◇米国介入でASEANの地域主導権弱まる
とはいえ、南中国海問題が今会合の重要な議題になることは避けられないだろう。中国が関係国から集中攻撃を受けるだろうと一部のメディアが大げさに報じている。
実際にどうなるか会議が始まればわかることだが、それがでたらめであることが次のいくつかの点からわかる。まず、ASEANの意見は一致していない。加盟国の同問題に対する立場はそれぞれ異なる。米国の力を借りて中国に圧力をかけている国があることは確かだが、それが唯一の声ではない。また、タイとカンボジアの国境における衝突からわかるように、ASEAN内部の問題でも同組織を通じて解決できないのに、南中国海問題で意見の一致をみるのは不可能に等しい。
第二に、米国に余力があるか。南中国海問題介入へのワシントンの決意は固いが、国内の経済回復もままならず、中東の混乱、アフガニスタンとパキスタンのテロ対策も収拾がつかない状況にあって、そこまで手が回るかが問題だ。
第三に、中国側の態度が明確なこと。外交部の報道官は幾度となく、南中国海の安定を守るために各国と共に努力したいと述べている。地域外の国の同問題への介入について、陳炳徳総参謀長は米軍のマレン統合参謀本部議長と会談した際、「中国と周辺国には同問題をうまく処理する能力と智恵がある。米国が気を配る必要はないし、心配する必要もない」と語った。
ASEAN地域フォーラムの設立目的は当初、地域協力の道を探ることにあった。中国はこれまで幾度となく、東アジア協力をASEANが主導するべきだと主張してきた。しかし現在、米国の介入によってASEANの地域における主導権は弱まっている。ASEANは自身の力不足を考慮して米国の介入を受け入れたが、当初の目的が達成されたとは言い難い。米国は本来、APECや環太平洋経済協定(TPP)を通じてアジア太平洋における経済・貿易の主導権を握ろうとし、今では南中国海の対立を受け地域問題を干渉している。様々な問題に介入する米国の下で、ASEANが主導的な役割を担えるか疑問が残る。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年7月19日