菅直人内閣は、今年末までに新しい「防衛計画大網(防衛大網)」を閣議決定する予定である。日本の国防政策がここまで大幅に変更されるのは冷戦以来初めてである。軍事力の重点を北方の防衛から中国周辺の西南諸島の防衛に切り替えたこと以外にも、民主党政府は、意思決定・指揮命令体制や緊急対応体制から人員編制や武器・装備の配備に至るまで徹底的に改訂する予定である。これには米国のアジア・太平洋戦略に協力し、日米同盟の強化を推進するという本音が隠されている。
整備が進む日本の防衛政策
復旦大学日本研究センターの胡令遠副主任はこのように述べている。「菅直人民主党政権は、以前の自民党政権時の外交政策からの『転換』を狙っている。そして、本来の『米国と連携して中国をけん制する』という流れに引き戻したいと考えている。」民主党が打ち出した5項目の修正案はどれも目新しさに欠け、日本国内で繰り返し議論が交わされてきた内容も含まれている。しかし、中日の釣魚島衝突事件を受け、国民の間で賛同する意見が増えている。日本の中国に対する危機感が日増しに強くなっていることは明らかで、今後10年のうちに、何かしらの行動を起こさなければ、中国の属国にされてしまうのではないかと危惧しているため、中国に対抗し得る軍事力の保有を目指しているようだ。冷戦後、大まかだった日本の防衛政策は周到に整備され始め、日米安保同盟も着実な前進を見せた。戦略面においても政策面においても、日米の協力体制は大きく発展している。
揺さぶられる憲法の平和原則
軍事力の調整以外にも、日本政府は自衛隊の訓練・演習を強化し、国外での平和維持活動を制度や法で定めることによって長期的に促進していくことを「新防衛大網」の重要な目標としている。
日本は第二次世界大戦の敗戦国であり、唯一原爆の被害を体験している国でもある。そのため、日本国民は戦争に対して強い反感を抱いており、自衛隊の国外での活動にも当初は強い反発があった。しかし、カンボジアに始まり、後のイラクでの平和維持活動を通して、国民は自衛隊が国外の活動から得られる見返りが大きい事に気付き、次第に受け入れ始めている。胡令遠氏曰く「日本は戦闘力を強化し危機の際に対応できる力を付けるのに、平和維持活動を訓練代わりにしている。そのため、日本は国外で平和維持活動ができる機会を決して逃さないようにしてきた。津波や地震などの緊急の救援活動にも数多く参加し、加えて米国との頻繁な軍事演習と来れば、今後、南シナ海・東シナ海に危機が及んだ時、日本は自衛隊が強い戦闘力を発揮できることを保障できるだろう。」