社会に目を向けると、新中国成立後、中国は大きな歴史的成果を上げた。10年間の文化大革命動乱の終息後、経済建設を中心に据えて今日に至る。中国は文革10年の「人災」を収束させると、30年間の高度経済成長に入った。意識の混乱した病の床から覚醒したばかりの人のように、しっかりと養生しないうちに「100メートルダッシュ」の急成長を始め、これを30年間も続けた。確かに顕著な成果は上げたが、GDP偏重の高度経済成長をしてきたため、本来ならもっと早く発見し、予防し、解決すべき多くの問題が覆い隠されてきた。こうした問題は、輝かしい経済的数値に覆い隠されたために、適切な解決・処理がなされず、現在に至って、深刻な社会矛盾に転化し、突発的で深刻な社会的危機に発展するおそれを生じている。
3つ目は自然と人との問題だ。天災は避けがたいが、人災は大いに悔やまれる。中国の自然環境・自然資源・生態バランスは、急速な経済成長に必要な代価を支払ってきた。だが遺憾なことに、必要な代価の上に、粗雑で盲目的な発展、重複した浪費的な過度の開発による不必要な破壊も受けてきたのだ。また、時が経つにつれて、過去に建設された多くの公共施設やインフラが、老朽化して使えなくなったり、問題が頻発する状態となっている。これらも危険な事故を誘発する潜在要因となっている。
最後の1つは、人々の思想の問題だ。個人の価値から一単位・企業・行政部門を見ると、急速な経済成長を追い求める過程で、いくつかの問題がないがしろにされてきた。人々の思想は「経済」の2文字に過度に集中し、同時に配慮してバランスを取るべき問題をないがしろにしてきた。現在の若者の頭にあるのは、住居や待遇や昇進の問題ばかりだ。若者はみな経営者になりたがっているようだが、本当にそうなのか?実際には、落ち着いて真面目に自分の職責を果たし、自分が本来果たすべき社会的役割を果たすのが嫌なのだ。誰もが経営者になりがたるこの心理は、実は大金を儲け、うまい汁を吸いたいだけなのだ。すべきことはせず、管理すべきことは管理せず、履行すべき職責は履行せず、真剣・入念に仕事すべきところを、粗雑で安易な方法で問題の解決を図ってしまう。こうした心理が商品に反映されたのが、偽物や低品質の商品だ。企業に反映されたのが腹黒い工場や腹黒い炭鉱だ。行政管理に反映されたのが、人民内部の矛盾の激化であり、数多くの農民や社会的弱者の利益への配慮の欠如だ。部門に反映されたのが小集団の利益をすべてに優先させる現象であり、ダムに反映されたのが隠れた危険であり、薬品に反映されたのが医療問題であり、食品に反映されたのが食の安全の問題であり、環境と教育に反映されたのが「百年の大患」なのだ!
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