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前原誠司前外相に「劉邦タイプで、項羽タイプではない」と称された鳩山由紀夫前首相は、その祖父の「友愛」の政治理念を全面的に受け継いでいる。そして、その彼が、祖父の築いた政党の「一党独裁」政治を終結させ、50年の長きに渡る日本の政治において初の実質的「政権交代」を実現した。彼は自民党の頻繁な首相交代を痛烈に批判していたが、自身も「短命王朝」の運命を逃れられず、任期はわずか8カ月半だった。
辞任の際、鳩山氏は後継者の菅直人氏に一枚のメモを渡した。そこには、「日中、日米関係をよろしく頼む」と書かれていた。鳩山氏辞任後7カ月、菅内閣では、その鳩山氏の期待を裏切るかのように、日中、日米関係ともに劇的な変化を迎えた。
インタビュー中、この内向的な前首相の視線は定まることがなかった。全ての問題に対し、思考をめぐらせ、慎重に答えていることが伝わってきた。彼は、外交が人と人との交流と同じで、信頼関係や、その人間性から理解を深めることの大切さを繰り返し強調していた。
記念撮影の際、鳩山氏は「私と胡錦涛主席、温家宝総理との記念写真の前で、一枚撮りましょうか。」聞いてくれた。そう言われて、周りを見渡してみてはじめて、その部屋がとても簡素であることに気付いた。記念の書において、鳩山氏は何の迷いもなしにその筆で「友愛」の二文字をしたためた。そして「真の友愛だけが、遠くまで及び、人の心を打つことができるのです」と語った。
中日両国民は愛国主義の感情世界に陥ってはならない