宮崎駿の漫画(写真は環球ネットより)
1938年5月20日、沿海都市の長崎。
早朝、ある寿司屋の店主が店の前を掃除しようと、戸を開けた。突然、彼は店の前の通り一面に白い紙切れが撒かれ、屋根の上や庭先にまで紙切れが散乱しているのを発見した。「これは何だ?」、不思議に思った店主が紙切れを何枚か拾い上げてみると、そこには漢字で次のように印刷されているだけであった。「尓国侵略中国,罪悪深重。尓再不訓,則百万伝単将一変為千噸炸弾。尓再戒之(汝の国は中国を侵略し、その罪は重大である。汝が今後も従わなければ、百万のビラは千トンの爆弾になる。汝、今後は戒めるように)」。「あっ! これは中国人が撒いたビラだ!」、店主は驚きで顔面蒼白となった。
この時、既に通りには沢山の人がいた。彼等はそれぞれビラを手に取り、ある者は小声でそれを読み上げ、字の読めない者は人に尋ねている。様々な意見が飛び交った。これほど大量のビラは何処から来たのだろうか。日本にいる中国人の仕業ではない、彼等が一夜にしてこの大量のビラを撒くことは不可能だ。まさか、このビラは中国から来たのだろうか。長崎は中国から遠く離れている、飛行機で海を越えて来るのでなければ、長崎にこれほど大量のビラを投下することはできない。
そう考えた時、その場にいた日本人達は皆、恐ろしさに震えあがった。中国の飛行機がビラを投下できるということは、爆弾も投下できるということではないか! 政府は日本本土の防衛は万全で難攻不落だと言っているが、とても信用はできない。「中国の飛行機が大量のビラを撒いた」というニュースは瞬く間に広まり、多くの日本人が自分達の安全や戦争の先行きに疑念を抱き始めた。
同日、同じく九州地方の沿岸都市である福岡でも大量の白い紙切れが発見された。日本に対する中国の警告ビラである。