マレン米統合参謀本部議長がいま、中国を訪問している。今年5月の陳炳徳・人民解放軍総参謀長による訪米の答礼訪問だ。双方に後押しされ、中米両軍関係は回復基調を呈している。これは容易に得られたものではなく、双方共に一層大切にすべきものだ。
今回の訪問で広く注目されたのは、中国人民大学で講演した際の「今日の中国は10年前とは違う。今後10年も必ず変化し続けるだろう。中国はもはや台頭しつつある大国ではなく、実際にはすでに世界の大国なのだ」との言葉だ。
中国がすでに世界の大国か否かという議論は何も真新しくはない。その背後にある「中国責任論」の意味合いも容易に見てとれる。重要なのは米高官が中国をどのような大国と言うかではなく、米国が本当に中国を対等なつきあいの対象と見なすことができるかどうかだ。これは軍事関係の発展にとって特に重要だ。
全方位的、重層的な中米関係の中で、両軍交流は常に多少後れをとっている。多方面の関係が進展して初めて変化が生じることもしばしばだ。また、両軍関係は最も脆弱で、両国関係に波瀾が生じた際に最も先に傷つき、しかも最も重い傷を受けることがしばしばだ。両軍交流自体の敏感性を除けば、その根本的原因は軍事的な動きが往々にして双方の核心的利益に関わり、かつ国民心理に重大な影響を与えることにある。
米国は過去数年間中米両軍の交流を妨害してきたのが、中国の軍事力の透明性不足や激しい権幕で迫る姿勢などではないことを当然理解すべきである。根本的原因は米国が公に示す姿勢の背後で常に中国封じ込めの心理を捨てきれず、度々中国の核心的利益を損ねる現実の行動にも出ることだ。他国を尊重することをわきまえて初めて、その国は他国から尊重される。
南中国海問題は米国の複雑なメンタリティーと政策指向を映し出す鏡だ。南中国海係争がヒートアップした際、地域最強の軍事的プレゼンスである米国が図るのは事態の沈静化ではなく、これを機に武力を誇示し、間に入ってうまい汁を吸うことだ。米国の一部メディアや学者は南中国海問題への米軍の介入を公然と煽っている。ワシントン・ポスト紙の社説にいたってはペンタゴンによるフィリピンへの軍事支援を求めてすらいる。先ごろ米国はベトナム、フィリピンと合同軍事演習を行った。フィリピンメディアの表現を借りるなら、これは要の時期にあるフィリピンにとって「安心」材料だ。故意に面倒を起こすこうした米国のやり方は極めて不適当であり、南中国海情勢を一層複雑化させた。
もう1つ警戒すべきは、ワシントンで再びよこしまな動きが醸成されつつあることだ。少なからぬ米議員がF-16C/D戦闘機の台湾への売却をオバマ政権に促そうと活動を活発化させている。米国が台湾への武器売却をひとたび再開すれば、軍事関係の発展に向けた中米双方の努力は水泡に帰すことが想像できよう。台湾への武器売却問題は、米国の対中関係処理が時代に合わせて進む知恵を持ち合わせているか否かを見極める鍵となる。台湾への武器売却問題の解決なしに、中米軍事関係の発展に安定した基礎はあり得ず、必然的に他の分野の中米協力も足を引っ張られる。「米国はすでに本当に中国を世界の大国と見なして接している」と中国が無邪気に信じることはなおさらあり得ない。われわれは米国人がどう話すかだけでなく、どう行動するかをより見る必要がある。中国を尊重するなら、まずその核心的利益を尊重することから始めるのが当然だ。
中米両軍関係の発展は得難いチャンスを前にしている。では、こうしたチャンスをどう現実に変えるか。これには中米双方の共同努力が必要なのは確かだが、喫緊の課題はやはり米国が尊重、相互信頼、対等、互恵の誠意をしっかりと示すことだ。これは中国とつきあう上であるべき道でもある。「台頭しつつある大国」であれ、「すでに世界の大国」であれ、中国は中国なのだ。
「人民網日本語版」2011年7月13日