モンゴルの各ウェブサイトは20日、日本メディアの報道を引用する形で、モンゴル産のウラン燃料を原発導入国に輸出し、核廃棄物を再びモンゴルが引き取る「包括的燃料サービス(CFS)」の実施を日本、米国、モンゴルが計画していることを伝えた。このためモンゴル国内に使用済み核燃料の貯蔵施設を建設し、国際原子力機関(IAEA)が技術協力する可能性もあるという。さらにアラブ首長国連邦もこのモデルを参考にモンゴルとウラン燃料分野で協力する意向を示している。この情報が伝わるとモンゴル社会、民衆の間で核廃棄物施設の建設に関する議論が再燃した。
■モンゴル政府は沈黙、民衆は反対
モンゴル紙の電子版は20日「モンゴルに核廃棄物施設建設の合意文書案が完成、すでに承認段階へ」との見出しで記事を掲載。前日にある国会議員から事実であることを確認したと報じた。人民日報記者は幾多の曲折を経て、ようやくモンゴル原子力庁の広報担当官と連絡がとれ、事実関係の確認を試みた。同担当官は上層部に確認してから改めて返答すると言ったが、21日夜現在、まだ返答はない。モンゴル政府もこの情報についていかなる発表もしていない。
実際、モンゴルに核廃棄物施設を建設する計画は巨大な抵抗に直面している。あるモンゴル紙は「モンゴル社会には計画を受け入れる準備ができていない」とする日本政府高官の話を伝えた。報道は核廃棄物をモンゴル国内に輸送するには二大隣国である中国とロシアの同意が必要なうえ、テロリストの手に渡り核兵器に転用される可能性もあると指摘している。モンゴルのネット上でも「世界の核廃棄物をモンゴルに貯蔵すべきではない」「モンゴル人民も他の民族と同様、健康な生活環境が必要だ」などと強い反対の声が上がっている。