わが国の生態環境保護に見られるいくつかの際立った問題は、ある程度体制の不備とかかわりがあり、その原因の一つは全民所有の自然資源資産の所有権者が欠落しており、所有権者の権益をまっとうすることができないことにある。この問題に対応して、三中全会の『決定』は次のように国の自然資源資産の管理体制整備の要求を打ち出した。全般的な考え方は、所有者と管理者の分離、一つの事務は一つの部門が管理する原則にのっとって、全民所有の自然資源資産の所有権を具体化し、全民所有の自然資源資産の所有権者の職責を統一的に行使する体制を確立することである。
国が全民所有の自然資源資産に対して所有権を行使するとともに管理を行うことは、国が国土の範囲内の自然資源に対して管理監督権を行使することとは異なっており、前者は所有権者という意味での権利行使であり、後者は管理者という意味での権限行使である。そのためには、自然資源の管理監督体制を整備しなければならず、すべての国土空間の用途管理の職責を統一的に行使することによって、国有自然資源資産の所有権者と国の自然資源管理者が互いに独立し、互いに協力し合い、互いに監督し合うようになるのである。
われわれは次のように認識すべきである。山・水・森林・田畑・湖沼は一つの生命共同体であり、人間にとって最も重要なものは田畑であり、田畑にとって最も重要なものは水であり、水にとって最も重要なものは山であり、山にとって最も重要なものは土であり、土にとって最も重要なものは森林である。用途管理と生態修復は必ず自然法則に従わなければならず、もし木を植える人が木を植えるだけで、水利をやる人が水利しかかまわず、田畑を守る人が田畑しか守らなければ、一方に気をとられて他方がおろそかになり、ついには生態系の破壊を招来してしまう。一つの部門が領土範囲内のすべての国土空間の用途管理に責任を負うことは、山・水・森林・田畑・湖沼を統一的に保全し、統一的に修復するうえできわめて必要である。
第十一、中央が改革全面深化指導グループを設置することについて。改革の全面的深化は一つの複雑なシステム・エンジニアリングであり、ただ一部門やいくつかの部門だけに頼っては力不足で、そのためにはよりハイレベルの指導システムを確立する必要がある。
三中全会の『決定』は、中央が改革全面深化指導グループを設置し、改革の総体設計、統一調整、全面推進、実施の監督・管理を担当させることを提起した。これは党の全局を統括し、各方面の協調をはかる指導的中核としての役割をよりよく発揮させ、改革の順調な進捗と各項目の改革任務の実行を保証するためである。指導グループの主な職責は、全国的な重要な改革を統一的に布石し、各分野の改革を統一的に計画して推進し、各方面の力を協調させて改革推進の相乗効果を生み出し、督促・検査を強化し、改革目標任務の全面達成を推し進めることである。