近代の東アジアで台頭、なぜ中国ではなく日本なのか
近代の東アジアで台頭、なぜ中国ではなく日本なのか。 1868年の明治維新は政治体制や社会・文化、教育・軍事、司法・宗教など様々な面に及んだ。同時期の中国もすさまじい勢いの洋務を展開、さらに1898年には上から下に至る資本主義改革、「戊戌変法」を実施しようとした。だが、中日の変法の異なる結果には実に深く考えさせられる…
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筆者＝早稲田大学国際関係学博士・高峻
1868年の明治維新は政治体制や社会・文化、教育・軍事、司法・宗教など様々な面に及んだ。
同時期の中国もすさまじい勢いの洋務運動を展開、さらに1898年には上から下に至る資本主義改革、「戊戌（ぼじゅつ）変法」を実施しようとした。だが、中日の変法の異なる結果には実に深く考えさせられる。筆者は見るに、日本が幕府の統治を翻した後に早急に上から下に至る資本主義改革を行うことができたのは、軽視できない要素として以下の３点が挙げられる。
第1は、日本の天皇制という歴史的原因である。12世紀末の鎌倉幕府の創設以降、皇帝の権力を至上とする古代天皇制は有名無実となった。長年にわたり天皇は実権を掌握できずにいた。まさに天皇が長期にわたり権力を振り回す伝統がなかったが故に、新政権の領袖として登場した明治天皇が権力を掌握したあとも比較的容易に一部権力を放棄したことから、上から下に至る資本主義改革が実施されたのである。
封建制度下にあった中国は、皇室の唯我独尊、大権独占という思想がかなり濃厚であったため、上から下に至る真の改革を実行するのは非常に難しかった。光緒帝個人に改革への覚悟、志があっても、結局のところ、実権を掌握する皇室集団が忌み嫌ったが故に自ら得た利益を放棄し失敗に至った。
第2は、日本が外来の科学技術と文化に対して開放的な姿勢を抱いていたからである。日本は必要だと感じたときは、非常に積極的に、心を開いて外来の文化と科学技術の精華を吸収する。まさに日本文化の中に本来、多くの外来要素があったが故に、将来必要なときに外来文化を吸収するにしても接触しているとの感じはそれほどなかった。当時の清王朝は西側の先進的な制度と文化を大量に吸収、導入することを忌み嫌い、ただ一部の経済・軍事改革を行っても徹底させることはせず、終始、最も深層的な政治体制と思想・概念の問題に触れることがなかったことから、最終的に改革は徹底さを欠き、そして失敗に帰した。
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