資料写真:日本自衛隊の航空機
このように国外への自衛隊派遣の制限を緩和するだけでなく、「新防衛大網」は武器の輸出においても「平和憲法」に抵触している。民主党の外交・安全保障調整会の中川正春会長は政府に対し、同盟国との武器開発協力を強化し、「武器輸出三原則」の改訂をするよう提言した。
武器輸出三原則は、1967年に当時の佐藤栄作内閣が(1)共産主義国(2)国連決議で禁じられている国(3)国際紛争当事国――への輸出を認めないと国会で表明したのが始まりである。しかし、武器装備を製造している大企業は、武器輸出の制限が厳しいことによって、日本の武器の研究開発が他国より大きく出遅れてしまい、技術面で損害を受けることを懸念している。「この見方は日本のタカ派の議員の賛同を得て、二大勢力は結託し、『平和憲法』を覆すことを企んでいる」と胡令遠氏は指摘する。
胡令遠氏からしてみれば、民主党の5項目の修正案は、米国主導の日米同盟関係を頼りにした実力の発揮こそ、日本が望むものであることを示している。「近年、日本も米国も勢力が衰えている。それに比べ、中国は飛躍的に力を付けてきた。そのため、日本の米国のコントロール範囲内での防衛力の強化と言うことは両国の利害が一致するところなのだ」と胡令遠氏は言う。
胡令遠氏は、年末に閣議決定される「新防衛大網」は日本の国防政策の修正のほんの始まりに過ぎないとの見方を示している。中国が世界の強国になるであろう事は明らかである。国外で得られる利益が増加するにつれ、交易ルートの確保のためにも海軍力の強化は至極当然の事なのだ。しかし、これは日本からしてみれば大きなプレッシャーとなる。そのため、日本の防衛政策はやはり、中国に対抗できるだけの力を付ける事を重点に置かなければいけないと考えたようだ。とは言っても、これは中国と互角の力を付けるということではなく、「アジア・太平洋勢力の覇権を完全に中国に握られない事」が目標であるようだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年11月22日