5月の東中国海では今、夏の海流が静かに生まれつつある。日本の東中国海海底資源の調査・探査が加速するにつれ、中日両国は東中国海関係海域での行動に関する合意になかなか至らず、東中国海をめぐる新たな争いが静かに進んでいる。
東中国海のガス田を巡視する中国の海上巡視船と海軍の艦艇
■30年交渉で顕著な結果なし
ある中国の外交筋によると、1980年10月に中日が初めて東中国海大陸棚の共同開発問題について実務者会議を開いて以来、30年にわたり断続的に話し合いを続けてきても、いまだ顕著な成果は見られない。多年にわたる交渉で、日本は一貫して陸地から等距離にある「中間線」を採用して大陸棚を画定するよう主張しており、この立場はほとんど揺らいでいない。日本は、釣魚島の主権に争いは存在せず、中日は同島の西または日本側が画した「中間線」の両側で共同開発すべきだ、との考えを堅持している。また、日本は「単一地質構造条項」に基づき、中国側に東中国海海域のガス田の単独の開発を停止すると共に、「春暁」ガス田を共同開発区の範囲に組み入れるよう求めている。
08年6月18日になって、中日の東中国海をめぐる紛争はようやく多少転機を迎えた。当時、両国政府はほぼ同時に、双方は東中国海問題について原則合意したと発表した。境界を画定するまでの間、双方の法的立場を損なわないことを前提に協力し、中日の東中国海共同開発の第一歩として、同海の北部、面積約2600平方キロの地区で、共同探査を通じて共同開発することで双方は一致、同意したというものだ。また、日本企業は中国の海洋石油資源対外協力開発に関する法律に基づき、春暁ガス田の開発に参加することになった。
ある外交筋は「こうした合意は、東中国海に正式に境界線を画する前の一時的な措置に過ぎず、双方が有する法的立場に係わるものではないが、執行の過程で大きな障害にぶつかった。例えば、日本企業の開発参与の問題では、どう参与するのか。双方の出資比率をどう設定するのか。これらはいずれも現実的な問題だ」と指摘する。