実はわが国の党と政府は、早くからこの問題に着目し、その重大性を認識してきた。特にSARS問題の後、党中央と国務院は非常に迅速に「突発公共事件」への緊急対応体制構築の加速という重大な課題を提示した。党の第16期中央委員会は第3回・第4回総会で、社会警告システムを整備し、公共安全保障・突発事態対処能力を引き上げる必要性を明示した。国務院は03年5月7日の第7回常務会議で「突発公共衛生事件応急条例」を可決した。05年には「緊急状態法草案」が全国人民代表大会常務委員会の同年の立法日程に組み込まれた。05年1月26日、国務院の第79会常務会議は「国家突発公共事件総合緊急マニュアル」に加え、個別緊急マニュアル25本、部門緊急マニュアル80本を採択した。

　一連の重大な突発事態への中国中央政府の対応は合格点に達しており、むしろ素晴らしいとさえ言えよう。中国中央政府はこれらの対応において、高度に責任を負う中央政府が備えるべきクオリティと資質を示した。各級政府・指導当局も、この方針に積極的に呼応し、貫徹し、多大な努力を払い、大量の仕事をした。だが私たちは、解決・処理の面に目を向けると同時に、それ以上に警戒と予防の面に目を向けるべきである。上部構造の努力に目を向けると同時に、下層基礎の効果も重視すべきである。積極的に対応する「消火隊長」の役割を果たすと同時に、より多くの精力、より大きな力を「小学校の先生」に注ぎ込むべきである。では、この「小学校の先生」とは何か？

　突発的な緊急事態への対応においては、中央政府の緊急動員や呼びかけが全てなのでも、ある部門の指導者と地域の責任者の引責辞任や罪滅ぼしの手柄が全てなのでもない。私たちは真剣な分析によって、この中には政府や政府以外の社会の人員を含む、多くの末端の人員による入念で周到な多くの働きがあることを知る。ここでは、こうした人員を抽象的に「小学校の先生」と呼ぶことにする。

　小学校の先生なら、子どもたちへの緊急時への教育や、迅速な誘導を完成させることができる。食品工場の検査員や部長なら、原材料と完成品への真剣な検査と厳しい確認を完成させることができる。末端の医療衛生機関の指導者なら、ウイルスや感染症例の通報や隔離を迅速・正確に完成させることができる。工場や鉱山の管理者なら、安全面のリスクの迅速な発見と除去を完成させることができる。これだけ多くの「小学校の先生」が行動を起こせば、それに応じて「消火隊長」の仕事も軽減され、より合理的な手配が可能になるだろう。いわゆる「緊急マニュアル」も、実は簡単に言えば「前もって想定する」ことだ。「前もって想定」し終えた後に、各級政府部門・指導者に求められるのは「前もって行動する」ことだ。誰もが「前もって行動し」「小学校の先生」の責務を果たせば、「消火隊長」は不用となる。この面の取り組みは立法だけでは不十分で、教育が必要となる。呼びかけだけでは不十分で、各層での実行が必須となる。中間層は自らが実行するだけでなく、小学校や住民のコミュニティ、作業現場や企業の品質検査室の中にまで実際に足を運び、実行の有無を確認しなければならない。この道理は「小鮮（小さな魚）を烹る（煮る）が如し」だ。大きなレストランは小さな魚をうまく煮てこそ、その管理水準の高さを示すことができる。政府上層部や当局指導者には時には実は罪がなく、専門家やハイテク装備は時に無能なことがある。小学校の先生や街道弁事処(事務所)の主任、末端の人民警察や都市の管理隊員、品質監督者や末端要員がいてこそ、役割を発揮できるのだ。責任とリスクを担う上での真の問題は、実は「小鮮を烹る」点にあるのだ。もし「小学校の先生」がみな行動を起こし、思い切って意見を言い、問題を発見し、通報して、下層の指導者が問題を重視し、解決できたなら、「消火隊長」も楽になるだろう。

　もちろん、まず必要なのは、大衆が見つけた問題を口に出し、指導者がこれを聞き、重視することだ。「小学校の先生」の言うことに「校長」が真剣に対応し、「小学校の先生」がなすべき仕事を一心にやり遂げ、職責を果たせば、問題も良い形で解決できるのだ。

「人民網日本語版」 2008年10月15日