1976年9月20日号の表紙:毛沢東 「毛沢東後の中国」
1954年3月10日号の表紙:周恩来 「赤い中国の周恩来」
1979年1月1日号の表紙:鄧小平 「鄧小平、中国新時代のイメージ」
2010年10月18日号の表紙:温家宝
この100年、米タイム誌など西側の主流メディアの中で、中国や中国人のイメージは万華鏡のごとく移り変わってきた。彼らの中国報道は、西洋人が抱く中国のイメージを代表するものである。タイム誌の表紙を飾った中国人を整理してみると、西洋と東洋の文化が絶えず衝突・融合する中で、西洋もしだいに公平な目線で、全面的・多層的・立体的にさまざまな角度から現代中国を観察し始めたことがわかる。
10月18日、中国の温家宝総理がタイム誌のアジア版の表紙を飾った。温総理がタイム誌の表紙を飾ったのはこれが初めてである。米国で最も影響力を持つニュース週刊誌のタイム誌が中国をどう見ているのかを分析することは、西側の主流の価値観や彼らの中国に対するイメージの理解に役立つだろう。
9割以上が政治家
タイム誌は中国生まれの米国人ヘンリー・ルースとブリトン・ハッデンによって1923年に創刊された。創刊以来87年間、中国への関心や中国報道が途絶えたことはない。中国人や中国の事象が表紙を飾ったのは60回ほどだ。
このうち、政治を題材の表紙が50回余りで、9割以上を占める。これはタイム誌の刊行物としての位置づけを反映しており、タイム誌はカバーパーソンに政治的人物を選ぶことに重きをおいているからである。最も多く表紙を飾ったのは毛沢東で12回、蒋介石は10回、周恩来は8回。鄧小平は9回で、1979年と1986年には「パーソン・オブ・ザ・イヤー」にも選ばれていることから、その重要性は多くのカバーパーソンの中でもトップレベルであったことが明らかである。
もちろん、政治的題材の中にも経済、文化、社会などの内容が入り混じる。例えば、1996年に表紙を飾った芸能人の王菲(フェイ・ウォン)は、「ポップスの女王」と称された。2005年に人気オーディション番組「超級女声」で優勝した李宇春(クリス・リー)は、白い歯を見せて笑っている少年のような写真が表紙に使われ、「アジアのヒーロー」と評された。中国の文化や社会に関する事象が表紙に取り上げられるようになったのは、1979年以降のことである。