(三)構造調整が新たな進展を見せた
重点業種における構造の最適化・高度化は積極的に推し進められている。鉄鋼、自動車、造船、石油化学、軽工業、紡績、非鉄金属、装備製造、電子情報、物流など十大産業の調整・振興計画及び関連細則は順調に実施されている。企業の技術改良を促進するため、中央投資は技術改良資金を二〇〇億元計上し、四四四一の技術改良プロジェクトを助成した。機械、鉄鋼、非鉄金属、製紙などの業種の吸収合併・再編は重要な進展を遂げている。新疆独山子石油化学、福建製油化学、天津石油化学の三ヵ所の千万トン級製油と百万トン級エチレンを一体化するプロジェクトも竣工して、操業に入った。ハイテク製造業は落ち込み傾向に歯止めがかかり、年間成長率は七・七%となった。デジタルテレビ、バイオなどの産業政策を公布、実施し、衛星応用、バイオテクノロジー、集積回路(IC)、フラットパネルディスプレイ、ヘリコプターなどの重要産業化プロジェクトと特別プロジェクトがスタートし、天津総装工場の組み立てたエアバスA320第一号機が初飛行に成功し、TD-SCDMAに代表される第三世代(3G)移動体通信ネットワークの建設と業務普及が強化された。重大装備のローカル化はスムーズに進められ、大型鍛鋼部材など原子力発電のカギとなる設備の自主的研究開発は重要な突破をとげ、高速鉄道車両と都市の軌道系交通装備のローカル化水準も目に見えて高まっている。
生産能力が過剰となっている業種の調整は着実に進められている。『一部業種の生産能力過剰と重複建設を抑制し、産業の健全な発展を導くための若干の意見』を制定し、その実施を推進した。鉄鋼、セメント、板ガラス、石炭化学工業などの業界の健全な発展を図る主要原則と政策措置が打ち出された。多部門の合同情報公表制度を確立し、情報の提供による指導作業が強化された。立ち遅れた生産能力の退出メカニズムが一段と改善された。昨年、さらに二六一七万キロワットの小型火力発電設備を閉鎖、または操業停止し、第十一次五ヵ年計画期に五○○○万キロワットの小型火力発電設備を閉鎖、操業停止する目標を一年間半繰り上げて実現し、製鋼、製鉄、石炭、セメント、電気石、合金鉄、コークス、製紙、化学繊維の業種は立ち遅れた生産能力をそれぞれ一六九一万トン、二一一三万トン、五〇〇〇万トン、七四一六万トン、四六万トン、一六二万トン、一八〇九万トン、五〇万トン、一三七万トン淘汰した。
自主イノベーションは加速している。『国家中長期科学・技術発展計画要綱(二〇〇六~二〇二〇年)』は順調に実施されている。中央財政からの科学技術向け支出は三〇%増の一五一二億元であった。超大規模集積回路(ULSI)の製造設備及び生産技術、高性能NC工作機械、基礎製造関連装備など十六の重大特定科学技術プロジェクトは全面的に実施され、広視野多天体分光観測用望遠鏡(LAMOST)、北京電子・陽電子コライダー(BEPII)の改造などの重要科学プロジェクトはスムーズに完成された。知識イノベーション第三期プロジェクトは速やかに推し進められている。「八六三」、「九七三」などの国家科学技術計画と技術革新プロジェクトは重要な進展を見せている。二五の国家工程実験室と、六三の国家重点実験室を新設し、五八の国家工程(技術)研究センターの持続的革新能力の開発を支援し、八五の国家重要産業技術開発プロジェクトを実施し、企業の研究開発条件の整備を積極的に推進した。
基盤施設と基礎産業はたえず強化されている。「南水北調」(南部の水を北部に引く)などの大中型水利プロジェクトへの投資を増やした。北京=上海、ハルビン=大連、石家庄=武漢、蘭州=新疆など一群の重要な鉄道プロジェクトは順調に進捗しており、国家高速道路網の整備は段取りを追って進み、香港・珠海・澳門ブリッジも着工し、全国の鉄道と自動車道路の新規開通距離数はそれぞれ五五五七キロ、九万八〇〇〇キロで、そのうち高速道路は四七一九キロであった。三五の民用空港を新設し、または改築・拡張した。大型化、専業化した深水バースと長江メイン航路の整備が速められている。「西気東輸」(西部から東部への天然ガス輸送パイプライン)第二線東部区間の工事、フルンボイル石炭・電力基地、寧夏のエネルギー化学工業基地は全面的に起工し、「西気東輸」第二線西部区間の工事はガス輸送を開始した。発電設備の新規増加容量は八九七〇万キロワットに達し、さらに六基の百万キロワット原子力発電設備の建設プロジェクトが認可され、青海省黄河積石峡、広東省清遠の揚水発電所などの大型水力発電プロジェクトは順調な進展を遂げ、わが国初の千万キロワット級風力発電基地――甘粛酒泉基地の建設がスタートした。都市送配電網の改造工事は秩序よく進められている。国家石油備蓄第二期プロジェクトが実施された。通年の原炭生産量は前年比八・八%増の三〇億五〇〇〇万トンで、計画目標を一億五〇〇〇万トン上回り、原油生産量は一億八九〇〇万トンで、計画目標を三〇〇万トン下回り、発電量は六・三%増の三兆七〇〇〇億キロワット時で、計画目標を七三八億キロワット時上回った。
サービス業は安定した発展をとげている。サービス業の発展を奨励する政策措置は一段と実施され、財政・租税、土地提供、価格、金融などの面で現代サービス業への支援を強化し、地域・業種を超えた、強い牽引力と支援力を合わせもつ一群のサービス業の重要プロジェクト建設が順調に滑り出している。金融保険、情報サービス、物流配送、コミュニティー・サービスなどは著しい発展をとげ、新しい形態が絶えず生み出されている。第三次産業付加価値のGDPに占める割合は四二・六%に達し、前年度より〇・八ポイント上昇した。