◆現・首相「近々の辞職」を表明、「奇妙」な言動が当然?
今回の菅直人政権の危機は、政局のこうした現状をよく表している。
東日本大震災後、まず被災地域の救援・対応が急務であり、政権交代などを言っている場合ではないことは野党・自民党も最初から分かっていた。それに衆議院議員の野党の割合は低いため、内閣不信任案が出ても否決されるだろう、たとえ可決されたとしても、菅直人首相が退陣するだけで、民主党政権は続投し、自民党内閣発足はあり得ないはずだ。そのため自民党が菅直人首相の辞任を迫ることは無意味なことだと知っていたのだ。
だが民主党内で様々な動きが見られた。鳩山由紀夫・前首相および小沢一郎・元代表が、自民党の菅直人政権打倒の動きを支持し始めたのだ。菅直人首相はそうした造反行為に対し、「彼らが自民党の政権交代を支持し、もし不信任案が可決されたならば、私はただちに解散・総選挙に踏み切るだろう」と威嚇の姿勢をとったのである。
ここにきて鳩山由紀夫・前首相は怖くなった。馬鹿でない限り、今、総選挙になれば民主党は惨敗するだろうことは明白である。こうした政局の下、それぞれが譲歩の構えを見せた:鳩山由紀夫・前首相は、自民党の菅直人政権打倒の動きを支持しない姿勢を見せ、菅直人首相は近いうちに辞任することを表明したのである。
「近いうちに辞任する」ことを現・首相が表明するのは全くもって異常事態と思えるが、日本の政界では特別奇妙なこととは捉えられていないようである。マスコミや有権者からの批判は相次いでいるが、民主党内では至極当然のことと認識されている。内閣不信任決議案が出る直前に辞めると言い、否決されたら辞めないと言った菅直人首相に対し、鳩山由紀夫・前首相は「ペテン師だ」と非難している。だが、鳩山由紀夫・前首相がかつては政権引退を表明していながら簡単に前言撤回したのは「ペテン師」とは言えないのだろうか?
これが日本の今の政界であり政治家の有り様である。日本国民はマッカーサー元帥に感謝すべきなのだ。当時、旧日本軍が解散させられていなかったならば、今でも軍事クーデターが起きたであろう。しかもそうしたクーデターはきっと、国民の広い支持を受けたに違いないはずだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年6月21日