温家宝総理は21、22の両日に東京で第4回中日韓首脳会談に出席する。また、日本の被災地に足を運び、中国政府・人民を代表して日本の被災者を慰問し、災害に打ち勝ち郷里を再建するよう激励する。これは中日関係史において初のことだ。(文:劉江永・清華大学当代国際関係研究院副院長。「人民日報海外版」コラム「望海楼」掲載)
この予定は、甚大な自然災害を前に中日韓が共同で警戒し助け合うという人道主義・友愛精神を十分に物語るものだ。つまり隣人が困っている時には助け、苦難を分かち合うということだ。われわれは08年の四川大地震の後、李明博大統領が訪中時にわざわざ被災地に慰問へ赴いたこと、日本政府も中国に初めて救援隊を派遣したことを忘れはしない。これらの行動によって中韓関係、中日関係の改善が力強く促された。
福島第1原発事故のコントロールと被災者の救援および被災地の復興は、日本政府にとって最重要課題であるし、日本の民衆にとっても最大関心事だ。3月11日に東日本大震災が発生すると、中国の指導者は直ちに見舞いの電報を送った。中国政府は迅速に救援資金や物資を提供し、救援隊も派遣した。胡錦濤国家主席は日本大使館を自ら訪れ、犠牲者への弔意を表した。菅首相は温家宝総理との電話会談で中国側への感謝の意を表した。双方の共同努力の下、中日関係は改善の道へ踏み出している。
このような背景の下で開催される今回の中日韓首脳会談には特別な意義がある。中日韓は自然災害対策や原子力安全協力の強化についても意見交換し、対策を話し合う。これは中日韓の災害対処能力の向上や原子力の将来的な安全確保にとってプラスだ。今後3~5年間、日本経済・社会発展の課題は災害復興になると見られる。今後これをめぐり中日韓の新たな協力モデルを築くことも可能だ。
今年に入り西アジアと北アフリカの戦乱により国際原油価格が急騰し、米ドルが下落し続け、中日韓は通貨切り上げ圧力、インフラ圧力、保護貿易圧力という3大圧力に直面している。このため西アジアや北アフリカの情勢緩和を促し、国際原油価格の持続的上昇を防ぎ、中日韓自由貿易圏プロセスを推進することは、持続可能な発展に向けた中日韓の直接的利益と共通のニーズに合致する。
朝鮮半島の平和・安定と非核化プロセスも厳しい試練に直面している。中日韓の間には領土係争や海洋権益をめぐる対立もある。従って北東アジアの持続可能な安全保障の実現は、困難を正視し、「平和の多国間主義」を堅持し、6カ国協議の早期再開を促し、必要な危機管理システムを構築し、相互間の敏感な問題を適切に処理して初めて可能になる。未来に目を向けると中日韓は持続可能な協力、持続可能な発展、持続可能な安全の新たな地域協力モデルを創造する必要と責任があるし、その能力もある。
今年は21世紀の第2の10年間が始まる年であり、中日韓協力の過程において特別に重要な意義を持つ。今後10年間に向けた基礎固めの年とも言える。来年は中韓国交樹立20周年、中日国交正常化40周年を迎える。重要な歴史的チャンスを捉え、中日・中韓関係に素晴らしい新天地を切り開き、中日韓協力の踏み込んだ発展を促すには、中日韓の政策決定層による展望性ある戦略思想とグランドデザインが必要だ。今回の会議はその重要な契機となる。
「人民網日本語版」より 2011年5月21日