J-10
また、 梟竜FC-1にせよJ-10にせよ、エンジンがロシア製であることを除けば、ロシア製戦闘機としての面影はもうどこにも残っていない。このような「脱ロシア」化の中で、中国の対外的兵器販売の手法もだんだんと西洋化、特にヨーロッパの手法に近づいてきている。それは、ロシアが自家用装備の「猿まね簡略版」を販売する手法とは大きく異なり、自国の軍隊にもまだ装備していない、研究開発に成功して間もない先進装備を海外に販売するというものである。この手法には、高い技術力で顧客を引き付け、より多くのオーダーを取ることができ、そして海外での使用経験をもとに当該装備に改良を行えるというメリットがある。そうして、装備が完全に成熟するのを待って自国の軍隊に装備するのである。パキスタンやエジプト等、中国の主要武器輸出国は中国と良好な関係にあり、そして、これらの国が生産している装備が、短期間で国際的兵器販売市場における中国の装備の競争相手となることもない。更に、これらの国は西側との関係も良好で、その先進技術を入手しやすく、中国が新しい技術に接触するための新ルートを提供してくれている。そのため、中国が現在パキスタンに輸出している梟竜FC-1にはもともと国産の射撃管制装置一式が装備されているのだが、パキスタン側はフランスの空対空ミサイルとイタリアのレーダーを購入し、梟竜FC-1戦闘機を改良、バージョンアップさせるとの情報がすでに出ている。また、中国のパキスタンの良好な関係から見て、パキスタンにおける梟竜FC-1の改良、バージョンアップ計画のすべてに参加することは間違いない。中国はパキスタンが導入した先進技術に十分接触し、それを吸収するチャンスを手に入れたのだ。このように、梟竜FC-1戦闘機の発展過程において、中国は海外資金を利用することで自国の投入を削減でき、更にその発展の展望や技術的内容はいずれもJ-10を大きく凌ぐものなのである。