東京大学の高原明生教授は、日本における中国研究の領域では非常に高名な専門家である。日本政府で一部のコンサルタント業務に携わる以外にも、しばしばメディアに、中国情勢や中日関係についての評論を発表している。
実践に対してメカニズムが立ち遅れる中日交流
記者:昨年以降、日本社会の中国に対する態度に一定の変化がありました。この現象をどう見ますか?
高原:日本の対中政策の選択範囲は限られており、大多数の日本人は中国との関係が発展していくことを望んでいます。これは明らかです。日本社会には確かに、ある程度の「嫌中」といわれる感情があり、昨年以降、その感情は幾分か高まっています。しかし、よく観察すれば分かることですが、大部分の日本人は「感情」と「理性」をはっきりと区別ができています。理性では、誰もが中国の重要性を分かっていて、中国との関係を発展させることが、この地域やアジア太平洋地域の平和のためになると認識しています。日本からすれば、対中関係が発展すれば大きな利益に繋がりますし、それには、経済面だけでなく、安全保障面も含まれます。
記者:ご自身の研究領域から、中日両国の関係に問題が生じる原因について、お話をいただけますか?
高原:原因は幾つもあるのでしょうが、両国の行政と政策決定メカニズムの違いには注目すべきです。日本の人々は、自国の行政と政策決定の方法についてはかなりよく知っていますが、中国の行政と政策決定メカニズムについては理解が不足しています。そのため、中国側の政策決定の過程に戸惑いを覚えることがあり、それが誤解や間違った判断に繋がり易いのです。
中日の国交正常化以降、両国の関係は発展を続け、特に近年では、両国経済の相互関係が一層密接になってきており、二国間関係の内容も益々豊富になっています。しかし一方では、双方の交流や意思疎通の手段は、それに追いついておらず、メカニズムが実践に立ち遅れる事態が生じています。