中日両国の外交、防衛担当官は20日、中日安保対話を開いた。直前まで、今回の対話は中日関係に春をもたすとの見方が強かった。
しかし、同じ日に菅直人首相が「歴史の分岐点に立った日本の外交」と題する演説を行い、中日の戦略的互恵関係を推進したいとする一方で、中国の国防力の増強と海洋活動の活発化に懸念を示した。
菅政権の対中関係における敏感で矛盾した心理が中日関係に影響を与え、この演説が、回復の兆しを見せた中日関係に再び冷や水を浴びせた。
▽神経過敏な中国への苦慮
菅首相は演説の中で、政権がどう交代しようと、日本は一貫して日米同盟関係を強化していかねばならないと指摘した。中日関係においては、中日関係の積極的な改善に取り組む態度を見せながらも、日本巡視船と中国漁船の衝突事件を取り上げ、「海洋権益をめぐる争いが近年明らかに増しており、地域の不安定な要素になりつつある。日本はこれを無視できない。日本は争いが起こるのを防ぐため、海上におけるルールを定め、指導力を発揮する」と述べた。
常に警戒しながら中国の動きを推し量る管政権のこうした中国に対する過敏な心理は、中日安保対話に参加した日本側の担当官にも「伝染」していた。日本の共同通信は21日、日本側は安保対話において、中国に国防政策の透明度をさらに高めるよう求め、さらに次世代ステルス戦闘機について特に質問し、中国側は新戦闘機はまだ試験段階にあり、「すでに所有」しているとはいえないと答えたと伝えた。時間の関係上、朝鮮半島情勢については深く意見交換できなかった。
清華大学当代国際関係研究院の劉江永副院長は、菅首相の演説の中で中国に関する内容は積極的な一面もあるが、さらなる「親米防華」を進める考え方は「歴史に逆行」しているとし、自民党政権時代の対中関係に逆戻りしたと指摘する。中日安保対話で得られる進展について、劉氏はあまり楽観的な見方を示していない。
日本政府が昨年末に発表した新たな「防衛計画の大綱」では、中国が仮想の敵とされ、「中国脅威論」が吹聴されている。これは中国との関係を処理する上で「神経過敏」な日本の心理を反映している。中日関係の健全かつ安定した発展にとってこうした心理は百害あって一利無しだ。
▽中米関係新局面に冷淡