中身がないNATO新戦略概念 3つの試練に直面する新NATO

中身がないNATO新戦略概念 3つの試練に直面する新NATO。

タグ: NATO 米国 ロシア

発信時間: 2010-11-22 11:44:25 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

11月20日に幕を下ろした北大西洋条約機構(NATO)首脳会議の焦点はロシアが欧州ミサイル防衛(MD)計画の協議に参加する事だった。ロシアとNATOは長らく「微妙」な関係にあったが、この度の会議で「真の戦略的パートナーシップ」の構築を目指す。しかし、現状を見るとその道のりは困難なものになりそうだ。

ロシアとヨーロッパ諸国の関係はグルジア紛争以来、険悪状態が続いていた。双方の協議の枠組みはとっくに出来上がっていたが、南コーカサス地域でのアメリカとロシアの対峙はヨーロッパの立場を難しくした。更に重傷なのは、ロシア西端の飛び地カリーニングラード州境からわずか70キロ地点にアメリカがパトリオットミサイルを配備してロシアの機嫌を損ねたことだ。

新たな戦略が誕生し、3つの大きな困難がNATOを待っている。第一に、米露間には依然として利益の差がある。アメリカ新政権下での国会が繰り出す核兵器縮小問題の政策は米露関係の再出発には不利となり、東方拡大を目論むNATOへの影響も大きい。第二に、オバマ大統領のアジアに夢中な態度は、同じように一目おかれたいNATO加入国を失望させた。途方にくれたヨーロッパ各国は慌ててオバマ大統領に将来を見据えた約束をするよう求めたが、「アメリカとヨーロッパはアフガン戦争においてより良い協力関係を築く」のような言葉をオバマ大統領の口から聞くことはできなかった。第三に、新たな戦略は資金不足の問題に直面する。アメリカは中東の「アフガン戦争」や「イラク戦争」にお金をお金だとも思わずに湯水のようにつぎ込んでいるが、痛手を負うのは自国とヨーロッパであることを忘れてはいけない。アフガニスタンから軍を引き上げるという本音をどの国も持っているのは火を見るより明らかだ。また、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)の追加的量的緩和策を受け、債務危機に陥るヨーロッパの国々は不信感をあらわにした。

NATOはアメリカの安全保障という切り札は欲しいが、ロシアへのエネルギー依存を断ち切ることもできない状態だ。「新戦略概念の採択」でロシアと「真のパートナーシップ」を築くことを願っているが、ロシアとヨーロッパが本格的に協力する見通しは暗い。

アメリカとNATOが「弾道ミサイル防衛」で合意に達したことの喜びは、NATOの迷いを晴らすことはできなかった。逆に、アメリカとロシアの板ばさみにされ、複雑な三角関係が出来上がってしまった。アメリカが声を大にして主張している様々な安全対策がある。例えば、集団防衛を理由とした「ミサイル防衛計画の拡大」、危機管理と安全保障を高めるための「インターネットリスクとエネルギー危機の対応措置」などが挙げられる。そして、これら全てに言えるのはお金がかかると言うことである。NATOの今後10年間の発展における活動指針は「積極的な介入、現代に即した防衛」という「新戦略概念」である。これではまるで、NATO各国に質素倹約を徹底して、米露と協力ができる新時代を目指せと言っているのと同じである。

「中国網日本語版(チャイナネット)」2010年11月22日

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