的役割をより上手に発揮させ、科学的発展のためになるマクロ・コントロールシステムを構築する。
(一)自主的創造革新能力を向上させ、創造革新型国家を構築する。これは国家発展戦略の中核であり、総合国力を増強するためのポイントである。中国の特色のある自主的創造革新の道を歩むことを堅持し、自主的創造革新能力の増強を現代化建設のあらゆる面で徹底させる。国の中長期科学・技術発展計画要綱を真剣に実行し、自主的創造革新への資金投下を増やし、経済・社会の発展を制約するカギとなる技術の難関突破に力を注ぐ。国家創造革新体系の整備を速め、基礎研究や先端技術の研究、社会公益型技術の研究をバックアップする。企業を主体とする、市場志向の産・学・研結合の技術創造革新体系の確立を速め、創造革新要素が企業へシフトするよう誘導、奨励し、科学技術成果が現実の生産力へ転化するよう促す。科学技術管理体制の改革を深め、科学技術資源の配置を最適化させ、技術のイノベーションと科学技術成果の産業化を奨励する法制上の保障、政策体系やインセンティブ・メカニズム及び市場環境を完備させる。知的財産権戦略を実施する。海外の科学技術資源を十分に活用する。創造革新の奨励に向けての環境づくりにいっそう力を入れ、世界一流の科学者および科学技術関連のリーダーとしての人材の養成に努め、第一線での創造革新人材の養成を重んじ、全社会で創造革新のアイデアが次々と現われ、各分野で創造革新の人材が輩出するようにする。
(二)経済成長パターンの転換を急ぎ、産業構造の最適化とグレードアップを推進する。これは国民経済の全局にかかわる差し迫った重要な戦略的任務である。中国の特色のある新しいタイプの工業化の道を歩むことを堅持し、内需わけても消費需要の拡大という方針を堅持して、経済成長を主として投資、輸出によって牽引することから消費、投資、輸出によってともに牽引するように、主として第二次産業による牽引から第一、第二、第三次産業によってともに牽引することへ、また主として物的資源消費に頼ることから科学技術の進歩や勤労者の資質の向上および管理のイノベーションに頼ることへと転換するよう促進する。現代的産業システムを発展させ、情報化と工業化の融合を大きく推し進め、規模の大きな工業から実力をもつ工業への転換を促し、設備製造業を振興させ、立ち遅れた生産能力を淘汰する。ハイテク産業のレベルアップをはかり、情報、バイオ、新素材、航空・宇宙飛行、海洋などの産業を発展させる。現代的サービス業を発展させ、サービス業の占めるウエートやサービス水準の向上に努める。基盤産業とインフラ施設の整備を強化し、現代的エネルギー産業と総合運輸システムの発展を速める。製品の品質と安全を確保する。国際競争力を備えた大手企業グループの発展を奨励する。
(三)都市農村の発展を統一的に企画し、社会主義新農村の建設を推し進める。農業・農村・農民問題をりっぱに解決できるかどうかは、小康社会を全面的に建設する大局にかかわるものであり、それをあくまでも全党の活動の最優先課題に位置づけなければならない。農業の基礎としての地位を強化し、中国の特色のある農業現代化の道を歩み、「工業の発展によって農業の発展を促し、都市の発展によって農村の発展を牽引する」という長期的に効果のあるメカニズムを確立し、都市農村の経済・社会発展の一体化という新しい枠組みを形成させる。あくまで現代農業の発展と農村経済の繁栄を第一義的な任務とし、農村のインフラ施設の整備を強化し、農村市場体系と農業サービスシステムの健全化に取り組む。農業に対する支援・優遇策をさらに強化し、耕地を厳格に保護し、農業への資金投下を増やし、農業の科学技術進歩を促し、農業の総合生産能力を増強し、国の食糧安全を確保する。動植物疫病の予防・抑制を強め、農産物の品質・安全レベルを高める。農民の収入増の促進を軸として、郷鎮企業を発展させ、県域経済を増強させ、多ルートによる農民の就業移転を進める。貧困脱却扶助のための開発のレベルアップをはかる。農村の総合的改革を深め、農村における金融体制の改革と革新を推し進め、樹林集団所有権制度を改革する。農村の基本経営制度を堅持し、土地の請負関係を定着、充実させ、合法・自由意志・有償という原則に基づいて、土地請負経営権の譲渡市場を健全なものにし、条件の備わった地方は多形態で適正な規模経営を行うことができる。集団経済の効果的な実現形態を模索し、農民の専業合作経済組織を発展させ、農業の産業化経営と先導企業の発展をサポートする。知識があり、技術に通じ、経営に長じた新しいタイプの農民を育成し、新農村の建設において数億の農民に主体的な役割を果たさせる。
(四)エネルギー資源の節約と生態環境の保護を強化し、持続可能な発展能力を増強する。資源節約・環境保護という基本的な国策を堅持することは、人民大衆の切実な利益と中華民族の生存・発展にかかわるものである。資源節約型で環境に優しい社会の建設を工業化、現代化の発展戦略の際立った位置に据え、すべての部門と家庭まで徹底させなければならない。エネルギー資源の節約と生態環境の保護のための法律や政策を充実させ、持続可能な発展につながる体制やメカニズムの構築を急ぐ。省エネ・汚染物質排出削減活動における責任制を確実に実行する。省エネ、エネルギー代替、リサイクル及び汚染対策に適用する先進技術を開発し、普及させ、クリーン・エネルギーと再生可能エネルギーの開発に取り組み、土地と水資源を保護し、科学的かつ合理的なエネルギー資源利用体系を確立し、エネルギー資源の利用効率を高める。環境保護産業を発展させる。省エネ・環境保護への資金投下を増やし、重点的には水、大気、土壌などの汚染対策を強化し、都市農村住民の居住環境を改善する。水利施設、林業、草地の整備を強め、砂漠化・石漠化対策を強化し、生態系の復元を促進する。気候変化への対応能力を増強し、世界の気候の改善に新しい貢献を行う。
(五)地域間のバランスのとれた発展を推し進め、国土開発の枠組みの最適化をはかる。地域間の発展の格差を是正するには、基本的公共サービスの均等化、生産要素の地域に跨がる合理的な移動の誘導に重点をおかなければならない。地域的発展のトータル戦略を引き続き実施し、西部大開発を突っ込んで推し進め、東北地区など旧工業基地の全面的な振興に取り組み、中部地区の台頭を大いに推進し、東部地区が率先して発展することを積極的にサポートする。国土計画を強化し、主体機能区設置の要請に則って、地域政策を完備させ、経済の配置を調整する。市場経済の法則に従い、行政区画の枠を超えて、強い牽引力をもって緊密に連係しあう経済圏と経済ベルト地帯をいくつかつくる。重要プロジェクトの配置にあたっては、中西部地区の発展に寄与することを十分に配慮し、東部地区が中西部地区の発展を牽引、支援するよう奨励する。かつての革命根拠地、民族居住地区、辺境地区、貧困地区の発展に対する扶助をさらに強化する。資源の枯渇した地区の経済パターンの転換をバックアップする。改革開放および自主的創造革新における経済特別区、上海浦東新区、天津浜海新区の重要な役割をよりよく発揮させる。中国の特色のある都市化の道を歩み、「都市と農村の統一的計画、合理的配置、土地の節約、機能の充実化、大による小の牽引」という原則に基づいて、大・中・小都市と町のバランスのとれた発展を促進する。総合受容能力の増強を重点に、特大都市を拠点として、広範囲の波及力のある都市群を形づくり、新たな経済成長の極(ポール)を育成する。
(六)基本的な経済制度を充実させ、現代的市場体系の健全化をはかる。公有制を主体とし、多種類の所有制経済が共に発展する基本的な経済制度を堅持し、充実させ、公有制経済を確固として揺るぐことなくうち固め、発展させ、非公有制経済の発展を確固として揺るぐことなく奨励、サポート、誘導し、物権を差別することなく保護することを堅持し、様々の所有制経済が平等に競争し、促進しあう新しい枠組みを形成させる。国有企業の公司制・株式制改革を掘り下げて推し進め、現代企業制度の健全化に取り組み、国有経済の配置と構造を最適化させ、国有経済の活力、支配力と影響力を増強させる。独占業種の改革を深め、競争メカニズムを導入し、政府による監督管理と社会による監督を強化する。国有資本経営の予算制度の整備を急ぐ。各種類の国有資産の管理体制と制度を充実させる。集団制企業の改革を推し進め、多形態の集団経済、合作経済を発展させる。公平な市場参入を推し進め、資金調達条件を改善し、制度上の障害を取り払い、個人経営、私営経済と中小企業の発展を促す。現代的財産権制度をもとに混合所有制の経済を発展させる。統一的で開放した、競争しながらも秩序の整った現代的市場体系の形成を速め、各種類の生産要素市場を発展させ、市場の需給関係や資源不足の度合、環境破壊コストを反映する生産要素・資源価格形成メカニズムを完全なものにし、業種協会と市場仲介機構を規範化し、発展させ、社会信用システムを健全なものにする。
(七)財政・租税、金融などの面の体制改革を深め、マクロ・コントロールシステムの健全化をはかる。基本的公共サービスの均等化および主体機能区の整備を推進することを軸として、公共財政システムの完備化に取り組む。予算制度の改革を突っ込んで進め、予算の管理と監督を強化し、事務管轄・管理権対応の中央・地方財力体制を充実させ、統一的で規範化された、透明性のある財政移転支出制度の確立を速め、一般的移転支出の規模と比例を引き上げ、公共サービス分野への資金投下を増やす。省クラス以下の財政体制を充実させ、末端政府の公共サービス提供能力を増強させる。科学的発展に資する財政・租税制度を実行し、資源有償使用制度と生態環境補償メカニズムを確立し、健全なものにする。金融体制の改革を推し進め、各種類の金融市場を発展させ、多種類の所有制と複数の経営形態が並存し、構造が合理的で、機能がよくそろい、高効率で安全な現代的金融体系を形成する。銀行業、証券業、保険業の競争力を向上させる。資本市場の構造の最適化をはかり、複数のルートを通じての直接資金調達のウエートを引き上げる。金融への監督管理を強化、改善し、金融リスクの予防と回避に努める。人民元為替レートの形成メカニズムを充実させ、資本勘定における交換性を次第に実現する。投資体制の改革を深化させ、市場参入制度を厳しくし、健全なものにする。国の企画体系を充実させる。マクロ・コントロールにおける国の発展企画や計画と産業政策の指導的な役割を発揮させ、財政政策、通貨政策を総合的に運用し、マクロ・コントロールの水準を高める。
(八)対外開放をより広く、深く推し進め、開放型経済のレベルアップをはかる。対外開放という基本的な国策を堅持し、「国外からの導入」と「海外に出て行く」ことをよりよく結びつけ、開放の分野を広げ、開放構造の最適化に力を入れ、開放の質的向上をはかり、内外連動、互恵・ウィンウィン、安全かつ高効率の開放型経済体系を充実させ、経済グローバル化の中で国際経済協力や競争に参与する新しい優位の形成に努める。沿海地域の開放を深化させ、内陸部の開放を速め、国境沿い地域の開放レベルを向上させ、対内・対外開放の相互促進をはかる。対外貿易の成長パターンの転換を急ぎ、品質で勝負することに立脚し、輸出入構造を調整し、加工貿易のパターン転換とグレードアップを促し、サービス貿易を大いに発展させる。外資利用方式の革新を行い、外資利用構造の最適化に力を入れ、自主的創造革新、産業のグレードアップ、地域間の調和のとれた発展などの面における外資利用の積極的な役割を果たさせる。対外投資と協力方式のイノベーションを行い、企業の研究・開発、生産、販売などの面における国際化運営をサポートし、わが国の多国籍企業および世界的に著名なブランドの育成を加速する。エネルギー資源の国際的な互恵協力を鋭意くりひろげる。自由貿易地域(FTA)戦略を実施し、二国間または多国間の経済貿易協力を強化する。総合的な措置を講じて国際収支の基本的な均衡を促す。国際的な経済リスクの回避に気をくばる。
国民経済の立派で急速な発展が実現すれば、わが国の経済力をさらに増強し、社会主義市場経済の強い生気と活力をいっそう立証することはまちがいない。
六、社会主義の民主政治を確固として揺るぐことなく発展させる
人民民主は社会主義の生命である。社会主義の民主政治を発展させることは、わが党の終始変わることのない奮闘目標である。改革開放いらい、われわれは政治体制の改革を積極的かつ着実に推し進め、わが国の社会主義民主政治はこれまで以上に旺盛な生命力を示している。政治体制の改革は、わが国の全面的な改革の重要な一環として、経済・社会の発展に伴って絶えず深化し、人民の政治参加意欲の絶えざる向上に呼応するものでなければならない。中国の特色のある社会主義政治の発展の道を堅持し、党の指導と、人民の主人公としての地位と法による治国との有機的な統一を堅持し、人民代表大会制度、中国共産党の指導する多党合作と政治協商制度、民族区域自治制度および末端の大衆自治制度を堅持し、充実させ、社会主義政治制度の自己改善と発展をたえず推し進める。
政治体制の改革を深化させるには、正しい政治方向を堅持し、人民の主人公としての地位の確保を根本とし、党と国家の活力の増強や人民の積極性の喚起を目標とし、社会主義の民主を拡大し、社会主義の法治国家を建設し、社会主義の政治文明を発展させなければならない。党が全局を統括し、各方面に対して協調を行うという指導上の中核的な役割を堅持し、党の科学的執政、民主的執政、法による執政のレベルを高め、党が人民を指導して国を効果的に治めることができるよう確保する。国のあらゆる権力が人民に属することを堅持し、各レベル、各分野において公民の秩序整然とした政治参加を拡大させ、人民にもっとも広い範囲で働きかけ、法による国の事務や社会の事務の管理および経済、文化事業の管理を行わせる。法によって国を治める基本的な方略を堅持し、社会主義の法治理念を確立し、国の諸活動の法治化をはかり、公民の合法的な権益を確保する。社会主義政治制度の特色と優位性を堅持し、社会主義民主政治の制度化、規範化、プロセス化を推進し、党と国家の長期的安定を政治と法律制度の面から保障する。
(一)人民民主を拡大し、人民の主人公としての地位を確保する。人民が主人公となることは社会主義の民主政治の本質であり、中核でもある。民主制度の健全化をはかり、民主の形態を充実させ、民主のルートを広げ、法にもとづいて民主的選挙、民主的政策決定、民主的管理、民主的監督を実行することによって、人民の知る権利、参画権、意思表示権、監督権を保障すべきである。人民代表大会が法にもとづいて機能を果たすことをサポートし、党の主張が法で定められた手続きを通して国の意思となるようにする。人民代表が法によって職権を行使することを保障し、人民代表と民衆とのつながりを緊密にし、都市部でも農村でも逐次同じ人口比例で人民代表を選出することを提言する。人民代表大会常務委員会制度の充実化を強め、常務委員会構成員の学歴と年齢構造の最適化をはかる。人民政治協商委員会が団結と民主という二つの大きなメーンテーマをめぐって機能を果たすことをサポートし、その政治協商、民主的監督、国政への参加と国政審議制度の充実化を推し進め、政治協商を政策決定の手続きに組み入れ、民主的監督メカニズムを健全なものにし、国政への参加と国政審議の実効を高める。政治協商委員会そのものの建設を強め、その諸関係の協調、力の結集、提言や献策、大局のために力を尽くすといった重要な役割を発揮させる。各民族が一律に平等であることを堅持し、民族自治地方が法によって自治権を行使することを保障する。政策決定の科学化、民主化を推し進め、政策決定のための情報と知的支援のシステムを健全化し、政策決定の透明度と公衆参与の度合いを強め、大衆の利益と緊密につながる法律・法規と公共政策を制定する場合、原則としてオープンに意見を聴取する。公民意識の教育を強化し、社会主義の民主・法治、自由・平等、公平・正義の理念を確立させる。労働組合、共産主義青年団、婦女連合会など人民団体が法律とそれぞれの規約によって活動を展開し、社会管理と公共サービスに参画することをサポートし、民衆の合法的な権益を擁護する。
(二)末端の民主を発展させ、人民がより多く、より確実な民主的権利を保有することを保障する。人民が法にもとづいて直接民主的権利を行使し、末端の公共事務と公益事業を管理し、自らに対する管理、サービス、教育、監督を実施し、幹部に対し民主的監督を実行するということは、人民の主人公としての地位を確保するための最も効果的な、最も広い方途であるので、社会主義の民主政治を発展させる基礎的プロジェクトとして重点的に推し進めてゆかなければならない。末端党組織の指導する、活力に満ちた末端大衆自治メカニズムの健全化をはかり、末端の大衆の自治の範囲を拡大し、民主的管理制度を充実させることによって、都市農村のコミュニティーを秩序整然と管理し、行き届いたサービスを提供し、文明的かつ和やかな雰囲気に包まれた社会生活共同体に築き上げるべきである。誠心誠意労働者階級に頼り、職員・労働者代表大会が基本形式である企業・事業体の民主的管理制度を充実化し、企業事務の公示をおしすすめ、職員・労働者が管理に参与することをサポートし、職員・労働者の合法的権益を擁護する。郷・鎮機構の改革を深め、末端政権の整備を強化し、政務の公開、村の事務の公開などの制度を充実させ、政府による行政管理と末端の大衆による自治との効果的なかみ合わせと良好な相互促進をはかる。大衆の参与を拡大し、大衆の苦情・要求を反映する面で社会組織の積極的な役割を発揮させ、社会の自治機能を増強する。
(三)法によって国を治める基本方略を全面的に貫き、社会主義の法治国家を建設するテンポを速める。法にもとづいて国を治めることは社会主義の民主政治の基本的要請である。科学的立法、民主的立法を堅持し、中国の特色のある社会主義の法体系を充実化する。憲法と法律の執行を強化し、公民が法律を前に一律に平等であることを堅持し、社会における公平と正義を擁護し、社会主義法制の統一、尊厳、権威を擁護する。法に基づく行政を推し進める。司法体制の改革を深化させ、司法の職権配置の最適化、司法行為の規範化をはかり、公正な、高効率の、権威のある社会主義の司法制度を整備し、裁判機関、検察機関が法によって独立的かつ公正に裁判権、検察権を行使するよう保障する。公安・検察陣の建設を強化し、法律の執行が厳格に公正的かつ文明的に行われるようにする。法制の広報・教育を突っ込んで展開し、法治精神を発揚し、自ら進んで法を学び、意識的に法によって自らの行為を律し、自覚を持って法規を運用するといった社会的雰囲気を醸成するようにする。人権を尊重して保障し、法にのっとって社会の人々全体が平等に参与し、平等に発達する権利を保障する。各クラスの党組織と党員全体は自覚を持って憲法と法律の範囲内において活動をおこない、率先して憲法と法の権威を擁護すべきである。
(四)愛国統一戦線を大きく育て上げ、結集しうる勢力をすべて結集する。政党の関係、民族の関係、宗教の関係、階層の関係および国内同胞と海外同胞間の関係の調和を促進することは、団結の増進、力の結集にとって代替することのできない役割を果たすことになろう。長期にわたって共存し、相互に監督し合い、肝胆相照らし、栄辱を共にするという方針を貫徹し、民主諸党派との合作を強め、民主諸党派と無党派の人々が国政への参加と国政審議や、民主的監督の機能をよりよく果たすことをサポートし、より多くの優れた党外の幹部を選抜、推薦して指導的ポストにつかせる。各民族がともに団結奮闘し、ともに繁栄し、発展していくというメーンテーマをしっかりと捉え、少数民族の合法的な権益を保障し、平等、団結、相互協力、調和のとれた社会主義の民族関係を強固なものにするとともに、それを発展させる。党の宗教活動に関する基本方針を全面的に実施し、宗教界における有識者と信者に経済・社会の発展を促す上での積極的な役割を発揮させる。新しい社会階層の人々が意欲的に中国の特色のある社会主義の建設に身を投じるよう奨励する。党の華僑政策を真剣に貫徹し、海外の華僑同胞、帰国華僑および国内にいるその家族が祖国の現代化建設と平和的統一の大業に関心を寄せ、参与することをサポートする。
(五)行政管理体制の改革を加速させ、サービスを旨とする政府を築きあげる。行政管理体制を改革することは改革を深化させるうえでの重要な一環である。行政管理体制改革に関する全般的方策の制定を急ぎ、機能の転換、諸関係の整理、構造の最適化、効率の向上に重点を置き、権限と責任が一致し、分担も合理的であり、政策決定が科学的に行われ、それをスムーズに執行し、有力に監督するというような行政管理体制が形成されるようにする。政府職責体系の健全化をはかり、公共サービスシステムを整備し、電子政務を推し進め、社会管理と公共サービスを強化する。政府と企業との分離、政府と国有資産との分離、政府と事業体との分離、政府と市場仲介機構との分離を速め、行政行為を規範化する。行政法律執行部門の建設を強化し、行政審査・許認可手続きを減らし、その規範化をはかり、ミクロ経済の運営に対する政府の介入を減らす。垂直管掌部門と地方政府との関係を規範化する。機構統合の度合いを大きくし、諸職能を有機的に統一させる大部門体制の実行を模索し、部門間の協調・協力メカニズムを健全なものにする。様々な議事協調機構およびその事務機構の簡素化と規範化をはかり、行政的手続きを減らし、行政コストを引き下げ、機構の重複や、職責の交差により、政策が多くの部門から出されるという問題の解決に力を入れる。党委員会や、政府機関、人民代表大会、政治協商会議の機構を統一的に配置し、指導者のポストの数を減らし、定数を厳しく規制する。事業体の類別の改革の推進を急ぐ。
(六)制約メカニズムと監督メカニズムの充実化をはかり、人民に与えられた権力が終始人民の利益のために用いられるよう保証する。権力の正しい行使を確保するには、権力がオープンに行使されるようにしなければならない。制度によって権力を行使し、事務を処理し、人を管理することを堅持し、政策の決定権、執行権、監督権が相互に制約されながら相互に協調されるといった権力の構造と運行メカニズムを確立し、充実させる。組織法制と手続きのルールを充実化し、政府機関が法律で定められた権限と手続きにのっとって権力を行使し、職責を果たすことを確保する。各種類の事務処理公開制度を健全なものにし、政府活動の透明度を高くし、公衆の政府への信頼を高める。指導幹部、とりわけ主要指導幹部や、人材・資金・物資の管理と運用、重要ポストなどに対する監督を重点的に強化し、答申、問責、経済責任監査、引責辞職、罷免などの制度を充実させる。党内における監督条例を実施に移し、民主的監督を強化し、世論による監督の役割を果たさせ、監督の合力と実効を増強させる。
社会主義が発展すればするほど、民主も発展するものである。中国の特色のある社会主義を発展させる歴史の過程で、中国共産党の党員と中国人民は必ずや強大な生命力を持つ社会主義の民主政治を絶えず発展させていくに違いない。
七、社会主義文化の大発展と大繁栄を促す
当面の時代において、文化はますます民族の結束力と創造力の重要な源となっており、総合国力の競争の重要な要素ともなっているので、精神・文化生活を豊かにすることはますますわが国民の熱望するところとなっている。社会主義の先進的文化の前進する方向を堅持し、社会主義文化建設の新しい高まりを盛り上げ、全民族の文化を創出する活力を呼び起こし、文化の面における国のソフトパワーを高めることによって、国民の基本的な文化的権益がよりよく保障され、社会の文化生活がより豊富多彩なものになり、国民の精神的様相がより高揚し、向上を求めるようにすべきである。
(一)社会主義の中核的価値体系を確立し、社会主義イデオロギーの吸引力と結束力を強める。社会主義の中核的価値体系は社会主義イデオロギーを本質的に具現したものである。マルクス主義の指導的地位を打ち固め、マルクス主義の中国化したざん新な成果をもって全党を武装し、国民を教育することをたゆむことなく堅持し、中国の特色のある社会主義の共通の理想をもって力を結集し、愛国主義を核心とする民族精神および改革・革新を中核とする時代精神をもって闘志を励起し、社会主義の栄辱観をもって気風を導き、全党、全国各民族人民が団結奮闘してきた共通の思想的基盤を打ち固める必要がある。理論の創造革新を大いに推し進め、現代中国のマルクス主義に鮮明な実践の特色、民族の特色、時代の特色が絶えずもたせるようにする。中国の特色のある社会主義理論体系の宣伝・普及活動を展開し、現代中国のマルクス主義の大衆化を促す。マルクス主義理論の研究・建設プロジェクトを推し進め、重要な理論問題と実際問題についてそれを突っ込んで解明し、数多くのマルクス主義理論家とくに中・青年理論家を育て上げる。社会主義の中核的価値体系を確実に国民教育と精神文明の建設の全プロセスに融け込ませ、人民が意識的に追求するものと転化させる。社会主義の中核的価値体系をもって社会思潮を導く効果的な方途を積極的に模索し、イデオロギー面の活動を能動的におこない、差異を尊重し、多様性を受容する一方、いろいろの誤った思想や腐り果てた思想の影響を力強く食い止める。哲学・社会科学の繁栄と発展をはかり、学科体系、学術観点、科学研究方法の革新を推し進め、哲学・社会科学界が党と人民の事業のためにシンクタンクとしての役割を果たすよう奨励し、わが国の哲学・社会科学の優れた成果や人材が世界で頭角を現すことができるよう推し進める。
(二)調和のとれた文化を醸成し、文明の気風をはぐくむ。調和のとれた文化は国民全体が団結進歩をめざす重要な精神的支柱となるものである。報道・出版、ラジオ・映画・テレビ、文学芸術事業を積極的に発展させ、正しい方向付けを堅持し、社会の正しい気風を発揚させる。都市部と農村、地域間の文化の調和のとれた発展を重視し、農民、人里離れた地域の住民、都市部に入った出稼ぎ労働者などの精神・文化生活を豊かにすることに力を入れる。インターネット文化の建設と管理を強化し、良好なネット環境を作り出す。愛国主義、集団主義、社会主義思想を大いに発揚し、信義誠実意識の増強を重点とし、社会の公衆道徳、職業モラル、家庭の美徳、個人の品行の育成を強化し、モラルの模範としての役割を発揮させ、人々が意識的に法律で定められた義務、社会と家庭の責任を履行するよう導く。思想政治面での仕事を強化し、それをさらに改善し、人道的配慮と心理的ケアを重んじ、正しいやり方をもって人間関係に対応する。社会の各方面に働きかけてともに青少年の思想モラル教育を上手におこない、青少年の健全な成長のために望ましい社会環境を作り出すようにする。大衆的精神文明の創出の活動を繰り広げることに力を入れ、社会ボランティア・サービスシステムを整備し、男女が平等で、高齢者を尊敬し、子供をかわいがり、相互に気づかい、相互に助け合い、正義のため大胆に行動するといった社会気風を唱導する。科学精神を発揚し、科学知識を普及する。全国民の健康維持・増強キャンペーンを広く展開する。二〇〇八年のオリンピック、パラリンピックと二〇一〇年の万国博覧会を立派に開催するよう努める。
(三)中華文化を発揚し、中華民族の共通の心の故郷を建設する。中華文化は中華民族が生気はつらつとしてふみとどまることなく、団結奮闘するための尽きることのない原動力である。祖国の伝統的文化については、それを全面的に認識し、その中の粋をとり入れ、粕(かす)を取り除き、現代社会に適応し、現代の文明と協調し合い、民族性を保ち、時代性を具現させるようにすべきである。中華民族の優れた文化伝統の教育を強化し、現代の科学技術手段で民族文化の豊かな資源を開発し利用する。各民族の文化に対する発掘と保護を強め、文物と非物質的文化財の保護を重視し、文化典籍の整理作業を上手におこなう。対外文化交流を強化し、各国の優れた文明成果を吸収し、中華文化の国際的影響力を増強する。
(四)文化の創造刷新を推し進め、文化の発展のために活力を注ぎ込む。時代の高い起点から文化の内容・形態や、体制・メカニズム、伝播手段などの刷新を推し進め、文化生産力を解放し、それを発展させることは、文化を繁栄させるために通らなければならない道である。人民に奉仕し、社会主義に奉仕する方向と、百花斉放、百家争鳴といった方針を堅持しなければならなず、実際に近づき、生活に融け込み、大衆と親しみをもって解け合い、終始、社会的パフォーマンスを第一位において、経済的効率を社会的パフォーマンスと統一させる。創作においては、人民の主体的地位や実生活を反映し、大衆に好まれる優れた精神文化製品をより多くつくり出さなければならない。文化体制の改革を深化させ、公益性文化事業を扶助し、文化産業を発展させ、文化の創造・刷新を奨励する政策を充実させる。これによって、良質な文化製品を創出し、人材を養成し、効果を上げることに役立つ環境を創出する。公益性文化事業の発展が人民の基本的文化権益を確保する主な方途となることを堅持し、扶助の度合いを大きくし、コミュニティーや郷・村の文化施設の整備を強化する。文化産業の発展に大きな力を入れ、重要文化産業プロジェクトによる牽引戦略を実施し、文化産業基地と地域の特色のある文化産業群の建設を急ぎ、文化産業の中堅企業と戦略的投資者を育成し、文化市場を繁栄させ、国際的競争力を強める。ハイテクをもって文化製品の生産方式を刷新し、新しい文化業態を創出し、伝送も速く、カバー範囲も広い文化伝播システムの構築を急ぐ。国家栄誉制度を打ち立て、素晴しい貢献をした文化活動家を表彰する。
中華民族が偉大な復興をなしとげることは必ずや中華文化の繁栄・隆盛と切り離すことはできない。文化の建設における国民の主体としての役割を充分に発揮させ、広範な文化活動家の意欲を引き出し、文化の大発展・大繁栄をより自覚的かつ、より能動的におしすすめ、中国の特色のある社会主義の偉大な実践の過程で文化創造をおこない、国民の誰もが文化発展の成果を享受できるようにする。
八、民生の改善を重点とする社会建設の推進を加速する
社会の建設は人民の幸福や安泰・健康と緊密にかかわるものである。経済が発展をとげたことを基礎として、社会の建設をさらに重視し、民生の保障と改善に力を入れ、社会体制の改革を推進し、公共サービスを拡大し、社会管理を完備させ、社会の公平と正義を促進しなければならず、全国民が教育、就業、医療、養老、住宅などの面で保障を受けるよう努め、調和のとれた社会の建設を推し進める。
(一)教育の発展を優先させ、人的資源の強国を建設する。教育は民族振興の礎石であって、教育面の公平は社会公平の重要な土台である。党の教育方針を全面的に貫き、人間の育成を根本として徳育を最優先させることを堅持し、資質の教育を実施し、教育現代化のレベルを高め、徳育、知育、体育、美育のいずれの面でも優れた社会主義の建設者と後継者を育成し、人民が満足できる教育の運営に取り組んでいく。教育構造を適正化させ、義務教育のバランスのとれた発展を促し、高校教育の普及を速め、職業教育の発展に力を入れ、高等教育の質的向上をはかる。就学前教育を重視し、特殊教育に関心を寄せる。教育意識を更新し、教学の内容や方式、試験・募集制度、教育評価制度などの改革を深め、小中学生の勉強や宿題などの負担を軽減し、学生の総合的資質を向上させる。教育の公益性を堅持し、教育に対する財政の投入を増やし、教育にかかわる費用徴収を規範化させ、貧困地区と民族地区の教育事業を助成し、学資援助制度を健全化させ、経済的困窮の家庭と農民出稼ぎ労働者の義務教育適齢期の児童の平等な就学を確保する。教師陣の整備を強化し、農村の教師の資質向上に重点をおく。教育への民間の参入を奨励し、規範化する。遠隔教育と継続教育を発展させ、全国民が学び、生涯にわたって学ぶような学習型社会を建設する。
(二)雇用創出の発展戦略を実施し、創業による就業の拡大を促進する。就業は民生の根本である。積極的な就業政策の実施を堅持し、政府の指導を強化し、市場に応じた就業メカニズムを完備させ、就業者数を拡大し、就業構造を改善しなければならない。自主的創業と自助努力による就職への支援策を充実させ、就業意識に関する教育を強化し、より多くの勤労者が創業者となるようにする。勤労者全体に向けた職業教育訓練制度を充実させ、農村における余剰労働力の移動・就業に向けた職業訓練を強化する。統一化と規範化を旨とする人的資源市場を構築し、都市農村勤労者に向けての平等な就業制度を形成する。生活困窮のすべての人々に向けた就業支援制度を充実させ、ゼロ就業家庭(就業年齢に達する家族構成員のすべてが失業状態にある家庭のことを指す)の就職難の解決を遅滞なく手助けする。大学新卒者の就業を積極的に推し進める。労働関係の規範化と適正化をはかり、農民出稼ぎ労働者に対する国の政策を充実させ、実行に移し、法律に基づいて勤労者の権益を守る。
(三)所得分配制度の改革を深化させ、都市農村住民の収入増をはかる。合理的な所得分配制度は社会公平の重要な表われである。労働に応じた利益分配を主として、多様な分配形態を並存させる分配制度を堅持し、充実させ、貢献度により労働、資本、技術、管理など諸生産要素への所得分配を行う制度を健全化し、第一次分配と再分配を問わず効率と公平の関係を上手に処理し、再分配においては公平性をさらに重視すべきである。国民所得の分配における住民所得の割合を逐次引き上げ、第一次分配における労働報酬の割合を引き上げる。低所得層の収入増に力を入れ、貧困脱却扶助基準と最低賃金基準を逐次引き上げ、企業職員・労働者に向けての正常な昇給メカニズムと支給保障メカニズムを確立する。条件を創出してより多くの民衆が財産所得を手にするようにする。合法的所得を保護し、高すぎる所得を調節し、不法所得を取り締まる。移転支出を拡大し、税収による調節を強化し、経営の独占を打破し、発展のチャンスの公平性をはかり、分配秩序を整頓し、所得分配の格差拡大の傾向を徐々に転換させる。
(四)都市農村住民をカバーする社会保障システムの構築を速め、人民の基本生活を保障する。社会保障は社会安定の重要な保証である。社会保険、社会救済、社会福祉を土台とし、基本養老、基本医療、最低生活保障制度を重点とし、慈善事業、商業保険を補完とし、社会保障システムの整備を速めなければならない。企業、政府機関、事業体の基本養老保険制度の改革を促し、農村養老保険制度の確立を模索する。都市部職員・労働者基本医療保険、都市部住民基本医療保険、新しいタイプの農村合作医療制度の整備を全面的に推し進める。都市農村住民の最低生活保障制度を充実させ、保障レベルを徐々に引き上げる。失業、労災、出産に関わる保険制度を健全なものにする。統一的計画・管理のレベルを向上させ、全国的範囲で統一した社会保険関係のポータビリティー手続きを制定する。さまざまな方式をとって社会保障基金を充実させ、基金に対する監督・管理を強化し、その運用益の増大を実現する。社会救済システムの健全化をはかる。優遇・扶助・再配置の仕事を立派に行う。人道主義精神を発揚し、身体障害者事業を発展させる。老齢者事業の推進に力を入れる。防災・減災への取り組みを強化する。低価格賃貸住宅制度を健全化させ、都市部低所得層の住宅難をいち早く解決する。
(五)基本医療衛生制度を確立し、全国民の健康水準を高める。健康は人間の全面的な発達・成長の土台であり、幾千幾万世帯の幸福にかかわるものである。公共医療衛生の公益性を堅持し、あくまで予防を主とし、農村部に重点をおき、中国伝統医学と西洋医学をともに重んじ、政府と事業体、管理と運営、診療収入と薬剤収入、営利性と非営利性などの分離を実行し、政府の責任の強化と投入の増加をはかり、国民の健康に関する政策を充実させ、民間の参入を奨励し、都市農村住民をカバーする公共衛生サービスシステム、医療サービスシステム、医療保障システム、医薬品供給保障システムを整備し、大衆のために安全、有効、便利、安価な医療衛生サービスを提供しなければならない。重大な疾病の予防・抑制システムを充実させ、突発公共衛生事件への応急対処能力を高める。農村の三段階医療衛生サービス・ネットワークと都市のコミュニティー医療衛生サービスシステムの整備を強化し、公立病院の改革を深める。国の基本的な医薬品制度を確立し、大衆の基本的な医薬品需要を確保する。中国伝統医薬と民族医薬事業の発展を後押しする。医療関係者としての職業モラルや気風の形成を強化し、医療サービスの質を高める。食品や医薬品の安全を確保する。計画出産の基本国策を堅持し、低出産レベルを維持し、出生人口の質的向上をはかる。愛国衛生運動を展開し、女性・児童に向けての医療衛生事業を発展させる。
(六)社会管理を完備させ、社会の安定、団結を保つ。社会の安定は人民大衆の共通の願いであり、改革と発展の重要な前提となっている。党委員会が指導し、政府が責任を負い、社会全体が協力し、公衆が参与する社会管理の枠組みを健全なものにし、末端における社会管理体制を充実させなければならない。社会革新の活力を最大限に引き出し、調和の要素を最大限に増やし、不調和の要素を最小限に抑える。人民内部の矛盾を適切に処理し、投書・陳情受理制度を完備させ、党と政府が主導する大衆の権益保護メカニズムを健全化する。社会組織の整備と管理を重視する。移動人口へのサービスと管理を強化する。安全発展を堅持し、安全生産につながる管理と監督を強化し、安全に関わる重大・特大級の事故発生を効果的に食い止める。突発事件への応急管理メカニズムを完備する。社会の治安防犯・抑制システムを健全化させ、社会治安の総合対策を強化し、安泰・安定・安全を創出する仕事を突っ込んで繰り広げ、都市農村におけるコミュニティーの警務を改革、強化し、法に則って違法犯罪行為を防ぎ止め、取り締まり、人民の生命や財産の安全を保障する。国家安全戦略を充実させ、国家安全体制を健全化し、さまざまな分裂、浸透と転覆を企む活動を高度に警戒するとともにそれを断固防ぎ止め、国の安全を確実に守る。
調和のとれた社会は全社会の共同で建設することに頼るものである。われわれはあくまでも人民に依拠し、あらゆる積極的要素を引き出し、社会の調和についてはみんなで責任を取り、調和社会をみんなで享受しうる活気に満ちた局面を努力してつくり出さなければならない。
国防と軍隊の建設は、中国の特色のある社会主義事業の全般的な布石で重要な位置を占めている。国家の安全と発展戦略の全局という次元に立って、経済の建設と国防の建設を総合的に考慮し、また小康社会を全面的に建設する過程において国家の富強と軍隊の強化の統合を実現させていかなければならない。
党と人民によって与えられた新しい世紀の新段階における軍隊の歴史的使命を全面的に履行するには、あくまで毛沢東の軍事思想、鄧小平の新しい時期における軍隊建設の思想、江沢民の国防・軍隊建設の思想を導きとし、科学的発展観を国防と軍隊建設の重要な指導方針として、新しい時期の軍事戦略方針を貫き、中国の特色のある軍事変革を速め、軍事闘争の準備を整え、軍隊のさまざまな脅威への対処能力と多様化する軍事任務の完遂能力を高め、国家の主権、安全と領土保全を断固擁護し、世界平和の擁護に力をつくさなければならない。
軍隊の革命化、現代化、正規化の建設は統一したものであるため、それを全面的に強化し、バランスよく推し進めなければならない。軍隊に対する党の絶対的な指導という根本的原則と人民の軍隊の基本的な主旨を終始堅持し、軍隊の歴史的使命、理想や信念、戦闘の精神及び社会主義の栄辱観などの教育を突っ込んでおこない、党の指揮に従い、人民に奉仕し、勇敢でよく戦うといった優れた伝統を大いに発揚しなければならない。科学技術による軍隊の強化を堅持し、情報化の軍隊をつくりあげて情報化の戦争で勝利をかちとるという戦略的目標をめざし、機械化と情報化の複合的発展を速め、情報化の条件下における軍事訓練を積極的に展開し、現代的後方支援を全面的に整備し、高資質の新しいタイプの軍事人材を数多く育成することを急ぎ、戦闘力形成のモデルを確実に転換させる。法に基づいて軍隊を治め、厳格に軍隊を治めることを堅持し、軍事法規を充実させ、科学的管理を強化する。
世界の軍事発展の新しい趨勢とわが国の発展の新しい要請にこたえ、軍事理論、軍事技術、軍事組織、軍事管理のイノベーションを推し進める。軍隊の体制・編制と政策・制度を調整、改革し、中国の特色もあれば現代の軍隊建設の法則にも合致する、体系の整った科学的な組織モデル、制度枠組みと運営パターンを逐次形成する。国防科学技術工業体制と武器装備買付体制を調整、改革し、武器装備開発・製造面の自主的創造革新能力およびその質、効率を向上させる。軍・民を結合した、民間に依拠する武器装備開発生産体系、軍隊人材育成体系及び軍隊保障システムを確立し、完備させ、勤倹を旨とする軍隊の建設を堅持し、中国の特色のある軍・民の融合した発展の道を模索する。新しい歴史的条件下における軍隊建設・統轄の特色と法則及び人民戦争の戦略・戦術への研究を深め、軍事科学を繁栄、発展させる。
全国民の国防意識を増強させ、国防動員システムを充実させ、国防動員体制の整備を強化し、予備役部隊と民兵の建設の質的向上に努める。人民武装警察部隊の建設を強め、国家の安全と社会の安定を擁護し、人民の安定した生活・生産を保障するという職責と使命をよりよく果たす。軍隊擁護・軍人遺・家族優遇と政府擁護・人民愛護を堅持し、軍・民がともに精神文明を建設する活動を積極的に繰り広げ、軍隊と政府、軍隊と人民の団結を打ち固める。各クラスの党組織、政府と人民大衆はこれまで通り国防と軍隊の建設をサポートし、その一方、軍隊も引き続き経済と社会の発展に貢献していかなければならない。
十、「一国二制度」の実践と祖国の平和的統一の大業を推進する
香港と澳門の祖国復帰以来、「一国二制度」の実践は日ましに豊富なものとなってきた。「一国二制度」はまったく正しいものであり、強大な生命力を持つものである。「一国二制度」の方針に基づいて、祖国の平和的統一を実現することは、中華民族の根本的利益に合致するものである。
香港と澳門の長期的繁栄、安定を維持することは党が新たな情勢のもとで国を治め、政務を司る中で直面する重要な課題である。われわれは「一国二制度」、「香港人による香港統治」、「澳門人による澳門統治」、高度の自治という方針を揺るぐことなく貫徹し、香港特別行政区基本法と澳門特別行政区基本法に厳格に則って事を運ぶ。二つの特別行政区の政府が法律に基づいて施政を行い、経済の発展に力を入れ、民生を改善し、民主を推進することを全力をあげてサポートする。香港と澳門の各界の人々が国を愛するとともに、香港を愛し、澳門を愛する旗じるしのもとに心を一つにすることを奨励し、社会の和睦を促進する。大陸部と香港、澳門との交流と協力を強化し、それぞれの強みを相互補完しあって、ともに発展することを実現する。積極的に香港と澳門の対外交流をサポートし、外部の勢力の香港と澳門の事務に対する干渉に断固反対する。香港同胞と澳門同胞は香港と澳門を上手に管理し、建設する英知と能力を持っており、香港と澳門はすでに、そしてまた続いて国の現代化建設のために重要な役割を発揮し、偉大な祖国はいつまでも香港と澳門の繁栄安定の確固不動の後ろだてとなることであろう。
台湾問題を解決し、祖国の完全な統一を実現することは中華民族のすべての子孫の共通の願いである。われわれは「平和的統一、一国二制度」の方針および現段階における海峡両岸関係を発展させ、祖国の平和的統一を推し進める八項目の主張を順守し、一つの中国の原則をゆるぐことなく堅持し、祖国の平和的統一を勝ちとる努力をけっしてあきらめず、台湾の人民に期待を寄せる方針を決して改めることなく貫徹し、「台湾独立」を企む分裂活動に決して妥協するこくなく反対しつづけ、両岸関係の平和的発展というメーンテーマをしっかりととらえ、誠意をこめて両岸同胞の福祉をはかり、台湾海峡地区の平和を求め、国家の主権と領土保全を擁護し、中華民族の根本的利益を守る。
一つの中国の原則を堅持することは、海峡両岸関係の平和的発展を実現するための政治的基礎である。海峡両岸は現在まだ統一されていないが、大陸部と台湾が同じく一つの中国に属する事実はずっと変わっていない。中国は両岸同胞の共通の故郷であり、両岸同胞は協力してわれわれの共通の故郷をちゃんと守り、よく建設すべきである。いかなる台湾の政党であれ両岸が一つの中国に属することを認めるならば、われわれはかれらと交流・対話、話し合い・交渉をおこなうことを願っており、いかなる問題でも話し合うことができる。一つの中国という原則をふまえ、海峡両岸の敵対状態を正式に終結させることについて話し合い、平和の合意を達成し、海峡両岸関係の平和的発展の枠組みを構築し、海峡両岸関係の平和的発展の新しい局面を切り開くよう、われわれは丁重に呼びかけている。
十三億の大陸部同胞と二三〇〇万人の台湾同胞は血のつながっている運命共同体である。およそ台湾同胞にとってプラスとなること、台湾海峡の平和擁護にプラスとなること、祖国の平和的統一のプロセスを速めることにプラスとなることであるかぎり、われわれは必ず最大の努力を払ってそれを立派に行う。われわれは台湾同胞を理解し、信頼し、関心を寄せているのであり、これからも引き続き広範な台湾同胞にメリットをもたらす政策と措置を実施し、充実させ、法律に基づいて台湾同胞の正当な権益を保護し、海峡西岸及び台湾業者のビジネスが相対的に集中しているその他の地域の経済の発展をサポートする。両岸同胞は交流を強め、経済文化の交流を強化し、引き続き分野を広げ、グレード・アップをはかり、直接の「三通」(直接の通信、通航、通商)を促し、相互の感情がさらに親しいものとなり、相互協力がより深まるようにし、中華民族の偉大な復興のためにともに努力しなければならない。
当面、「台湾独立」を企てる分裂勢力は分裂活動に拍車をかけているが、それは両岸関係の平和的発展をゆゆしく妨げるものである。両岸同胞はともに「台湾独立」分裂活動に反対し、それを食い止めるべきである。中国の主権と領土保全は完ぺきなものであり、それを分割することは許されない。中国の主権と領土保全にかかわるいかなる問題は、台湾同胞を含む中国人民全体でともに決定しなければならない。われわれは最大の誠意を持って、最大の努力を払って、海峡両岸の平和的統一の実現を望み、いかなるものが、いかなる名義で、いかなる方式によって台湾を中国から切り離すことも絶対許さない。
海峡両岸の統一は中華民族の偉大な復興のための歴史的必然である。国内外の中華民族の子孫が緊密に団結し、ともに奮闘することにより、祖国の完全な統一は必ずや実現できるであろう。
十一、終始変わることなく平和発展の道を歩みつづける
当今の世界は、大きな変革と大きな調整の中にある。平和と発展は依然として時代のメーンテーマであり、平和を求め、発展を目指し、協力を促進する願いはすでに阻むことのできない時代の流れとなっている。世界の多極化は逆転することはあり得ず、経済のグローバル化が深く発展をとげ、科学技術の革命が加速され、グローバル及び地域間の協力は勢いよく発展しつつあり、国家間の相互依存は日増しに緊密化し、国際的勢力の均衡についていえば、世界の平和を擁護することに役立つ方向に向けて発展しており、国際情勢は全般的に安定している。
一方、世界は相変わらず非常に不安寧である。覇権主義と強権政治は依然として存在し、局地的紛争及びホットスポットの問題があちこちで起こり、世界経済のアンバランスの状況の厳しさが増し、南北の格差は大きくなっており、安全への伝統的および非伝統的な脅威は相互に交錯しあっており、世界の平和と発展は数多くの難問とチャレンジに直面している。
ともに発展のチャンスを享受し、さまざまなチャレンジに直面し、人類の平和と発展の崇高な事業を推進することは、各国人民の根本的利益にかかわるだけでなく、各国人民の共通の願いでもある。各国人民が手を携えて努力し、恒久の平和、共同の繁栄を目指す調和のとれた世界の構築を推進するよう、われわれは主張するものである。そのため、国連憲章の主旨と原則にのっとって、国際法と公認の国際関係の準則を守り抜き、国際関係の中で民主、和睦、協力、ウィンウィンの精神を発揚すべきである。政治面では相互に尊重しあい、平等に話し合い、ともに国際関係の民主化を推進するのである。経済面では相互提携し、それぞれの強みを相互補完しあうことで、ともに経済のグローバル化がバランスのとれた、国々にメリットをもたらすウィンウィンの方向へ発展するよう促す。文化の面では相互に参考しあい、異を残して同につき、世界の多様性を尊重し、人類社会の文明、繁栄、進歩を促進する。安全面では相互に信頼し、協力を強化し、いかなる時でも平和的方式で国際紛争を解決し、ともに世界の平和と安定を擁護し、戦争の手段を用いるべきではない。環境保護の面では相互に助け合い、協力して推進し、ともに人類が生存のよりどころとする地球という故郷を大切に守り抜くべきである。
現代中国と世界との関係には歴史的変化が生じており、中国の前途、命運は日増しに世界の前途、命運と密接につながるようになっている。国際情勢がいかに変化しようと、中国政府と人民は平和、発展、協力の旗じるしを高く掲げ、独立自主の平和外交政策を実行し、国家の主権、安全、発展の利益を守り、世界の平和を擁護し、共同発展を促進するという外交政策の主旨を守っていくであろう。
中国は終始変わることなく平和発展の道を歩むであろう。これは中国政府と中国人民が時代の発展の流れ及びみずからの根本的利益に基づいて行った戦略的政策決定である。中華民族は平和を愛する民族であり、中国は終始変わることなく世界の平和を擁護する確固とした力となるであろう。われわれは中国人民の利益と各国人民の共通の利益とを結びつけることを堅持し、公正な心をもって、正義を主張する。われわれは国が大小、強弱、貧富を問わず、一律に平等であることを堅持し、各国人民の発展の道を自主的に選択する権利を尊重し、他国の内部問題に干渉せず、みずからの意志を他のものに押しつけることはない。中国は国際紛争とホットスポットの問題の平和的解決に力を尽くし、国際及び地域の安全や協力を促し、いかなる形のテロリズムにも反対する。中国は防御的な国防政策を実行しており、軍備競争には加わらず、いかなる国にとっても軍事脅威になることはない。中国はさまざまな形の覇権主義と強権政治に反対し、永遠に覇権を唱えず、拡張も行わない。
中国は終始変わることなく互恵とウィンウィンを目指す開放戦略を実行する。われわれはひきつづき自らの発展によって地域と世界の共同の発展を促し、各方面との共通利益の接点を広げ、中国の発展を実現すると同時に相手側、とりわけ発展途上国の正当な関心事項にも配慮する。われわれは引き続き国際通用の経済貿易ルールに基づいて市場参入を拡大し、法律に基づいて協力関係のある者の権益を保護する。われわれは、国際社会が発展途上国の自主的発展能力の向上、民生の改善を支援し、南北格差を縮小することをサポートする。われわれは国際貿易と金融システムを完備し、貿易と投資の自由化、利便化を推進し、話し合いと協力を通じて経済貿易摩擦を適切に処理することをサポートする。中国は決して人をそこなって、自己の利をはかり、デメリットを他国に押しつける自己本位のことはしない。
中国は平和共存五原則をふまえてすべての国と友好協力関係を発展することを堅持する。われわれは引き続き先進諸国との戦略的話し合いをすすめ、相互信頼を深め、協力を拡大し、相互間の食い違いを適切に処理し、相互関係の長期的に安定した健全な発展を促す。われわれは善意をもって隣国に対処し、隣国を仲間と見なすという周辺諸国との外交方針をひきつづき貫徹し、周辺諸国との善隣友好と実務を重んじた協力関係を強化し、積極的に地域間の協力を繰り広げ、ともに平和・安定、平等・相互信頼、協力・ウィンウィンの地域環境をつくり出す。われわれは引き続き広範な発展途上国との連携と協力を強化し、伝統的な友好関係を深め、実務を重んじた協力を拡大し、力相応の援助を提供し、発展途上国の正当な要求と共通の利益を擁護する。われわれは引き続き多国間の外交活動に積極的に参与し、相応の国際義務を担い、建設的な役割を発揮し、国際秩序がより公正かつ合理的な方向に向かって発展するよう促す。われわれは引き続き各国の政党や政治組織との交流と協力を展開し、人民代表大会、政治協商会議、軍隊、地方、民間団体の対外交流を強化し、中国人民と各国人民との相互理解と友情を深める。
中国の発展は世界から離れることはできず、世界の繁栄と安定も中国から離れることはできない。中国人民は引き続き世界各国人民とともに、人類のうるわしい理想を実現するためにたゆまず努力することであろう。
十二、改革・革新の精神で党建設の新しい偉大なプロジェクトを全面的に推進する
中国の特色のある社会主義事業は改革・革新の事業である。党が時代の先頭に立ち、人民を率いて事業の発展のための新局面をたえず切り開いていくには、改革・革新の精神でみずからの建設を強化し、終始、中国の特色のある社会主義事業の確固不動の指導的中核でありつづけなければならない。
わが党は建党以来すでに八十六年、全国における執政は五十八年間となり、七〇〇〇余万の党員を擁し、過去のいかなる時よりも党のみずからの建設の任務はいっそう重くなっている。党が指導している改革開放は党に極めて大きな活力を注ぎ込む一方、かつてない数多くの新しい課題や新しい試練をももたらしている。世界情勢と社会状況、国情、党の情況が発展、変化しているだけに、改革・革新の精神で党の建設を強化することは疑う余地はなく、非常に重要で差し迫った任務となっている。したがって、党の執政能力と先進性の構築を主軸として、党が党を管理し、党を厳格に治めることを堅持し、人民のためにあり、実務に励み、清廉潔白を守りぬくという要求を貫徹し、理想・信念を固めることを重点としながら思想建設を強め、高い資質の党員、幹部陣の育成を重点としながら組織の建設を強め、党と人民大衆との血と肉のつながりの保持を重点としながら作風づくりを強め、民主集中制の健全化を重点としながら制度づくりを強め、腐敗に対する懲罰・予防システムの整備を重点としながら腐敗反対・廉潔提唱の活動を強めることにより、党を終始公のために立党し、人民のために執政し、真実を求め実際を重んじ、改革・革新に取り組み、刻苦奮闘し、清廉・公正を守り、活力に富んだ団結融和のマルクス主義の執政党に築き上げなければならない。
(一)中国の特色のある社会主義の理論体系を突っ込んで学習し、それを貫徹し、マルクス主義の中国化した最新の成果で全党を武装することに力を入れる。思想理論の建設は党にとっての根本的な建設であり、党の理論の創造革新をもって各方面の革新を導く。学習型政党の構築という要請に基づいて、改革開放と現代化建設における生気に満ちた実践を緊密に結びつけ、マルクス・レーニン主義、毛沢東思想、鄧小平理論と「三つの代表」の重要な思想を掘り下げて学習し、全党において科学的発展観を突っ込んで学習し、実践する活動を繰り広げ、発展しつづけるマルクス主義で客観的世界と主観的世界の改造を導くことを堅持し、共産党の執政に関する法則、社会主義建設の法則、人類社会発展の法則を一段と把握し、科学理論を用いて実際問題を分析、解決する能力を高めなければならない。党員、幹部に対する理想・信念の教育と思想モラルの建設を強化し、広範な党員、幹部が社会主義の中核的価値体系を実践する模範となり、共産主義の遠大な理想と中国の特色のある社会主義の共通理想の確固とした信奉者、科学的発展観の忠実な執行者、社会主義の栄辱観の自覚的な実践者、社会調和の積極的な促進者になるようにしなければならない。
(二)引き続き党の執政能力の構築を強化し、高い資質の指導陣づくりに力を入れる。党の執政能力の構築は党の建設と中国の特色のある社会主義事業の全局にかかわるものであるため、指導レベルと執政能力の向上を各クラスの指導陣づくりの中核的内容と位置づけ、それに取り組まなければならない。科学的、民主的、法的知見に基づいた執政の要請に従い、指導陣の思想作風を改善し、指導幹部の執政能力を高め、指導スタイルと執政方式を改善し、指導メカニズムを完全なものにし、地方における党委員会の指導陣配置改革後の活動メカニズムを充実させ、各クラスの指導陣を、党の理論と路線・方針・政策を断固として貫き、科学的発展を指導することに長じた力強い指導グループに築き上げなければならない。指導陣の執政能力の構築を強化することによって全党に働きかけ、その発展を促進し、党のすべての活動が終始時代の要請や人民の期待にかなうようにする。
(三)党内民主の建設を積極的に推し進め、党の団結・統一の増強に力を入れる。党内の民主は党の革新の活力を増強し、党の団結・統一を打ち固めるための重要な保証である。党内民主の拡大によって人民民主を促し、党内の調和を増進することによって、社会の調和を促進しなければならない。党員の主体的地位を尊重し、党員の民主的権利を保障し、党務の公開を推し進め、党内における民主的討議の環境をつくり出す。党の代表大会制度を充実させ、党の代表大会代表の任期制を実施し、いくつかの県(市、区)を選んで党代表大会常任制を試行する。党の地方の各クラス全体委員会、常務委員会の活動メカニズムを充実させ、重大な問題についての全体委員会の意思決定の役割を果たす。民主集中制度を厳格に実行し、集団指導と個人の責任分担が結びついた制度を健全化し、個人または少数者の独断専行に反対し、それを防ぐ。地方党委員会が重要事項について討議した上で決定をおこない、重要な幹部を任用する際の票決制を実行する。中央政治局が中央委員会全体会議に、地方の各クラス党委員会の常務委員会が委員会全体会議に定期的に活動報告を行い、その監督を受ける制度を確立し、完全なものにする。党内の選挙制度の改革を進め、候補者の指名制度と選挙方式を改善する。末端党組織の指導陣の構成員が党員と大衆による公開的推薦と上級の党組織による推薦を経て任命されるという方法を普及させ、末端党組織の指導陣の直接選挙の範囲を逐次広げ、党内の末端における民主の拡大につながる多種類の実現形態を模索する。全党の同志は党の集中・統一を断固として維持し、党の政治規律を自覚をもって遵守し、終始、党中央との一致を保ち、中央の権威を断固擁護し、中央の指示の首尾一貫した実行を着実に確保しなければならない。
(四)幹部に関する人事制度の改革を絶えず深化させ、高資質の幹部陣・人材陣づくりに力を入れる。党が幹部を管理するという原則を堅持し、あくまで民主、公開、競争及び優れたものの優先ということを旨として、幹部選抜・登用の科学的メカニズムを形成する。幹部候補者指名制度を規範化し、科学的発展観と正しい治績観の要請を具現する幹部考課・評価システムを充実させ、公開的選抜、競争による昇進、差額選挙の方法を充実させる。幹部の人事面の民主を拡大し、民主的な推薦、民主的な評価の科学性と真実性を高める。幹部選抜・登用の仕事の全過程に対する監督を強化する。指導幹部の職務任期、回避、交流の制度を健全化し、公務員制度を充実させる。幹部に対する二重管理体制を完全なものにする。国有企業・事業体における人事制度の改革を推し進め、国有企業の特色にふさわしい指導層に対する管理の方法を充実させる。
人材登用の正しい方向付けを堅持し、才徳兼備を旨とし、実績を重んじ、大衆が公認する原則に則って幹部を選抜し、人材選抜・登用の公信度を高める。優れた若手幹部の育成と選抜にいっそう力を入れ、若手幹部が末端や条件の厳しい地区で鍛えられることを奨励し、彼らのマルクス主義理論の素養と政治面の資質を向上させる。女性幹部、少数民族幹部の育成と選抜を重視する。長期にわたって生活条件が厳しくて、勤務環境が劣悪な地区で勤勉に働いている幹部に格段に配慮し、末端と生産の第一線から優れた幹部を抜擢して各クラスの党・政府指導機関に送り込むことに気を配る。引き続き大がかりな幹部養成訓練を行い、党学校、行政学院、幹部学院の役割を十分に発揮させ、幹部の資質を大幅に向上させる。定年で引退するか退職した幹部向けの仕事を全面的に立派におこなう。労働、知識、人材及び創造を尊重する方針を貫徹し、党が人材を管理する原則を堅持し、統合的に勘案してハイレベルの人材と高い技能を身につけた人材を重点的対象とする各種の人材陣作りに取り組む。人材に関する仕事の枠組みを革新し、各種人材の創意力や創業の意欲を引き出し、人材が輩出し、その才能も十分発揮できる新しい局面を切り開く。
(五)先進性教育活動の成果を全面的に定着、発展させ、末端における党の建設を強化することに力を入れる。先進性はマルクス主義政党の生命にかかわるもので、力の源であるため、資質の高い幾千万人の党員に依拠してそれを具現しなければならない。党員の陣づくりという基礎的プロジェクトを着実に進め、たゆむことなく党員の資質を高めなければならない。党規約を真剣に学習し、遵守し、党員としての意識を強め、党員の党性に対する定期的分析制度を確立し、党員が大衆に奉仕するルートを広く開拓し、党員が大衆と結び付き、大衆に奉仕する枠組みを構築し、党員が常に教育を受け、その先進性を永続させることができるような長期的に効果のあるメカニズムを健全化させ、党員が真に党の主旨を銘記し、大衆のことを念頭に置く先進分子となるようにしなければならない。不在党員に対する管理を強化、改善し、都市に入った就労者に向けての党活動を強化し、都市と農村を一体化した、動態的な党員管理メカニズムを打ちたて、健全化する。新入党員の質を向上させ、党員の全体的構成を最適化し、不適格な党員をいち速く処理する。
党の末端組織は党の執政の組織的基盤である。党の建設活動の責任制を徹底させ、農村、企業、都市部コミュニティーと政府機関、学校、新規の社会組織などにおける末端の党組織づくりを全面的に推し進め、組織の設置を最適化し、組織がカバーする面を広げ、活動方式を革新し、末端党組織が発展を促し、大衆のために尽くし、大衆の心を一つにし、調和を促進するという役割を十分に発揮する。党の末端組織の建設によりその他の各種末端組織の建設を促す。党の末端組織や党員の中で先進者・優秀者指向のキャンペーンを突っ込んで繰り広げる。都市農村における党の末端組織間の相互援助メカニズムを確立し、健全化する。全国の農村において党員幹部に向けての現代的遠隔教育をあまねく展開する。党内におけるインセンティブ、配慮、援助メカニズムを確立し、それを充実させ、末端の幹部、古参党員、生活難を抱えている党員に配慮し、思いやりを示す。末端組織における経費の確保や活動場所など諸問題の解決に重点を置く。
(六)党の作風を確実に改善し、腐敗反対・廉潔提唱の活動に力を入れる。優れた党風は党員と人民の結束を強める巨大なパワーである。人民が歴史の創造者であるという唯物史観を堅持し、誠心誠意人民に奉仕することを堅持し、大衆路線を堅持し、大衆の声にじっくり耳を傾け、大衆の願いをありのままに反映し、その悩み事と苦しみに心から気を配り、大衆の意にかなう仕事や実益のある仕事を多く行い、人民のために権力を行使し、心を人民に傾け、人民に利益をもたらすようにしなければならない。真実を求め実際を重んじる作風で諸般の活動を推し進め、長期的にプラスとなる基礎的な事を多く進めるべきである。調査研究を強化し、学風や文風を改善し、会議と文書を減らし、形式主義や官僚主義に反対し、虚偽や欺瞞に反対する。勤倹・節約に励み、勤倹を旨としてすべての事業を進めることを大いに唱導し、贅沢三昧や浪費に反対する。全党の同志、特に指導幹部は党性を重んじ、品行を重んじ、手本を示すべきである。党風や党規律の教育を突っ込んで繰り広げ、批判と自己批判を積極的に行い、指導幹部が率先垂範して党の規律や国の法律を遵守し、優れた伝統を受け継ぎ、新しい気風や正しい気風を高揚させ、優れた党風をもって政風と民風を一新するようにする。
中国共産党の性格と主旨は党が様々な消極・腐敗の現象と絶対相容れないことを決定づけている。断固として腐敗を取り締まり、それを効果的に予防することは、人心の向背と党の死活存亡にかかわることであるため、党が終始取り組まなければならない重要な政治任務である。全党の同志は反腐敗闘争の長期性、複雑性、困難さを十分に認識し、腐敗反対・廉潔提唱の活動を一段と際立った位置におき、鮮明なる姿勢で腐敗に反対しなければならない。枝葉末節と根本の問題をともに解決し、総合対策や措置を講じ、懲罰と予防に同時に力を入れ、予防を重視するという方針を堅持し、腐敗に対する懲罰・予防システムの整備を着実に推し進め、断固として腐敗を取り締まるとともに、腐敗を招いた根本的問題の解決や腐敗の予防制度の整備をいっそう重視し、その根源から腐敗を防止し、根治する活動の範囲を拡大する。党作風・廉潔政治の建設の責任制を厳格に実施する。改革の深化と体制の革新を堅持し、廉潔政治をめざした文化の整備を強化し、腐敗を拒み、変質を防ぐ教育の長期的に効果のあるメカニズム、腐敗反対・廉潔提唱の制度体系及び権力運用に対する監督・規制メカニズムを形成する。規律検査・監察部門の派遣駐在機構に対する統一的管理を健全化し、巡視制度を充実させる。指導幹部の廉潔自粛を強化し、党員幹部が腐敗を拒み、変質を防ぐ能力を高める。大衆の利益を損ねる不正な気風を断固是正し、大衆が強い不満をもつ問題を着実に解決する。法律に違反し規律を乱す案件を断固として取り調べ、処分し、いかなる腐敗分子に対しても、法律に基づいて厳しく処罰し、決して容赦してはならない。
同志のみなさん!わが党は結党いらい中国人民を率いて幸福な生活を作り出し、中華民族の偉大な復興を実現する歴史的な使命を勇気をもって担ってきた。このような歴史的使命を全うするために、代々の中国共産党の党員は前を行くものが倒れれば、後のものがそれに続き、数多くの革命の先達たちは貴い命を捧げた。現代中国共産党の党員はかならずこの歴史的使命を立派に受け継いでいかなければならない。わが党が全国各民族人民を率いて行っている改革開放と社会主義の現代化建設は、新中国成立後におけるわが国の社会主義建設の偉大な事業の継承と発展であり、近代に入っていらい中国人民が民族の独立を勝ち取り、国家の富強を実現する偉大な事業の継承と発展でもある。現在のことをかみしめ、往事に思いを致すにあたり、われわれは肩にかかった使命が神聖かつ光栄なものであることを深く感じ取っている。未来を展望すれば、われわれは現代化建設の推進、祖国統一の達成、世界平和の擁護およびともに発展することの促進という三つの大きな歴史的任務を完遂することに対し、自信満々である。
小康社会の全面的な建設の目標を達成するにはさらに十数年奮闘しつづけなければならず、現代化を基本的に実現するにはさらに数十年奮闘しつづけなければならず、社会主義制度を強固にし、発展させるには数世代、十数世代、ひいては数十世代にわたりたゆむことなく奮闘努力しなければならないということを、全党の同志は冷静に見て取らなければならない。奮闘するからには困難やリスクもある。われわれは、治にあっても乱を忘れることなく、憂国の意識を強め、マルクス主義、中国の特色のある社会主義、中華民族の偉大な復興の達成に対し確固とした信念を終始保ちつづけなければならない。驕りやあせりを戒め、刻苦奮闘し、社会主義の初級段階における基本的国情を銘記し、党と人民の事業のためにたゆむことなく努力しなければならない。また労苦をいとわずに学び、一心不乱に仕事に取り組み、実践や人民と歴史の検証に耐えうる業績を絶えずあげなければならない。結束を強め、大局を念頭に置き、全党の団結と統一を自覚をもって保ち、党と人民大衆の血と肉のつながりを守り抜き、全国各民族人民の大団結を打ち固め、国内外の中華民族の子孫の大団結を強化し、中国人民と世界各国人民の大団結を促し、すべての困難や障害を乗り越え、党と人民の事業で新しい、より大きな勝利をかち取ることを促すために強大な力をつくり出さなければならない。
われわれは中国の特色のある社会主義の偉大な旗じるしを高く掲げ、党中央の周りによりいっそう緊密に団結し、全人民の心を一つにし、開拓邁進し、小康社会の全面的な建設の新たな勝利をかち取り、人民に幸せな生活をさらにもたらすために奮闘努力しようではないか。
「中国共産党中央編訳局文献翻訳部」2007/10/26