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呉建民:中国30年来の外交の変遷を語る |
発信時間: 2009-09-03 | チャイナネット |
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1952年に大学卒業後に外交部に採用され、毛沢東や周恩来など指導者の通訳に、そして90年代、国連で中国代表団を率いて少数の国が提出したいわゆる「中国の人権状況」をめぐる反中国決議案を何度も廃案に追い込み、さらには駐仏大使を務めていた時に同国最高位のレジオンドヌール勲章を授与される……。その履歴の華々しさは、枚挙暇のないほどだ。40数年におよぶ外交官としての生涯で、呉氏は新中国の成長という奇跡を自ら目にし、改革開放以後の中国外交の変遷をも体験した。 ◆どんな世界が必要か、中国の意見を聴くべきである 初めての取材で呉氏は、「中国の台頭について言えば、最も際立つ特徴は、世界と中国経済の成長を分かち合っていることです。世界の経済成長への中国の貢献度は07年に30%近くに達して、米国の7.7%をはるかに超えました」と指摘。 「胡錦涛主席は、中国の発展は世界を抜きにしては考えられず、世界の繁栄と安定も中国と切り離すことはできない、と述べたことがあります。胡錦涛主席は03年6月1日の主要8カ国首脳会議(G8サミット)に招待されて出席。その後に「7+1」体制、つまり、7カ国と中国の中央銀行副総裁と財政担当副大臣が対話する制度が整い、その体制は総裁・財政相対話に昇格されました。世界が中国を必要としていることが、これで十分に分かるでしょう」 08年の世界経済フォーラム(ダボス会議)では、テーマは「中国はどの様な世界を望むのか」だった。呉氏は「こうしたテーマは、この数十年にわたる外交活動で一度も耳にしたことはありません。以前だったら、意思表示をしなければ、相手から意見を求められることはなかったのですが、今はむしろ、どの様な世界が必要かと。中国が変わることが世界を変えさせる、ということなのでしょうね」 07年、米国で開かれた、21世紀の世界をいかにすべきかについて議論する国際会議で、一部の著名人は、この世界の力の対比に変化が生じている以上、一部の新興国にもより多くの権限を享受させてはどうか、と提言。その権限は2つある。第1は、ゲームのルールを制定する権限だ。最大の権限がまさにルールを定める権限だからだ。過去、この権限は主に米国人の手中にあり、欧州人が多少持っていたが、今後は中国人も参与できるようにする。第2は、その他の大国と対等に振る舞うことだ。外国人は中国の資源を利用し、中国人も外国の資源を利用できるようにする。実際、鄧小平が当時提起した改革開放は、まさに中国を全世界という大きな背景に置いて眺めたものであり、グローバル化は世界に未曾有のチャンスを与え、改革開放により中国はグローバル化のメリットを分かち合うようになったが、今、中国について言えば、それはまだ始まったばかりに過ぎない。 ◆中国は平和を愛し、責任を担う大国である 呉氏は同時に、中国は責任を担う大国である、とも語った。具体的に言えば先ず、中国自らのことを円滑に処理していることだ。中国には13億人おり、世界人口の5分の1以上を占めるが、ことをうまく処理できず、国が不安定になった場合、仮に人口の1%が国外に逃れれば、世界に大きな混乱を引き起こすことになる。次に、平和と発展にプラスとなるすべてのことに常に積極的に参与していることだ。中国は6カ国協議を推進しており、イラク戦争とは鮮明な対比をなすが、中国のこの行動は米国を含む全世界から高く評価された。中国はさらに多くの平和維持部隊を外国に派遣しているが、安保理の常任理事国の中で最も多い。さらに、我々はアフリカとの間で協力フォーラムを確立し、06年に中国で開かれたフォーラムサミットで、胡錦涛主席がアフリカ諸国を支援する8国項目の措置を発表。平等互恵を踏まえての共同の発展を実現するのが目的で、これが国際社会で高く評価されているのも、アフリカがグローバルの過程で徐々に縁に追いやられているためであり、これも中国が世界の直面する発展の問題解決のために払っている努力である。 国連創始国の1つの国として、中国はさらに国連憲章で規定された義務を担っている。数百におよぶ国際条約に加盟し、中国が履行している国際条約と義務に関する記録は良好であり、国連創設以来、我々は国際的に確約したことを真しに行っている。また、人類が直面する共同の挑戦、例えば反テロ、全世界の気候変動への対応といった様々な伝統的、また非伝統的な挑戦に対しても自らの責任を尽くしている。現在、中国は責任を担う大国だと認める国がますます増えている。 ◆中国人は中華文明の価値を再認識すべきである 現在の世界はまだ西洋文明が主導的地位にあり、とくにこの数百年は西洋文明が主導的地位を占めているため、世界の西洋文明に対する理解は比較的深いが、東洋文明や中国文明はあまり理解されていない。建国以後、とくに改革開放以来、世界は中華文明の魅力を見いだした。中国は一貫して文明的な対話、各国が互いに鑑とし、長を取って短を補うよう主張しており、中華文明自身、開放的で包容性が強く、調和を提唱するものである。胡錦涛主席は05年、国連首脳会議に調和ある世界という理念を提起。それは実は、中華文明の中で1つの極めて重要な理念でもあり、多くの国の興味を引いた。もちろん、今日の世界には非調和的な要素が多く存在しているが、調和ある世界を目標に、とする提起は非常に素晴らしく、少なくとも1つの方向を指し示している。 世界が中華文明の価値を再認識する時には、中国人自身も再認識することが必要だ。改革開放で国の門が開かれ、我々は世界のその他の場所に見られる人類文明の先進的な成果を目にし、それを学び、その成果を吸収してきた。これは発展する過程で必然的に経験しなければならない段階である。だが今は、中華文明の価値を再認識すべき時なのである。ある日、フランスのある大学で講演した時のことだ。数千人の学生に「孫子兵法」を読んだことがあるかと聞くと、手を挙げたのはわずか2、30人。一方、経済界の人材を養成する最高学府であるパリ政治学院は「孫子兵法」を学生の必読書にしている。 (文中敬称略)
「チャイナネット」 2009年9月 |
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